川島ゼミ 観劇レポート(2025年10月期)

舞台『ハリーポッターと呪いの子』
2025年10月17日(金)12:15/赤坂ACTシアター
岡山みる

『ハリーポッターと呪いの子』を観劇した。きっかけは東京芸術祭のプログラム、Performing Arts Base 2025のステージパフォーマンスでワンドダンス(魔法の杖を使用したダンス)に魅了され、劇場に足を運んでみたいと思ったからである。
そんなハリーポッターに関しては賢者の石を映画で見たくらいしか分からない私が感じたことを素直にレポートしていく。
まず一番印象に残ったのは、舞台上で繰り広げられる魔法の演出である。
杖を振ると炎が走り、登場人物が一瞬で姿を替え、人がワイヤーではできないような不思議な浮遊感で宙に舞う。そのすべてが目の前で行われていることに驚かされた。どういう原理なのか分からなかったが、映像は多様せず、照明や音響、舞台装置、そして俳優の動きが一体となって感じさせる迫力があった。特に時間を巻き戻すシーンでは、恐らくプロジェクションマッピングと振動を使い、舞台全体が歪み体に響くような感覚を覚え、観客も時間の渦に巻き込まれるような感覚だった。
次に印象に残った事は、ストーリーの面白さである。
物語の舞台は、ハリーたちがヴォルデモートを倒してから十九年後の世界。魔法省で働く父ハリーと、その次男アルバスの親子関係を軸に物語が進んでいく。アルバスは「偉大なハリーポッターの息子」という重圧に苦しみ、周囲とうまく馴染めない。そんな彼が、かつて父の宿敵だったドラコ・マルフォイの息子スコーピウスと出会い、友情を育むという話である。この作品の魅力は親と子、子ども同士、そして親同士という三つの関係が複雑に絡み合いながら展開していく点にある。ハリーとアルバスのすれ違いと和解、アルバスとスコーピウスの友情、そしてハリーとドラコが父親として互いを理解していく姿は、魔法のない現代においても世代を超え共感できる人間ドラマであったと感じた。
最後に印象的だったのは、会場全体の世界観である。
劇場のある赤坂ACTシアター周辺そのものがホグワーツのように作り込まれており、劇場の周辺の商業施設やカフェ、会場内はロビーの装飾や物販コーナー、スタッフの雰囲気までもがテーマパークのように世界観に合わせられていた。それゆえ、観劇の前から魔法界に足を踏み入れた感覚になり、終演後も観劇の余韻を残すことができた。
最後に、『ハリーポッターと呪いの子』は、魔法のスペクタクルだけでなく、人間の心の繊細な動きまで丁寧に描かれた作品であった。また、シリーズを詳しく知らなくても感動でき、観劇後にはまるで自分も魔法界を旅してきたような余韻が残る作品でもあった。今回は1階の後方座席で観たが、魔法の数々を見破ることはできなかったので次はぜひ別の席から観て、違う角度で魔法の秘密を探ってみたいと思う。そして、まだ観たことのない人には、ぜひ劇場であの「どうなってるの!?」という衝撃を体験して欲しい。
公式HP:https://www.harrypotter-stage.jp
 

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