西原ゼミ「わたしのベスト3」

⽇常に潜む違和感に惹かれて ⼤学⽣活で出会った作品ベスト3
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第 1 位 墓場⽂庫「都市伝説解体センター」(集英社ゲームズ)
過去に存在した人や物の痕跡を見ることができる主人公・福来あざみは、その能力について相談するため、怪異や呪物などの調査を行う「都市伝説解体センター」を訪れる。しかし成り行きでセンターの調査員として働くことになってしまい、センター長・廻屋渉や調査員仲間のジャスミンと共に都市伝説絡みの依頼を解決していく。プレイヤーはあざみとして能力を駆使しながら調査を進める、ミステリーアドベンチャーゲーム。
本作の魅力はシナリオの読み応えにある。ミステリーものの醍醐味である調査パートや仮説の組み立て、「解体」と呼ばれる推理の披露など、それぞれの見所にキャラクターのやりとりやオカルトミステリーの面白さが詰まっている。一方で、ゲームならではの視覚と聴覚から得られる満足度も高く、特に各話エンディングの演出は連続ドラマのような期待感を抱かせる。自らがあざみとして調査することで得られる最終話の衝撃は、ぜひ多くの人に体験してほしい。
「都市伝説解体センター」公式サイト
第 2 位 モクモクれん「光が死んだ夏」(『ヤングエースUP』KADOKAWA)
山間の集落で暮らす少年・よしきは、幼なじみの光が一週間の失踪を境に別人になったことに気がつく。声も姿も同じだが中身が光ではない「何か」。よしきはその異変を受け入れ、偽物の光(ヒカル)と共に日常を続けようとする。しかし集落では不穏な出来事が起こり始め、よしきとヒカルにも正体不明の存在が近づいていく。
本作はホラーやサスペンスの緊張感に加えて、少年同士の強い結びつきを描いたブロマンスの要素も持つ作品だ。怪異の描写は執拗で生々しく、ページをめくるたびに不安と恐怖が募る一方、そのビジュアルにはどこか引き込まれる美しい魅力がある。読者を圧倒するまがまがしさと静けさの対比が印象的だ。また、本作の核にあるのは光を失いながらもヒカルと生きることを選んだよしきの感情であり、歪で切実な関係性がとてもまぶしい。恐怖の中に描かれる友情と執念が余韻を残す、唯一無二の青春ホラーである。
「光が死んだ夏」公式サイト
第 3 位 伊坂幸太郎「マリアビートル」(⾓川書店)
元殺し屋の木村は、自分の息子を遊び半分で傷つけた中学生・王子への復讐のため、東京駅にて盛岡行きの東北新幹線「はやて」に乗り込むも、大人を翻弄することが好きな王子のコントロール下に置かれてしまう。その一方で、殺し屋コンビの蜜柑と檸檬は護衛対象を殺害され、不運な殺し屋の七尾も因縁の相手との鉢合わせにより上野での下車を逃すなど、それぞれの任務でピンチに陥っていた。
新幹線という逃げ場のない動く密室を舞台に、三組の殺し屋と異様な聡明さを持つ中学生・王子の思惑が激しく衝突する物語。次々に視点が入れ替わりユーモアと緊張感が加速していく展開は、新幹線らしくまさにノンストップ。狭い空間だからこそ生まれる偶然と因縁が絡み合い、列車内の息苦しさまで思い起こさせる。最後まで一気に読ませられる、エンタメ性の高い一冊だ。
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