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西原ゼミ「わたしのベスト3」
衝撃を受けた作品ベスト3
すごろく3位
第 1 位 原作:弐瓶勉(東亜重⼯)、画:武本⽷会「⼤雪海のカイナ」(『⽉刊少年シリウス』講談社)
この世界の色は白で描かれる。雪に覆われ、水面が上昇し続ける世界で、人類は巨大な木「軌道樹」の根元で細々と暮らしているのだ。水を巡る戦争が迫る中、一国の王女であるリリハは空の「天膜」にいる賢者を求めて旅に出る。天膜で出会ったのは、文明崩壊後の残り香である文字を知る少年カイナだった。二人の出会いをきっかけに、物語は国同士の争いへと広がっていき、カイナの行動がこの戦いに大きく影響していく──。
そう、この作品は文明が滅びた後の世界を映しとったポスト・アポカリプス作品であり、壮大なファンタジーものである。争いが絶えず、諦念が広がり、死にゆく焦燥を雪に覆い隠された世界で、まだあどけない少年・少女がその渦中へと進んでいく。真実を、そして希望を掴まんと手を伸ばした先にある展開にある未来とは。アニメ・劇場版ともにオススメしたい一作である。
「⼤雪海のカイナ」公式サイト
「⼤雪海のカイナ」公式サイト
第 2 位 漫画:カレー沢薫、原案協⼒:ドネリー美咲「ひとりでしにたい」(『モーニング』講談社)
終活、してる? 私はまだ大学生であるはずなのに、就活もすっ飛ばして読んだこの作品。本作は、バリキャリで生涯独身だった伯母の孤独死に衝撃を受けた主人公が、婚活ではなく終活へと舵を切り、「誰にも迷惑をかけず、ひとりでよりよく死ぬために、よりよく生きる」ことを目指して突き進んでいく物語だ。
題名から若者向けの哲学マンガを想像していたが、実際には介護や老後、ライフプラン、一人で生きることの現実が次々と突きつけられる。漠然と「未来が不安」「介護は大変そう」という問題が、避けられない現実として真正面から示されるのだ。しかし本作は、そうした厳しい現実をギャグを交えて描き、一人で生きることを肯定も否定もせず、努めてフラットに描いている。そのため、非常に読みやすい作品になっている。将来について具体的に考えるための視点を与えてくれる、現代的なドキュメンタリー性をもった終活マンガとして、ぜひ読んでほしい。
「ひとりでしにたい」『モーニング』(講談社)
「ひとりでしにたい」『モーニング』(講談社)
第 3 位 九井諒⼦「ダンジョン飯」(『HARTA』KADOKAWA)
ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われ、金と食料と仲間を失ってしまった冒険者・ライオスの一行。仲間を助けるため、再びダンジョンに挑もうとするものの、このまま行けば、途中で飢え死にしてしまう…。そこでライオスは決意する。「そうだ、モンスターを食べよう!」
近年、異世界×食というジャンルが広がりを見せるなかで、本作は彗星のごとく現れたリアル志向の魔物食ファンタジー作品である。しかし本作の神髄は、その単なる設定の面白さにとどまらず、食を軸にした物語展開と緻密な世界観構築の巧みさにある。数々の伏線と魅力的なキャラクター同士の複雑な関係性を描きながらも、それらを重く感じさせず、軽快に読み進めさせられるのだ。
「おいしさ」の前に立ちはだかる倫理! 悍ましくも魅力的な食とともに進む冒険の行方を、ぜひ最後まで見届けてほしい。
「ダンジョン飯」『カドコミ』(KADOKAWA)
「ダンジョン飯」『カドコミ』(KADOKAWA)