岡山みる
パフォーマンス・ゼミ(川島ゼミ) 観劇レポート(2026年5月期)
韓国ミュージカル ON SCREEN『マリー・アントワネット』
2025年11月19日(水)/ユナイテッド・シネマ幕張
近年韓国ミュージカルの存在感が世界的に高まり、トニー賞への進出や国際的評価の上昇により、日本でもその作品を観る機会が急速に増えてきた。そうした流れの中で今回鑑賞したのが、「韓国ミュージカル ON SCREEN」による『マリー・アントワネット』である。
本企画は韓国ミュージカルの名作を映画館で楽しめるシリーズであり、日本語字幕付き、複数カメラの映像を音響設備の整った映画館で楽しむことができる。
今回の鑑賞では劇場と異なる映画館ならではの体験を通して、作品そのものの魅力を新しい角度から味わうことができた。
まず、映画館上映として特に印象に残ったのは、複数のカメラによる壮大な映像である。場面によって、役者の表情に大きく寄ったショットや舞台装置全体をとらえた引きの映像が切り替わり、劇場では見落としがちな細やかな表現も感じることができる。また、おそらく編集されているという点もあるだろうが、映画館の音響は想像以上にクリアでキャストの声や音楽も劇場よりも鮮明に聞きとれるように感じ、改めて映像や音響の点で映画館の大きな魅力を気付かされた。
次に、作品そのものの魅力として驚かされたのが、韓国版『マリー・アントワネット』が採用している360度回転舞台である。舞台そのものが緩やかな斜面になっており、さらに360度自由に回転することで、役者が後方へ移動しても、舞台が回り、観客の正面へと自然に視線を誘導してくれる。役者の動きと舞台装置が一体となった演出はとても新鮮で、これまでの舞台体験にないものと感じた。
また衣装の豪華さもすばらしく、特にマリーが金遣いを荒らげ衣装を沢山着飾るシーンでは、ボリュームのある頭飾りからドレスの装飾に至るまで細部が作り込まれ、彼女の人物像を象徴する煌びやかさが強調されており、また衣装屋の夫婦の装いは淡い色でトーンが統一されており、細かなキラキラの装飾が光を受けて美しく輝いていた。
さらにダブル主人公の一人であるマルグリット・アルノーの衣装も印象的で、彼女の貧困を表現しつつも、布をアシンメトリーに重ねた独特なデザインは、彼女の強さと美しさをより際立たせていると感じた。こうした細部の丁寧さも、映像だからこそ気づけるもので映画館上映だからこその魅力であると感じた。
今回の上映を通して、ミュージカルを観たことがない人でも十分に楽しめる作品だと強く感じた。舞台の臨場感が映画館でここまで再現されるのなら、観劇経験のない人にとっても手軽にミュージカルの世界に触れられる絶好の入口になるだろう。映像でありながら舞台の熱量を損なわず、作品の魅力を最大限に引き出すこの形式が、今後も多くの人にミュージカルの楽しさを届けるきっかけになることを期待している。
