パフォーマンス・ゼミ(川島ゼミ) 観劇レポート(2026年5月期)

MANKAI STAGE『A3!』ACT3! ~SPRING & SUMMER 2026~
2026年5月16日(土)18:00/アイプラザ豊橋(ライビュ配信)
シュウマイ
MANKAI STAGE『A3!』ACT3! ~SPRING & SUMMER 2026~(エーステ)では、「人との関係性」と「仲間の存在」が大きなテーマとして描かれていた。春組・夏組それぞれの主演と準主演が悩みを抱えながら成長していく姿が印象的であり、笑いと感動のバランスが取れた作品だったと感じる。
公演前には旗揚げ公演時に使用されていた春組・夏組の楽曲が流れ、両組のリーダーが客席に向けて想いを語る場面から幕が開く。少し感傷的な空気の中、「これまでの思い出を振り返ろう」と笑顔で歌い始める演出によって、一気に温かな雰囲気へ変化した点が印象的だった。また、キャラクター紹介をプロジェクションマッピングで映し出すことで、初めて観劇する観客にも理解しやすい構成になっていた。
春組では、監督への恋心を抱く真澄を中心に物語が展開された。「もし監督が他の誰かと結婚してしまったら」という不安を歌い上げる場面は切実であり、真澄の繊細な感情が強く伝わってきた。旗揚げ公演時には他者との関わりを避けていた真澄が、咲也に相談したり素直に感謝を伝えたりする姿からは、仲間との関係を通じた成長が感じられた。また、春組のメンバーが互いに支え合う姿には「家族」のような絆があり、シトロンによるコミカルなやり取りが物語を重くしすぎない役割を果たしていた点も効果的だった。
さらに、第6回公演から参加した卯木千景と真澄の対立も印象深い。互いに「愛」を理解できず不器用に生きてきた二人が、本音をぶつけ合うことで少しずつ理解し合っていく姿から、千景が春組の一員として受け入れられていく過程が丁寧に描かれていた。劇中劇『奇術師たちの純愛』では、怪盗フェイスの正体を巡るミステリー要素によって最後まで緊張感が保たれており、真澄が最終的に「愛は無限である」という答えへ辿り着く展開は、彼自身の精神的成長を象徴していたと思う。
一方、夏組では初代夏組公演の海賊劇から現代の夏組へ繋がる演出が用いられ、シリーズの歴史を感じさせる構成になっていた。物語は三角と九門を中心に展開され、三角は父や弟・円との関係に悩み、九門は野球を諦めきれない思いを抱えていた。理想と現実の間で葛藤しながら稽古に向き合う姿には強いリアリティがあった。
特に三角と円によるユニゾンは印象的である。仲良くなりたいのに接し方が分からない兄弟の感情が切なく表現されており、強く心を打たれた。また、九門が幸の言葉によって自分自身を解放し、役に感情移入できるようになる場面からは、「仲間に支えられて成長する」という夏組らしい魅力が感じられた。
劇中劇『+3Ghosts!』は、ラップ調の掛け合いやコミカルな演出によって夏組らしい明るさを持ちながらも、幽霊たちとの別れという切なさも描いていた。また、映像演出によって舞台上には二人しかいないにも関わらず五人で踊っているように見せる工夫は完成度が高く、舞台表現の可能性を感じさせた。「同じメンバー、同じ観客で観る公演は一度きり」という台詞は、舞台芸術の一回性を象徴する言葉として特に印象に残った。
さらに、本作は他の2.5次元ミュージカルと比較してヘアスタイルの変化が非常に多い点も特徴的である。通常衣装だけでなく、劇中劇やカーテンコールごとに異なる髪型が用意されており、細部までキャラクター表現にこだわる姿勢が感じられた。このような視覚的演出も、エーステ独自の魅力を支えている要素だといえると思う。

画像:公式サイトから引用
(https://mankai-stage.jp/act3-2/ss2026/)

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