パフォーマンス・ゼミ(川島ゼミ) 観劇レポート(2026年5月期)

ARASHI LIVE TOUR 2026 「We are ARASHI」
2026年5月31日(日)18:00/東京ドーム(配信にて鑑賞)
ちとち
「日本全国ご唱和ください」櫻井翔が嵐の代表曲「Happiness」の冒頭に発するこの一言の後には多くの人が自然と歌いだしてしまう。今のようにSNSが発達していない時代から数々の楽曲を我々の心に残し、流行という概念を超えて生活の一部となった嵐が、この最終公演をもって約26年半の活動を終了する。
相葉雅紀、松本潤、二宮和也、大野智、櫻井翔の五人で結成された嵐は、音楽活動だけでなく、バラエティー番組やドラマ、映画、報道番組など幅広い分野で活躍してきた。テレビをつければ誰かが出演しているといっても過言ではなく、その存在は世代を超えて親しまれてきた。また、数多くの企業広告にも起用され、その親しみやすさと信頼感は社会的な認知度の高さを示している。だからこそ、嵐の活動終了は単なるアイドルグループの解散ではなく、一つの時代の終わりのように感じられる。この26年半の歩みを、ライブという空間でどのように表現するのだろうか。
生配信映像は会場に入る導線から始まり、東京ドーム全体がドローンからの目線で流れた。まるで東京ドームに入場した気分になる粋な計らいによって、自分も嵐の最後を見届ける当事者だという感覚が高まった。満を持して登場した嵐の姿は、まるで台風の目のように我々を強烈に惹き付けながら、東京ドームを歓喜の渦に巻き込んだ。
ほぼノンストップで歌い、幕間映像では、ファンクラブ特典映像としてメンバーごとに開催された誕生日会の様子と、それを見た一人一人のコメント映像が流れた。中盤の幕間映像では、大野の「みんなあれが聞きたいんだろ?」という言葉をきっかけに映像は終了し、静寂の中鳴り響く鐘の音と全身に血が駆け巡るイントロが流れた。代表曲の一つの「Monster」が始まった。楽曲の世界観を表現する炎、水、光の演出に加え、この日が歌詞にも登場する「満月の夜」であったことも重なり、会場の熱気は最高潮に達した。特に大野の歌う「君の叫びで 僕は目覚める」という歌詞は、活動休止期間を経て再びステージに立った彼自身の姿とも重なって見えた。この瞬間は圧巻で、冷静でいられたファンは少なかっただろう。長年ファンの期待に応え続けてきた嵐だからこそ実現できる演出であり、ファンが求めるものを的確に届ける力に圧倒された。
ラストには平成を特に彩った楽曲が並び、ついに最後の挨拶が訪れた。五人はそれぞれの言葉でファンやメンバーへの思いを語った。印象的だったのは、観客が楽曲だけでなく、26年半を歩んできた五人の人生そのものを見届けようとしていたことである。例えば長年ライブ演出を手掛けてきた松本に注目すると、そこにはライブを統括する存在ではなく、嵐の末っ子として無邪気に四人へ抱きつき、最後の時間を噛みしめる様子があった。それは、嵐というグループの中でしか見ることができない一面であった。冒頭の挨拶で櫻井が「一人一人の仕事での表情はあったと思うんだけど、やっぱり嵐にいるときの表情ってほかで見れない顔するんだなって。」と語っていたが、松本の姿はまさにその言葉を体現しているように感じた。最後には最新曲「Five」を披露し、ライブは幕を閉じた。
このように、嵐の最終公演は単なる活動終了のライブではなく、26年半の歩みを振り返りながら、その歴史と楽曲の魅力、そして五人の人生を改めて観客に提示する場となっていた。しかし、櫻井が最後の挨拶で語ったように、嵐の楽曲や歴史は消えることなく、これから新たに嵐を知る人も現れるはずだ。活動は終了しても、嵐という存在はこれからも多くの人々の記憶と日常の中で生き続けていくのだろう。

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