つなまよ
パフォーマンス・ゼミ(川島ゼミ) 観劇レポート(2026年5月期)
舞台『Bad error of True error』
2026年5月30日(土)/六行会ホール
私が観劇したのは、5月27日から5月31日まで六行会ホールにて行われていた劇団ラパン雑貨による舞台『Bad error of True error』である。本作品は、さまざまな異世界と繋がる空間を舞台に、異世界転生によって生じた世界の歪みを修正する主人公ジャン・バジーレの活動を描いた作品である。ある日、「物語が進行しない」という異常事態の解決依頼を受けた二人は、その原因を追う中でより大きな問題へと直面していく。小劇場作品に馴染みがなく、多少不安を持っていたが、実際には、異世界という親しみやすい題材やテンポの良い展開によって想像以上に観やすく、普段アニメやゲームに親しんでいる観客も入り込みやすい作品であった。本レポートでは、特に舞台演出、役者の身体表現、観客参加型演出という点に着目して考察する。
一つは、舞台演出による空間表現である。本作品では終始大きく舞台装置を変化させることなく物語が進行していたが、照明の色彩や当て方、スモークの使用、役者の立ち位置や演技によって異なる世界や状況が表現されていた。同一のセットを使いながらも場面転換を成立させていた点に、演劇ならではの表現力を感じた。映像作品ではカメラワークや編集によって見せたい部分を限定できるが、舞台では観客に空間全体を提示する必要がある。その制約の中で世界観を成立させていたことに強く感心した。
もう一つに、役者の演技のあり方にも舞台特有の魅力を感じた。特に印象に残ったのは、そのシーンで中心になっていない登場人物であっても、常に舞台上で演技を続けていた点である。映像作品では画面外の人物を意識する必要は少ないが、舞台では観客が自由に視線を向けられるため、登場人物全員がその世界の住人として存在し続ける必要がある。そのため、一人ひとりの動きや反応によって舞台全体の完成度が支えられていることを実感した。また、敵対するキャラクターの演技も印象深く、冷酷さや威圧感を持ちながらも観客を惹きつける存在感があり、物語全体の緊張感を高めていた。
第三に、観客参加型の演出が作品への没入感を高めていた。作中では、いわゆるモブキャラクターが客席へボールを渡す場面があった。この演出により、観客は単に客席から眺める存在ではなく、舞台世界の一部として扱われているように感じた。近年は観客参加型や体験型の作品も増えているが、本作品もまたその傾向を感じさせる演出であった。特に終盤、登場人物たちが共闘に向かい、キーパーソンの言葉を合図に全員が一斉に声を上げて暗転する場面は、アニメ的な高揚感と舞台特有の一体感が融合しており、強く印象に残った。
このように、『Bad error of True error』は異世界という親しみやすい題材を扱いながら、舞台演出、役者の身体表現、観客参加型演出を通して独自の世界観を作り上げていた作品であった。観劇前は小劇場作品にあまり馴染みがなく不安だったが、実際には観客を巻き込みながら物語へ没入させる工夫が多く見られた。舞台だからこそ可能な表現の面白さを、改めて感じる機会となったと思う。
