川島ゼミ 観劇レポート(2025年7月期)

ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 全国大会 青学vs氷帝
2025年7月10日(木)18:00/Kanadevia Hall(旧TOKYO DOME CITY HALL)
岡山みる

画像:ミュージカル『テニスの王子様』公式サイトから引用
(https://www.tennimu.com/4th_2025hyotei/)
本作は、全国大会初戦で青春学園中等部(青学)が、関東大会で一度敗北した強豪・氷帝学園と再戦するというストーリーである。主人公・越前リョーマを中心に、各選手それぞれ試合に挑みぶつかり合う。特に氷帝は、部長・跡部景吾を筆頭に実力者揃いのチームで、どの試合も見応えある内容となっていた。前作の比嘉中戦が私にとって初めての“テニミュ”体験だったため、今回が二度目の観劇となる。原作についての知識は断片的ではあるが、そういった初心者的視点からでも非常に分かりやすい舞台であったと感じる。
まず特筆すべきは、キャストたちの表現力の高さである。中でも、物語の主軸となる主人公・越前リョーマと、氷帝学園の部長・跡部景吾の対決は圧巻だった。二人の試合は、他の部員同士の対戦とは明らかに次元が異なり、「本当に桁違いの戦いをしている」と観客にも伝わるほどの緊張感があった。特にリョーマ役の竹内雄大が試合の終盤で倒れ込むシーンは、「演技か本気か」と錯覚するほどのリアルさがあり、思わず息を呑んでしまった。一方跡部役の石川志泉のパフォーマンスもまた群を抜いており、高音域まで美しく響く歌声はまるで声楽やオペラのようで、しなやかで美しい動きはバレエのようでもあった。冷酷さと高貴さを併せ持つ氷帝の“王”としての存在感が存分に表現されており、また氷帝全体で歌唱するテーマ曲やダンスシーンにはフラメンコやバレエを感じさせる独自の美しさがあった為、より石川との相性を感じられ良かった。
さらに今回の舞台では、比嘉中学校のメンバーも登場していたが、前作のシリアスな立ち位置から一転、今回は完全にコミカルな“トンチキ要員”として登場しており、そのギャップに客席からは多くの笑いが起きていたのが印象的だった。
会場には若い女性客が多く、推しキャラクターのグッズを身につけたり、登場校のカラーを意識した服装・ヘアメイクで観劇に臨んでおり、客席全体から「この舞台が本当に好き」という熱意が伝わってきた。
また、終演後に行われるライブパートでは、キャストが客席通路に降り観客にファンサービスをする演出があり、私自身は第2バルコニー席で観ていたのだが、まさかのその位置にまでキャストが手を振りに来てくれて、驚きと嬉しさでいっぱいになった。
総合的に見ても、本公演はキャストは比較的若手が多いのにも関わらず、それをまったく感じさせないほどの実力と表現力で、ストーリーや演出の魅力を最大限に引き出していた。私は普段からさまざまなジャンルの舞台を観ているが、その中でもテニミュは「運動量の多さ」「曲数の多さ」「会場の熱量の高さ」が群を抜いており、まるでライブと舞台の中間にいるような独特の高揚感を味わうことができた。
このまさに“青春”と言える観劇は、観終わった後もしばらく余韻が残るほどのエネルギーをもらえる舞台であった。

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