お米爆食の爆睡少女
川島ゼミ 観劇レポート(2025年6月期)
劇団四季『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
2025年5月22日(木)13:30/JR東日本四季劇場[秋]
やはり劇団四季は魅せてくれた。原作映画の世界から飛び出してきたようなキャラクターたち、劇場空間に張り巡らされた仕掛けの数々。次々と繰り出される演出は私たちを物語の世界へと連れて行ってくれた。
映画界の傑作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が日本で幕を開けたのは、映画公開から40周年が経った2025年4月。全3作からなるシリーズの第1作目をもとに創作されている。ミュージカル化にあたり新たな演出を取り入れつつも、映画の魅力はそのまま伝えるべく、映画に引き続き台本はボブ・ケイルが、作曲はアラン・シルヴェストリが手掛けている。
舞台は1985年、カリフォルニア州ヒルバレー。ロックスターに憧れる高校生のマーティ・マクフライは冴えない日々にうんざりしていた。一方、彼の友人である科学者“ドク”ことエメット・ブラウン博士はついにデロリアンを改造したタイムマシンを発明する。マーティはデロリアンの実験を手伝う中でアクシデントにより1955年へとタイムトラベルしてしまう。その時代のドクを探し出し、なんとか1985年に戻ろうと奮闘する。ところがある時、マーティは高校時代の母親に出会い惚れられてしまう。両親が恋に落ちなければ自分は生まれないのに恋に落ちる気配もない。果たしてマーティは無事両親の仲を取り持ち、未来に帰ることが出来るのか。
劇場に入った瞬間、時空がゆがんでいるような錯覚に陥った。舞台の緞帳から客席側の壁、天井まで映し出されているギザギザなLEDボード、電気と電気が交じり合うときに発するジリジリといった音、緞帳の真ん中に大きく映し出される機械的な文字ディスプレイ。開演前からタイムトラベルの感覚に陥りやすくするための仕掛けがなされていた。開演後ももちろん時空を超えるための工夫が散りばめられていたが、やはり1番印象的だったのは実際にタイムリープするシーンであった。背景がビュンビュン移り変わるプロジェクションマッピングと回転式の舞台を最大限に使用し、タイムスリップに必要な時速88マイルという速さとマーティの焦りを表現していた。あのシーンはまさに現代的で劇団四季の特性を生かした表現であった。
タイムマシン「デロリアン」は一体どこから来たのだろうか。マーティがピンスポットライトに当たる中でドクを探すシーン。ブオーンという大きな音と共に真っ暗な背景から登場した。デロリアンは映画で使用されていたものをそのまま持ってきたかのような再現度であった。このような細部まで緻密に作りこまれた車体に加えてさらに舞台ならではを活かしてコメディ要素を含んでいた。原作映画ではAI音声を含んだデロリアンがドクの言ったことにしか反応せず、マーティの言うことは聞いてくれないという場面だが、舞台ではマーティがドクの声真似をして動かそうとしてみたり暴言を吐いてみたりと観客の笑いを誘っていた。
