西原ゼミ「わたしのベスト3」

大学生活で出会った作品ベスト3:心理ミステリー小説
しょな
第1位 夕木春央『方舟』(講談社)
大学生の友人と従兄とともに山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族を含めた十人で、そこで一夜を明かすことになる。しかし、明け方発生した地震の影響で扉が岩でふさがれ、さらに地盤に異変が起き、水が流入し始めた。いずれ水没する地下建築に全員が動揺する中、殺人が起こった。この地下建築は、誰か一人を犠牲にすれば脱出できることが分かり、その生贄には、殺人を起こした犯人がなるべきだ。犯人以外の全員が、そう思った。
複雑な構造の建築や十人の登場人物の心理描写など、情報量の多い本作は、大学生となった今だからこそ理解し、興味深く読める作品であった。

講談社BOOK倶楽部
第2位 浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』(KADOKAWA)
大手IT企業の最終選考に残った六人の大学生。全員の内定を目指して親睦を深めていたが、採用枠が一つに変更され、ディスカッションで一人だけが選ばれることに。選考開始直後、部屋で六つの封筒が見つかり、全員の嘘が暴かれ始める。激しい争いの末、内定を勝ち取るのは誰か。
2就職活動を行う大学生だからこそ、とても印象深い作品になる。嘘の役割は何なのか、自分が使う嘘は何のためなのかなど、嘘をつく心理について考えさせられる作品である。

KADOKAWAオフィシャルサイト
第3位 朝井リョウ『正欲』(新潮社)
本作は、社会の「当たり前」から外れた性質や感情を持つ人々が、それぞれの孤独や葛藤の中で生きる姿を描いた物語である。
皆が自分の普通を押し付け合うように生きており、大勢の普通が同じだった時、それが世間の当たり前になる。その当たり前から外れた人間を異常者のように扱う社会の仕組みはおかしいと訴える内容であり、「普通」について考えるようになったきっかけの作品である。世の中には色々な人が居ることを知った大学生の今、読んでほしいと思える作品である。

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