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西原ゼミ「わたしのベスト3」
2024年・背中を押されたベスト3
れもんてぃー
第1位 さかなこうじ「今日、駅で見た可愛い女の子。」(『COMICポラリス』フレックスコミックス)
アラフォーの亀山がよく駅で見かける可愛い子。亀山は、彼女が身に着けているグッズや化粧品、おもちゃなどのアイテムの知識と魅力について思いを巡らせる。彼女に話しかけたいけど、常識的にできない。そんなことを考えながら、今日も可愛いアイテムを前に心の中で叫び続ける。
懐かしいアイテムの登場と作画の再現度の高さが特徴的であり、しかも亀山がちょっとした商品の知識を語っているのがこの作品の魅力である。ジェンダーを超えた「可愛い」と、自分の好きという気持ちを大切にしたいという登場人物たちの思いを読んでほしい。
今日、駅で見た可愛い女の子。公式サイト(COMICポラリス)
今日、駅で見た可愛い女の子。公式サイト(COMICポラリス)
第2位 米澤穂信「ふたりの距離の概算」(KADOKAWA)
『氷菓』に続く、米澤穂信のシリーズ5作目であるこの作品。奉太郎たちの所属する古典部に待望の新入生・大日向が仮入部したが、彼女は本入部直前に辞めると宣言する。入部締切日に開催されたマラソン大会で、奉太郎は走りながら大日向の心変わりの真相を推理する。
「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」を信条とする省エネ主義・折木奉太郎が自ら行動を起こすという、所属する古典部への思いの変化と彼の成長が感じられるところがこの作品の魅力である。ほんの少しの思い違いから起こる不和と思いがけない真相には共感を覚えるとともに、話し合うことの大切さを教訓として感じさせられる。タイトルの「ふたりの距離の概算」は何を指すのか、推理しながら読んでみてほしい。
ふたりの距離の概算 出版社紹介サイト(KADOKAWA)
ふたりの距離の概算 出版社紹介サイト(KADOKAWA)
第3位 美内すずえ「ガラスの仮面」(『花とゆめ』白泉社)
演劇が大好きな少女・北島マヤ。彼女の芝居の才能を見抜いた大女優・月影千草によって、マヤは幻の名作「紅天女」の後継者になるべく演劇の世界へ足を踏み入れる。時を同じくして演技の天才・姫川亜弓も紅天女を目指し、2人は永遠のライバルとなる。紅天女の上演権をめぐり、大都芸能の速水真澄なども加わり、道はより一層険しさを増す。しかしマヤは演劇を愛し、高みを目指して進み続ける。
演劇に人生を賭けた少女が多くの人と関わることで人間として成長する様子を見られるところが、この作品の魅力である。体験したことがないことは実践できない、当たり前のことのように感じられるが、案外忘れてしまうものである。演じるために「できない」ことを「できる」に変える、才能だけではない努力をぜひ読んでほしい。
ガラスの仮面 公式サイト(白泉社)
ガラスの仮面 公式サイト(白泉社)