サイトマップ
西原ゼミ「わたしのベスト3」
2024年・予測不能!衝撃的作品ベスト3
あかさたなに
第1位 大須賀めぐみ「マチネとソワレ」(『月刊少年サンデー』小学館)
主人公・三ツ谷誠は、演技の才能も努力し続ける根気もある優れた俳優であり、数々の舞台をこなす有名人でもあるが、彼の実力は世間に評価されていない。それは、さらに圧倒的な才能を持つ兄・三ツ谷御幸がいるためだ。御幸は既に亡くなっているが、その存在感のために、誠は御幸と比べられ続けているのである。そんなある日、誠はパラレルワールドに迷い込んでしまう。そこでは死んだはずの御幸が生きており、逆に誠は幼少期に死んだとされていた。この世界では御幸の弟というレッテルがないことに気づいた誠は、自分の実力を試すため、兄を超えるため、この世界で舞台の上に立つことを決意する。
劇中劇には『ハムレット』などの有名作も出てくるのだが、この物語への作者の解釈の仕方事態が非常に面白く、演目の内容自体にそれを観てみたいと思わせる力がある。そこにさらにキャラクターたちの演技や演出への狂気的な熱意が合わさり、予想のつかない不気味だが美しい世界がそこに広がっている。また、作者はあらゆるものへの解像度が高く、私たちの知識が無い演劇という分野へもそうなのではないかという説得力に繋がっている。
誠はなぜパラレルワールドに来てしまったのか、兄弟は本当に死の運命から逃れることが出来ているのかといった未回収の伏線も多く、読む手が止まらなくなる。誠と御幸の複雑な関係性が演劇を通してどのように変化していくかにも注目して読んでもらいたい。
マチネとソワレ 公式サイト(ゲッサンWEB)
マチネとソワレ 公式サイト(ゲッサンWEB)
第2位 三香見サカ「薫る花は凜と咲く」(『マガポケ』講談社)
底辺男子高校に通う主人公・凛太郎と、隣のお嬢様校に通う薫子の、近くて遠い青春物語。
本当は優しい心を持つのに外見のせいで偏見を持たれることも多く、本音を語れない凛太郎が、薫子と出会うことで少しずつ人々に心を開いて前へと進んでいく様子や、二人のもどかしい距離感が甘酸っぱい。どのキャラクターも心の優しい人物で、微笑ましく読める。
薫る花は凜と咲く 公式サイト(マガポケ)
薫る花は凜と咲く 公式サイト(マガポケ)
第3位 アストラ芦魔「ハンサムマストダイ」(『少年ジャンプ+』集英社)
重度のアイドルオタクである主人公の悠里は、ライブ帰りに推しの涼と偶然で合うが、目の前で殺されてしまう。それが、彼が昔通っていたアイドル養成所の仕業であると知った悠里は、涼の無念を晴らすため、ハンサムダビデ像を爆破すべく養成所へ攻め入るというコメディ作品である。
常に予測不能な疾走感あふれるギャグばかりで、意味が分からなくて思わず笑える作品。あらゆる常識を壊してくるため、普通はこうなるはずだと思い浮かべながら読んでほしい。
ハンサムマストダイ 公式サイト(少年ジャンプ+)
ハンサムマストダイ 公式サイト(少年ジャンプ+)