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西原ゼミ「わたしのベスト3」
「2024・素敵な世界に浸れる作品ベスト3」
かびるんるん
第1位 サークル:月間湿地帯「ファミレスを享受せよ」(わくわくゲームズ)
満月の綺麗な夜。主人公は勉強の息抜きにファミレスに訪れるが、永遠のファミレス『ムーンパレス』に迷い込んでいた。そこからは出ることができず、老いることも、飢えることもない。スタッフが居ないのに補充されるドリンクバー。先に迷い込んでいたのは、小国の王様を始めとする個性的なキャラクターたち。不思議な空間で、ゆっくりドリンクバーを飲みながらキャラクターと雑談をしよう。そうすれば、元の世界に戻れる方法が見つかるかもしれない。
この作品の魅力は、ドット調のシンプルな線、3色(黄色・黒・青)のみを使った色彩という素朴なグラフィックにある。また、2つのエンドストーリーは、どちらを読んでも良かったと思えるところだ。ゲームをプレイするときには、登場するキャラクターの細かな心情にも注目して欲しい。
ファミレスを享受せよ(わくわくゲームズ)
ファミレスを享受せよ(わくわくゲームズ)
第2位 高松美咲「スキップとローファー」(『月刊アフタヌーン』講談社)
石川県の過疎地から、高校へ進学と共に単身で上京したヒロインの岩倉美津末。完璧な生涯設計を定めるが、天然な性格から空回りしてしまうことも。ズキズキ、シクシクな感情も、美津末といればいつの間にかハッピーになれる。
この作品の最大の魅力は、繊細な表現にある。各キャラクターに視点を当て、誰もが感じたことのある“悩み”や“ちょっとしたもやもや”を、忠実に描いている。そのようなネガティブなことも、別の人の視点から見たり、友達と集まって考えたりすれば、ポジティブに捉えられることに気づかされる。また、カバー裏には四コマ漫画が描かれていたり、作者の高松がアシスタント・担当編集者へ感謝を述べたりしている。こうした高松のちょっとした部分までの心遣いも、魅力に感じる。
スキップとローファー 公式サイト(アフタヌーン)
スキップとローファー 公式サイト(アフタヌーン)
第3位 野干ツヅラ「午後五時四十六分」(KADOKAWA)
人外と少女の恋愛を描いた短編集。各物語は、1ページから読み切りサイズまでさまざまあるため、飽きずに次の物語を読むことができる。また、どの話にもメインとなるキャラクターのみが登場するため、2人だけの世界観を楽しめる。
この作品の魅力は、(妖怪・獣・信号機など)多種多様な人外と少女の様々な恋愛模様を見ることができることにある。また、幸せな結末しか迎えないため、ハッピーエンドが好きな方にもおすすめだ。人外と少女の恋愛に飢えている方は、是非1度読んでいただきたい。
午後五時四十六分 野干ツヅラ短編集(pixivコミック)
午後五時四十六分 野干ツヅラ短編集(pixivコミック)