西原ゼミ 「大学生で出会った作品ベスト3」

ロシア革命で亡くなったと言われる皇女アナスタシアが生きていたら、そして男として軍に入隊していたら、という話です。

聞き手である主人公はコルニコフと名乗る男性から「私の運命を決定（きめ）てください」と、彼が軍隊にいたころの友人であったリヤトニコフという人間の話をします。活発でいて気品が備わっているリヤトニコフは、ある日コルニコフに自分の隠し持っていた大量の宝石を見せます。

リヤトニコフは自分の過去を話します。元は貴族であったこと、先のロシア革命で家族が殺されたこと、その家族にあらかじめ宝石を託されたこと。コルニコフにだけそれを話し、コルニコフにだけ宝石を見せた意図にも気付かず彼は宝石欲しさにそれをはぐらかし、その後リヤトニコフは戦場で死んでしまいます。

リヤトニコフの正体とその死に様の表現、コルニコフの語るタイトルの意味にもう四年も囚われています。

女好きの荘介の元に、「おんどれのヨメじゃ」という自分の父親からの手紙と共に道という女性が嫁ぎに来ます。好みとは正反対の道を家政婦扱いする荘介でしたが、どこか抜けている彼女に徐々に絆され、互いに想う人がいながらも円満（？）な夫婦生活を続けます。

だらしない荘介とどこか抜けている道の生活の中にこうの史代特有のふわふわとして不穏な表現がたくさん詰め込まれており、『この世界の片隅に』のすずさん夫婦が好きな方におすすめです。

ボーイズラブ作品です。オメガバースという、男女という性に加えα、β、Ωの三つの性別が存在する世界で、αは優秀、βは平凡、Ωは発情期とαに支配される弱い存在として扱われております。Ωはαにうなじを噛まれることにより番になり、子供を産みますが、αからの一方的な解除も可能です。

そんな世界でΩとして生まれたケイタは、一度αの男性と円満な結婚をしましたが子供が出来ないという理由で離婚になり、海外ではΩ性を失くすことができると聞き渡航します。そこで詐欺に遭い一文無しになたケイタを拾ったのはαのダレン。ケイタに英語を教えるダレン、ダレンの苦悩を知るケイタ。傷つき合った二人がαとΩという性に縛られながらも愛を深める作品です。