西原ゼミ 「大学生で出会った作品ベスト3」

[大学生で出会った作品ベスト3(サッカー、オトナの恋愛、カラオケ!)]
綾野あやの
第1位 小林有吾「アオアシ」(『週刊スピリッツ』小学館、2015年)
この作品は主人公がプロサッカー選手になるために、ユースクラブでサッカーを学ぶスポーツ漫画。夢を叶えるために一直線に成長する姿は眩しくて清々しい。
誰でも手軽に参加できる部活動とは違い、選抜者だけが所属し育成されるユースが舞台となっている。そのため、主人公はもちろん、登場人物たちは人生をかけて、超必死にサッカーをしている。
主人公は勝つために、プロになるために、具体的な手段を考えて考えて考えて、思考し続ける。「アオアシ」は考えて、実行して、それがハマった瞬間が最高に面白い。プロを目指して育成されるエリートばかり集められた環境で、けして優秀とは言えない主人公がどう渡り合っていくのか、強敵や未熟さと向き合い、次はどんなことをしてくれるのか。読んでいて楽しみで仕方が無い。応援せずにはいられないはず! ところで、主人公の名前は青井葦人(あおいあしと)という。…略して「アオアシ」なのか?
第2位 壱屋すみ「踏んだり、蹴ったり、愛したり」(『SYLPH COMICS』KADOKAWA、2021年)
バリバリの仕事OL佳帆(かほ)の楽しみは、バーで知り合った泰(あきら)という男をと酒を交わしながら気兼ねなく話すことだった。泰という男は、三十路で童顔、酒、煙草、女遊びも激しくクズ要素が満載だった。ふたりの間にあるものは友情のはずだが、一線を越えてしまう……という話。
現実にこんな男がいたら酒の肴にして笑い飛ばすのだが、これは漫画だからこそ魅力的。泰のビジュがかっこいい、クズのくせに。クズだからこそなのか?佳帆もウジウジ悩まず、ハッキリとモノを言い、行動に移すかっこいい大人な女性。一筋縄ではいかないオトナたちの刺激的な攻防戦が繰り広げられる。いやよ、いやよ、も好きのうち?
私は童顔三十路のクズ男にあっさりと心奪われました。漫画なんだから、夢だけ見たっていいでしょ。
第3位 和山やま「カラオケ行こ!」(『BEAM COMIX』KADOKAWA、2020年)
合唱部に所属する男子中学生、岡聡美(おかさとみ)は、ヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)に歌唱指導をするように絡まれる。それはヤクザのカラオケ大会で、歌ヘタ王になると組長に刺青を彫られるため、それを回避したいというくだらない理由だった。
実写映画化もされるこの作品。辛辣な関西弁でテンポ良く進むストーリーには、ところどころギャグがちりばめられている。怖い顔したヤクザおっさんたちが真剣にカラオケで歌っている状況が面白いのだが、その歌をボロクソに評価する聡美くんもなかなか面白い。
私はオチと結末が最高に好き。1巻完結の短い作品だからそこ得られる読後の満足感。
なぜか忘れられないワードは「三代目米津玄師」と「コカイン星の宇宙人」。

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