西原ゼミ 「大学生で出会った作品ベスト3」

[大学生で出会った「時間を忘れて読んだ」作品ベスト3]
第1位 阿部共実「月曜日の友達」(『週刊ビッグコミックスピリッツ』小学館、2017年)
中学生になった主人公・茜と、超能力が使えるという不思議な男子同級生・月野の交流を描いている作品。全2巻。中学生になったとたん周囲が大人びていく様子に困惑し、どこか置いてけぼりにされるような感覚を味わう茜。ひょんなことから月野と知り合い、夜の学校で会う約束を取り付けてしまう。ぼんやりとしか輪郭を捕らえられない将来への不安や焦燥感、何でもできるような万能感とどこにも行けないような窮屈感が巧みに表現されている。彼らが過ごしていく日々は生々しくて、いじらしくて真剣そのもの。オノマトペや擬音がほとんど使われていないところにも注目してほしい。
(参考情報:ビッグコミックBROS.NET
第2位 萩尾望都「11人いる!〈新編集版〉」(小学館、1994年)
24年組のひとり、萩尾望都のSF作品。宇宙大学の入学試験で、試験用の宇宙船に10人しかいないはずの受験生がなぜか11人いる、というところから始まるSF密室ミステリー。外部との連絡ができない中、紛れ込んだ11人目を探しながら様々なアクシデントを乗り越えようと奮闘する様子が描かれる。SFでさらにミステリー要素があると聞くと、とっつきにくく感じるかもしれないが、時間を忘れてぐんぐん読み進めてしまう。ストーリーだけでなく、様々な星系からやってきたキャラクターたちの生態や文化も凝っていて面白い。
(参考情報:小学館コミック
第3位 平庫ワカ「マイ・ブロークン・マリコ」(『COMIC BRIDGE online』KADOKAWA、2020年)
親友・マリコの死をきっかけに、主人公・シイノは彼女の遺骨を抱えて海を目指す。映画化もされた本作品は、一話目からシイノのがむしゃらで衝動的な疾走感と、二度と戻らないマリコとの思い出に、心臓を鷲掴みにされるような感覚を味わうだろう。また、キャラクターたちの表情が絶妙で、切なくて痛々しいのに目が離せない魅力にあふれている。二転三転する物語がどのように着地していくのか、ぜひ読んで確かめてほしい。
(参考情報:カドコミ

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