西原ゼミ 「わたしのベスト3」

リアルな現代社会からディストピアまでをも舞台とした、奇妙な後味のする短編集。偶然再生した動画を見て目を疑うような事実に気付く「紫色の洗面器」、人間の幸福度測定とリスク管理ができるAIを開発した「過程の医学」、男性が死亡した事故について報じた文面から始まる「最後の1日」などといった、読者をなんとも形容し難い曖昧な気持ちにさせる短編小説が17本収録されている。自分にも経験がある生々しさ、あるいは想像の域を超えた突飛な展開がそれぞれに詰め込まれていて、文字を追うごとに息を呑む一冊。
（参考情報：『名称未設定ファイル（朝日新聞出版）』）

健忘症の紗音琉（しゃねる）ちゃんと見栄っ張りのちひろちゃん、2人は地元しか世界を知らない。どんなことがあっても、地元から出られない。犯罪・貧困・暴力・支配が蔓延する田舎で、鬱屈したコンプレックスを抱えてアウトローな生活を送る個性豊かな女性たちが登場する。可愛らしくデフォルメされた絵柄から放たれる、想像を絶するほどバイオレンスな描写が特徴的。伏せ字と血飛沫が飛び交う日常でも、彼女たちは地元こそが最高の場所なのだと信じて「仕事」に励む。
（参考情報：『彩図社』）

複数人それぞれが原作と作画を担当する集団・にゃんにゃんファクトリーによる漫画作品。 舞台は人間以外に「獣人」が存在する世界。主人公で獣人のヤニねこは、可憐な見た目とは裏腹に深刻なまでのニコチン依存症。加えて倫理観も清潔感も欠如していて、彼女の自堕落を極めた生活に思わず頭を抱えたくなる。ヤニねこのタバコに対する執着から巻き起こる騒動や、同じアパートに住む獣人たちとの時に緩く時に激しいやりとりがコミカルに描かれる。
（参考情報：『ヤングマガジン公式サイト』）