西原ゼミ 「わたしのベスト3」

[“挑む者”へ捧げる本]
酸味果物
第1位 著:サン=テグジュペリ/訳:倉橋由美子「星の王子さま」(文藝春秋)
 「大切なものは目には見えないんだよ……」という言葉。あなたや私にとって、目には見えない大切なもの。それは時間か、思い出か、感情か、音楽か、香りか…。心の中心を動かしているもの。それは一体何でしょうか?
あまりにも有名過ぎる『星の王子さま』ですが、この本の真価は忘れたころに発揮されます。「大切なもの」を忘れた頃、心が動かなくなったまさにその頃です。
子供から大人まで、受けとるメッセージがそれぞれ変化していきそうな、そんな人生に寄り添う本といえるでしょう。この本は、子供心に思いをはせ「大切なもの」に問いかける物語です。一生懸命に今を生きるすべての人たちへ捧げたい一冊です。
(参考情報:『文藝春秋BOOKS』
第2位 ナガノ「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ 5」(『モーニング』講談社)
「なんか小さくてかわいいやつ」というタイトルからは、“挑む者”というキーワードは想像つかないかもしれません。しかし、『ちいかわ』はきっちり”挑む者”のお話となっています。
「ちいかわ」は生物の種名のようなもので、登場人物のほとんどが「ちいかわ種」になっています。例外もいますが、「ちいかわ」は基本的には非力で、精神性も強いとはいえません。そんな「ちいかわ」達が友人と手を取り合い、たくましく生きていく様を描くこの作品は、まさしく“挑む者”へ捧げる物語なのです。
(参考情報:『講談社コミックプラス』
第3位 木内昇「茗荷谷の猫」(文藝春秋)
この本は、江戸幕末から昭和時代にかけて東京で生きた人々の数奇な運命を描いた短編小説です。
全ての話において、苦しく雲を掴むような運命に翻弄される人々を描いています。それはときに時代のせいであり、ときに彼ら自身がつかみ損ねた夢や希望を追い続けたせいでもあります。しかしたとえ幸福でなくとも、たとえ夢が叶わなくとも、それでも構わないのではないだろうかと。十分頑張ったではないかと。そう思わせてくれるようなそんなほろ苦い希望を語る短編集です。
過去から未来まで変わり続ける人々へのまたは、自分自身への応援の一冊です。
(参考情報:『紀伊国屋書店ウェブストア』

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