お米爆食の爆睡少女
川島ゼミ 観劇レポート(2024年12月期-1月期)
劇団四季『アラジン』
1月9日(木)13:00/電通四季劇場[海]
あまりのクオリティの高さにスタンディングオベーションせずにはいられなかった。2015年5月に日本初演の幕を開け、今日までロングラン公演され続けてきた劇団四季『アラジン』。ディズニー音楽の巨匠アラン・メンケンによる多彩な音楽、躍動感あふれるダンス、砂漠の王国・アグラバーを表現したエキゾチックできらびやかな衣装や舞台装置。すべてが見事に融合された本作は6月のトニー賞にて作品賞を含む5部門にノミネート。さらに最優秀助演男優賞を獲得するなど、絶大な評価を得ている。
舞台は砂漠に囲まれた神秘と魅惑の都アグラバー。そこに住む青年アラジンは、貧しさから仲間たちと盗みを繰り返す日々を送っていた。そんな時、王宮を抜け出し市場へ訪れたジャスミン王妃に恋をする。もう会えないかと落ち込んでいたが、ひょんなことからアラジンは魔法のランプを手に入れ、魔人ジーニーと出会う。3つの願いが叶うと聞いたアラジンは、最初のお願いで自分を王子に変えてもらい、ジャスミンに会いに行く。アラジンとジャスミンは無事結ばれるのだろうか。
劇場に入るとそこはアラジンの住む世界であった。魔法の絨毯を連想させるような模様の緞帳、緞帳の隙間からもれるオレンジ色の光たちが私を旅へ誘ってくれるのである。開幕後も世界観はしっかり保たれていた。舞台装置は上から横からと代わる代わる登場し、アグラバーの昼夜や王宮の部屋を違和感なく作り上げていた。また、プロジェクションマッピングを多用し、立体感のある空間づくりがなされていた。
「アラジンはどこへ消えた?」、「ジーニーから出る火花はどこから出ているの?」、「魔法の絨毯が浮いている?!」と目まぐるしいほど摩訶不思議なことが起こり続けた。特に印象深かったのは、本作の最大の見どころともいえる魔法の絨毯で2人が空を飛ぶシーンだ。きらびやかな衣装とまぶしいほどの照明が使用されていたこれまでのシーンとは一転し、真っ暗な空間を演出する。その中で浮かび始める絨毯は、本当に魔法の絨毯なのではないかと思われた。
ジーニーのパフォーマンス力には驚かされた。常に観客とのコール&レスポンスを大事にし、誰一人として置き去りにしないのである。そんなジーニーを信頼し、いつのまにか観客全員がジーニーの虜になっていた。場面ごとに変わる声のトーンに感動し、炸裂する面白さに笑う。会場が一体感に包まれる非常に素晴らしいパフォーマンスであった。
今まで見たことのない『アラジン』であった。それは決して悪い意味ではなく、舞台『アラジン』がしっかり確立していた証拠である。オリジナリティをしっかり出しつつ、アラジンの世界へ私たちを連れていく、そんな新感覚を味わえた作品であった。