Asahi
川島ゼミ 観劇レポート(2024年12月期-1月期)
劇団四季『アラジン』
12月18日(木)13:30/電通四季劇場[海]
2014年3月の開幕以来、興行収入も常にトップを維持し続けている劇団四季ミュージカル『アラジン』。ロングラン上演10年目という節目となった去年まで多くの観客に愛される作品となったのは、本作はエンターテインメント性があり、キャラクターや世界観の再現度の高い点が観客を魅了していると感じた。また、原作となるディズニーアニメーション映画の人気も関係しているのではないだろうか。閉じ込められた世界から自由を求め、さまざまな問題に立ち向かうというストーリーは、現代人にも深く問いかけるものがあるのではないだろうか。
本作は、幕が上がる前のオーバーチュアから『アラジン』の世界に没入してしまう。座席についてまず、緞帳が真っ赤で豪華だと感じた。しかし、開演して音楽が鳴り始めると先ほどまで赤色だった緞帳が、ピンク・青・紫など色が変化していき照明を使って幕全体を照らしていたことに驚いた。また上演開始のアナウンスが“ジーニー”によるもので、始まる前から本編のワクワクが抑えられなかった。劇団四季では、アドリブが禁止されているが『アラジン』のジーニーを演じる俳優だけアドリブが許されている。このようなアドリブで観客への働きかけがある演出によって楽しく観劇することができた。また物語全体的にコメディ要素溢れる内容であるので、ミュージカルを日常的に見ない観客でも楽しく観劇できるのではないだろうか。
劇団四季版の『アラジン』は、ディズニー版とは異なる設定がなされている。アラジンやジャスミン、ジャファーの相棒として付いているそれぞれの動物たちが人間として描かれているのだ。アラジンの相棒猿のアブーは、陽気な3人組として追加されていたり、ジャスミンの相棒でトラのラジャーは、代わりに侍女達として登場してきたり、ジャファーの相棒オウムのイアーゴは、部下になっている。ディズニー版を知っている人からすると残念ではあると思うが、違和感なく見ることができるだろう。
劇団四季ミュージカル『アラジン』は、今や四季を代表する作品となっている。その背景には、臨場感溢れるパフォーマンスと、四季では普段味わうことのないアドリブといったエンターテインメント性が感じられることによって、誰でも気軽に足を運びやすい演目になっていることが挙げられるだろう。