川島ゼミ 観劇レポート(2024年1月期)

劇団四季『アラジン』
1月12日(日)13:00/電通四季劇場[海]
Sarina
私は今回劇団四季のブロードウェイミュージカル『アラジン』を観劇してきた。この作品は、2014年3月の開幕以来、週間興行収入も常にトップクラスに位置している大ヒットミュージカルである。舞台は砂漠に囲まれた神秘と魅惑の都アグラバー。貧しい生活から盗みを繰り返すが、いつかは真っ当な人間になって見せると心に誓っている主人公のアラジン、見知らぬ王子との結婚を拒み、自由を求めて王宮を抜け出した王女ジャスミン、3つの願いが叶うという魔法のランプを手に入れ、王国を支配しようとたくらむ大臣のジャファー、ジャファーにそそのかされて魔法の洞窟に来た、アラジンの願いを叶えることになった魔法のランプの精ジーニー。この4人を中心に巻き起こる物語は、魔法で溢れていた。
 『アラジン』の世界観を引き出す上で欠かせないのは壮大な音楽である。『美女と野獣』や『ノートルダムの鐘』など、数多くのディズニーアニメーションの作曲を手掛け、世界的に高く評価されるアラン・メンケンによる楽曲は、聴くだけで壮大な世界に連れて行ってくれるようだ。計6曲のディズニーアニメ版にはない楽曲は、登場人物の心理をより深く表現し、「アラビアンナイト」や「フレンド・ライク・ミー」、「ホール・ニュー・ワールド」などの楽曲は劇団四季バージョンに編曲されており、より音に厚みが増していた。その中でも特に印象的だったのは、「フレンド・ライク・ミー」である。ジーニーのおしゃれな歌い出しが印象的であるのはもちろん、曲の中盤にあるアラン・メンケン・メドレーで様々なミュージカルを体験できるお得感があり、いい意味で裏切られた。7分44秒もある大ナンバーであるが、その長さを感じさせないエンターテイメント性にとても痺れた。
 ダンスもこの作品を構成する大切な要素の1つである。男女ともに上半身もラインがよく見える衣装を着ているため、更にダンスのラインがよく見られる。しかしミリ単位で空えられた群舞に劇団四季のレベルの高さが語られていると感じた。また、男性は上半身の見える衣装もあり、鍛え上げられた肉体が輝いて見えた。腰を深く落とす動きや、手や足をフレックス(直角である状態)で踊っているのが印象的で、他の劇団四季作品と比べると、綺麗さよりパワーが溢れるダンスであると感じた。
舞台セットで一番印象的であったのは、やはり「ホール・ニュー・ワールド」である。小さいころに一度は夢見た、魔法の絨毯に乗って空を飛びたいという願いを劇団四季は叶えてくれた。満天の星空と青く光る月の背景に二人の姿が映え、とても美しかった。反対に魔法の洞窟での、金と火花のこれでもかというほど煌びやかな舞台は、ワクワクと共にどこか居心地の悪さを感じ、ここに迷い込んだアラジンもこんな気持ちだったのではないかと思わされた。
幼いころに描いた夢をもう一度思い出させてくれる、そんな魔法を、劇団四季の『アラジン』は私たちにかけていった気がした。

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