Yuka
川島ゼミ 観劇レポート(2024年12月期)
劇団四季『ライオンキング』
11月2日(土)13:00/有明四季劇場
劇団四季「ライオンキング」の原作は1994年に公開されたディズニーのアニメーション映画「ライオンキング』である。1997年にブロードウェイで初演を迎え、日本では2004年に劇団四季によって初演を迎えた。あらすじは、若いライオンのシンバは、叔父スカーに裏切られ、父ムファサを失う。そして罪悪感から逃げ出したシンバ。しかし、成長したシンバは故郷の危機を知り、王としての責任を果たすため戻る。最終的にスカーと対決し、シンバの大事なサバンナを取り戻す物語である。この作品の全体評価は、まず舞台美術と衣装の美しさである。アフリカの風景や動物がリアルに表現されていた。また音楽と歌声である。「サークルオブライフ」と「ハクナマタタ」は誰もが聞いたことがある歌なので始まった瞬間興奮をしてしまった。ライオンキングの魅力はストーリーや音楽だけではない。では、一体他にどのような魅力があるのか?
1つ目は身体表現である。シンバの幼少期のシーンではシンバとナラが一緒に遊ぶシーンが描かれている。二人のライオンやシマウマの動きを真似ながら、元気に跳ね回る姿が印象的であった。演者さんたちの動きはとてもリアルだったというのが正直な感想である。例えば、シンバが草むらを駆け回る時に四足で走るような動きそして、耳を立てる仕草がみられる。これにより、観ている人は舞台上の人間に対し動物らしさを感じるのだろう。
そして次に照明である。シンバがムファサを失った後のシーンでは、シンバが深く悲しんでいる様子が描かれている。それまでは暖色の照明が発色良く照らされていたのに対し、照明を暗くし青い照明を使うことによって、シンバの孤独感や悲しみが強調されていた。この照明の変化によって感情や物語自体の分岐点を表現していると考える。
最後に音響である。サバンナの夕暮れ時のシーンでは、自然の中でのシンバとナラのやりとりが描かれている。ナラがシンバに「王になるべきだ」と言う場面では、自然の音が静まり、彼らの会話に焦点が当たる。この音響効果によって、観客は二人の演技に注目することができる。
このように劇団四季『ライオンキング』はストーリーや音楽だけではなく身体表現、照明、音響などの魅力もたくさん詰まっている舞台なのである。それらの魅力が会場をよりサバンナに仕立て上げ、物語により観客を引き込む要素だと考える。色彩豊かな舞台装置や動物の表現が観客を魅了し感情豊かなストーリーにするのだと感じた。