R.O
川島ゼミ 観劇レポート(2024年12月期)
劇団四季『アラジン』
11月23日(土) /電通四季劇場[海](汐留)
劇団四季『アラジン』は2015年5月に日本初演の幕を開け今も尚公演を続けているロングラン公演だ。今年1月より長期保守点検のため休演していたが、東京公演電通四季劇場[海]で8月27日(日)、8ヵ月ぶりに公演が再開した。『アラジン』は誰にも愛される優しい心をもった貧しい青年の物語である。口達者な魔人のジーニーを脇役に、決意と人格を試す冒険へと乗り出す。そして、真実の愛をみつけ、国民の尊敬を勝ち取り、人の真の価値はその人の心の中に秘められていることを知るというストーリーである。今回はこの作品に欠かせない存在のジーニーと魔法の演出や視覚的な演出に注目して観劇した。
まずジーニーの存在感について。この作品で最も重要になってくると言っても過言では無いこのキャラクター。ジーニーは魔法のランプから現れる陽気な精霊で、子供にも親しみやすいキャラクターとなっている。ジーニーは映画版と同じく自由奔放なキャラクターとなっており、それに加えて劇団四季版では個性溢れるアドリブをしたり、セリフの中に小ネタをいれていたりしていた。子供から大人まで会場が笑いに包まれている光景はまさに魔法であった。また、観客に直接話しかけるようなシーンもあり、舞台と観客席の壁を壊す大切な存在で、空間に一体感を与えているキャラクターである。
そんなジーニーは登場シーンや魔法の絨毯で空を飛ぶシーンなど、様々な魔法をかけるのだが、そんな魔法を使うシーンでも一体感を感じた部分があった。私は今回、2階席から観劇したのだが、魔法の絨毯が空を飛ぶシーンでは奥行き感を演出していると感じ、2階からの距離感でも舞台に吸い込まれ、魔法にかかったような気分になれた。
最後に視覚的演出について。舞台セットや原作に比べて衣装が非常に華やかだと感じた。原作よりも色が沢山使われており、その色の彩度が高かったり、ラメが光の反射で輝いていたりと視覚的効果によって舞台に引き込まれるような感覚になった。また、花火のような特効も使用しており、音でも楽しめる作品だと感じた。
劇団四季『アラジン』はジーニーの存在や演出によって、舞台に引き込まれる一体感のある作品であり、視覚的効果や音で楽しむこともでき、その楽しさを何回も鑑賞したくなる作品であった。