川島ゼミ 観劇レポート(2024年10月期)

東映ムビ×ステ 舞台『邪魚隊/ジャッコタイ』
8月25日(日)17:00/サンシャイン劇場
たぴ
舞台『邪魚隊/ジャッコタイ』は東映株式会社と東映ビデオ株式会社が立ち上げた、映画と舞台を連動させたプロジェクト「東映ムビ×ステ」の新作であり、今年5月に公開された映画『邪魚隊/ジャッコタイ』の続編である。江戸時代を舞台に、鱗蔵、スルメ、鮒右衛門、比売知、平馬の死刑囚らが死刑免除の条件で将軍に仕える特殊部隊「邪魚隊」として危険な闇仕事を任され、任務を遂行していくというストーリーだ。本作品は映画の続編ではあるが、映画を観ていない人でも楽しめる演出だった。特に印象的だったのは、プロジェクションマッピングとアドリブ、日替わりの場面である。
本作では様々な場面でプロジェクションマッピングを使用した演出が見られた。舞台でも映画でも歌唱シーンがあった「What's Showing? 邪魚隊」という曲では、邪魚隊が盗みや拷問、毒作りなどそれぞれ自分の得意なことについて歌いながら紹介していく。舞台の序盤でこの曲を聴くことで、映画を観ていない人は誰がどんなキャラクターなのか理解してから、観た人は映画を振り返りながら物語を楽しむことができる。そして、この歌を含めた全ての歌唱場面でプロジェクションマッピングが使用され、歌詞や登場人物の名前を映し出していた。そのため、古風な言い回しをしている歌詞や難しい歌詞も理解しやすかった。また、映画と繋がりがある部分は、映画を観ていない人でもわかるように背景に映像を流していた。このプロジェクションマッピングを用いた演出で一番印象的だったのは常世神の鱗粉が降ってくる場面である。客席には何も降ってきていないが、照明とプロジェクションマッピングの融合によって実際に鱗粉が降ってきているかのように感じられた。
また、本作はアドリブや日替わりが多く、客席だけでなく舞台上でも笑いが起こることがたくさんあった。御典医である蓼丸玄庵が邪魚隊に薬を作る場面では、一発芸で蓼丸を「クスリ」と笑わせられたら「薬」を作る、という大喜利が始まり、邪魚隊の中から一人が選ばれ一発芸をしなければならないという演出があった。東京千秋楽では演者が観客にテーマをもらい、なぞかけをするなど演者と観客が一つになり舞台を作り上げた。
「東映ムビ×ステ」は映画と舞台を融合させたエンターテインメントであり、この融合から新しい娯楽体験を生み出している。本作も笑い、感動、迫力のある殺陣や歌だけでなくさまざまな演出によって、映画を観た人も観ていない人も、誰もが楽しめる舞台になっていた。今回は映画から舞台だったが、舞台を観てからまた映画を観るのも新しい楽しみ方だと思った。

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