お米爆食の爆睡少女
川島ゼミ 観劇レポート(2024年10月期)
劇団四季『美女と野獣』
7月5日(金)12:30/舞浜アンフィシアター
今回観劇した作品は、『劇団四季 美女と野獣』である。1995年に初演を迎えた本作は、劇団四季がディズニーと提携した第1作目であり、パートナーシップの原点ともいえる代表的な作品だ。2022年10月からロングラン上演が行われているが、今回の公演は初演のクリエイティブスタッフが自ら再構築を手掛けた、新たなバージョンで上演している。
舞台は若くて美しい王子が住む城。人を見かけでしか判断できない王子は罰として野獣の姿へ変えられてしまう。そこへ人を見た目で判断しない娘が迷い込んできて共に暮らすことになる。恐ろしい野獣の姿にひるむことなく優しく接する娘に出会うことで野獣は優しさを取り戻していく。
劇場に入った瞬間物語の世界に飛び込んだような感覚に陥った。絵本の見開きページのような半円形状の舞台が私たちを物語の世界へ誘ってくれるのである。舞台中も物語の空間づくりが徹底されていた。舞台セットは手前、中央、奥の3段構成で上から降りてくる仕組みになっており、野獣の住む城やベルの住んでいた家、迷い込んだ森など場面の変化と同時にセットが転換されていた。私が特に印象深かったのはベルの父が森に迷い込んでしまいオオカミに襲われるシーンだ。舞台の手前を使用し観客席のぎりぎりまで迫ってくる演出は私たちに、より恐怖感を味わわせてくれた。
老婆から魔女へ、王子から野獣への変貌は何が起きたのかわからないくらい一瞬であった。フラッシュとスモークが突然現れ姿を変えていく。この演出法にディズニーを感じた。美女と野獣やホーンテッド・マンションのアトラクションでは光の演出が使用されており、野獣から王子へ一瞬で変身させたり体の透けた幽霊たちが姿を現したり消したりする演出が行われている。また、ショーではスモークを多く使用しキャラクターが登場すると言った演出を行っている印象があり、このようなフラッシュやスモーク演出はまさにディズニーミュージカルだと感じた。
また他にも、衣装のインパクトが大きかった。特に印象的だったのはろうそくである。役者のセリフと共に火が付いたり消えたりする演出は思わず拍手してしまうほど目が離せなかった。
物語のメッセージ性、演出、舞台の構造や衣装全てからディズニーミュージカル『美女と野獣』を感じられる作品であった。自分が物語の世界で生きているような150分間をぜひ一度味わっていただきたい。