Asahi
川島ゼミ 観劇レポート(2024年10月期)
劇団四季『美女と野獣』
7月17日(水)17:00/舞浜アンフィシアター
ディズニー・シアトリカル・プロダクションズの手により、1994年アメリカブロードウェイで初演されて以降、世界中で大ヒットを記録している不朽の名作『美女と野獣』。ディズニーと劇団四季がパートナー提携する原点となった今作は、また新たな演出が加わり舞浜アンフィシアターでロングラン上演されている。今作を観劇するのは2回目で、見るたび「愛の在り方」について考えさせられる。そんな『美女と野獣』のテーマでもある愛についても考察したい。
会場は、上記でも述べたが舞浜アンフィシアターというところにある。舞浜駅から徒歩10分程度で少し離れているように感じるが、会場までの経路表示があるので安心して向かえた。劇場内は、半円形のオープンステージでそれを囲むように座席が設置されている。このような舞台はあまり見たことないと感じた。舞台の見え方としては、座った場所がサイド席だったこともあって舞台奥が見えない場面が多々あった。また、舞台までが遠く感じてしまった。
今作を観劇して、ミュージカルではなくトリックが次々に起こる不思議なショーを見ている感覚になった。というのも冒頭プロローグ。王子がなぜ醜い野獣の姿になってしまったのかが語られるシーンなのだが、目を離さず見ていたにも関わらず仕掛けが分からなかった。老婆が一瞬で魔法使いの姿に変わり宙をふわふわと浮いたり、王子が魔法にかかり野獣に変わったりする演出が印象的で、現代の舞台芸術における演出技術の進化に改めて感心させられた。
また、『美女と野獣』で1番の盛り上がるシーン『ビーアワーゲスト』。煌びやかな衣装から伝わる豪華さやラストのラインダンスは見ている観客を取り込むほどの歓喜で興奮してしまった。
1幕ラストの『愛せぬならば』は、野獣の渾身の歌唱力に圧倒され鳥肌が立つ思いだった。人を愛し、愛される事だけが野獣に掛けられた呪いを解く唯一の方法であって、不器用ながらうまく接しようとするも空回りしてしまう野獣。そんなふがいない気持ちが歌に表現されていた。
この作品の愛とは、「相手を自由にすること」であると感じた。1幕までの野獣は、ベルの言い分を聞かず、自分が主体で城に閉じ込め彼女の意思を尊重しなかった。しかし終盤の野獣は本当の愛を知り、呪いが溶ける希望を捨てベルを思い手放した。今作を観劇してみて、普段考える機会のないテーマについて考えさせられた。だからこそ長年愛されるラブストーリーなのだと思った。『美女と野獣』は、一般的に知られたストーリーなので初めてミュージカルを見るような人や子どもたちにも見やすい作品であると感じた。