川島ゼミ 観劇レポート(2024年6月期)

劇団四季ミュージカル『アラジン』
2024年6月1日(土)17:30/電通四季劇場[海]
りんごあめ
さすが劇団四季と思わせる完成度の高さに胸が打たれた。今作はアクラバーの下町に住み、貧しい暮らしから盗みを繰り返す主人公アラジンとアグラバーの王国の王女ジャスミンの物語である。アラジンは王宮を抜け出したジャスミンと市場で出会い恋に落ちるが、邪悪な大臣ジャファーの策略によって、アラジンは魔法の洞窟に送り込まれてしまう。そこで出会ったランプの魔人ジーニーに願いを叶えてもらいジャスミンと結ばれる。劇団四季『アラジン』は今回が初めてだったが、豪華なセットだけでなく演出にも感動をした。
まず、ジーニーはこの物語のエンターテイメント性を強めていると感じた。映画を先に観ていたためジーニーの登場は中盤あたりだと思っていたが、今作では初めから登場し会場の空気を一気に集めた。そして、いきなり物語が始まるのではなく、注意事項として「すました顔をせず、面白かったら笑うこと」やアラビアンナイトの説明、登場人物についての紹介が行われた。内容は知っていながらもこのような演出があったことでより世界観に入りやすく、1人でも楽しむことができた。ほかにも、観客の反応を即座に感じ取って演じているところや声を使い分けて演じていたところから舞台を楽しんでいる様子が伝わり、現実を忘れて楽しむことができた。ランプの中から登場した時の大きな拍手から、観客がジーニーの登場を待ちかねていたことが肌で感じられた。また、最初と最後をジーニーが締めていたため一体感が感じられ、カーテンコールまで楽しませてくれたジーニーから人気の理由が理解できた。
次に映画に登場していた、主人公アラジンの相棒・サルや邪悪な大臣ジャファーの相棒・オウムなどの動物は、人間の相棒として描かれていた。私はアラジンの相棒・アブーが好きだったため、人間として描かれていたのは残念だった。しかし、ズッコケ三人組として描かれている点でコメディ要素が強まり面白く感じられた。また、ジャファーの相棒オウムも人間に置き換えたことで怖さを軽減させているのではないかと感じた。映画版は編集の効果もあり、音や雰囲気からかなり恐怖が感じられたが、今作は相棒が少し弱そうな部下として存在していることで、クスッと笑えて怖さがなくなっていた。子供も多く観劇に来るから、このようなエンターテイメント要素が強い描き方になっているのだと感じた。
ところどころマジックが使われていたため自分も魔法の世界に入り込んだ気持ちになれた。ジーニーが登場する時に床から出てきたり、そろったダンス、そして夜空を飛ぶ魔法の絨毯はさすが劇団四季といえるものであった。また、音が大きく会場全体に響き渡っていたため全身で世界観を体感することができた。観劇後はもう一度見たいと思うくらい満足感でいっぱいだった。

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