川島ゼミ 観劇レポート(2024年1月期)

『鬼滅の刃其ノ肆 遊郭潜入』
2023年12月8日(金)18:00/TOKYO DOME CITY HALL
朝陽
今回観劇した作品は『鬼滅の刃其ノ肆 遊郭潜入』である。炭を売る心優しき少年・炭次郎は、ある日鬼に家族を皆殺しされてしまう。唯一生き残った妹の禰豆子だったが、鬼に変貌してしまった。妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”の道へ進む。『鬼滅の刃』はアニメーションのシーズンを追って、舞台化も続いて公演している。今回の遊郭潜入編では、音柱・宇随天元と共に新たな任務へ向かう。煌びやかな夜の街で鬼の動向を探るため、変装した炭次郎たちの潜入捜査が始まる。主に花魁として遊郭に潜み人々を喰う、堕姫と妓夫太郎のストーリーである。
開演10分前までは会場撮影が可能となっていた。撮影可能なため、観劇の思い出として席から見える写真が撮れるのは嬉しいことである。また、撮影した写真をSNSで共有するため、本作の宣伝効果にも繋がる。開演前に、花街の住人を演じているアンサンブルが登場してきた。住人同士で話し、街並みの雰囲気を読み取ることができる。アンサンブルの1人が、私たちに本公演の注意事項を、住人ならではの視点で面白く伝えてくれた。
アニメーションを観ていたため、2次元のキャラクターをどう演じるのかキャストが気になっていた。キャラクターの姿を衣装で纏い、自身が演じるキャラクターの特徴的な声のトーンを合わせていた。特に、私は堕姫の再現度が高かったと感じ、笑い方と悪者の演じ方がそのキャラクターのままであり感動した。歌う場面もあり歌唱力も求められているように感じる。私は2.5次元作品をあまり見たことがなかったため、正直に言うと歌唱力はミュージカル作品に出演している人には敵わないと思っていた。しかし、堕姫の歌声が遠くまでよく響き渡っていることに驚いた。
また、堕姫と炭次郎・善逸・伊之助がそれぞれ戦うシーンがある。戦うときに限り、ステージにはセットを置いていなかった。一般的には、物のない方が動きやすいけれど、殺風景になってしまう傾向である。しかし、本作ではプロジェクションマッピング効果が最大限に発揮されていることから、迫力のある場景になった。堕姫は自分が着ている帯で、炭次郎は水の呼吸の技で攻撃をし、帯と水飛沫が2人の動く動作に合わせバックで動いていた。このプロジェクションマッピングの映像と音に合わせ、キャストが動くタイミングが一致しないと物足りなさを感じてしまう。そのため、立ち位置がずれてしまったときには、キャスト自身が自然に調整する必要があると感じた。
これらから、キャストや関係者は原作を元に舞台化することへの難易度やプレッシャーを感じているからこそ、プロジェクションマッピング、照明、音楽へのこだわりを尽くした作品になっていると観劇してみて感じた。良い席で観劇できたこともあり、正面から伝わる照明やセンター位置に来るキャラクターの近さで、『鬼滅の刃』の世界観に入り込めた。今回をきっかけに、今後のシリーズも観劇してみたいと思った。

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