川島ゼミ　観劇レポート（2023年11月期)

ドラマ・アニメ・映画化された大人気コミック「のだめカンタービレ」の初ミュージカル作品「Musical　のだめカンタービレ」を観劇した。落ちこぼれながら天才的なピアノの才能を持つ音大生“のだめ”こと野田恵役をドラマ・映画と同じ上野樹里、また同じ音大生で指揮者を目指すエリート千秋真一役を今もっとも注目される舞台俳優・三浦宏規が務める。私はこの「のだめカンタービレ」を原作、ドラマ、アニメ共に全て見たことがなく、知識がひとつもないまま観劇に臨んだ。

最初に注目したのは、ピアノやオーケストラと舞台の融合だ。主にピアノを弾くのは上記の主役二人であり、その他の登場人物はバイオリン、ティンパニなどの楽器を担当している。そして、舞台は二階建てとなっており、二階部分はオーケストラステージとなっていた。そこには実際に演奏をする本物の演奏者たちがいて、演奏シーンに入ると舞台上に演者と演奏者が混在するようになっているのである。よって、音楽に合わせて演者たちがただ演技をするだけではなく、生音での演奏も楽しめるようになっていた。また、演奏に合わせて舞台中央のピアノを乗せた盆がくるくると回転したり、音楽記号の描かれた紗幕や照明が動いたり、演技と演奏の緩急が絶妙で、まるでオーケストラコンサートとミュージカルのふたつを同時に観劇しているような感覚になった。

次に注目したのは、衣装の豪華さである。始めはごく普通の音大生たちの私服のまま学校生活の風景や練習風景などのシーンが続いたが、コンサートやコンクールなどのシーンになると、その度に新しい和服やスーツ、ドレスなどに着替えて登場する。例えば後半の、のだめがコンクールでピアノを演奏するシーンでは、ステージが暗転するたびに新しいドレスを身にまとって登場し、衣装ごとに舞台が華やかに彩られた。このシーンだけでなく、特にのだめの衣装は派手なものが多く、私服姿でも赤いカーディガンを羽織っていたり、着ぐるみを着て踊ったりと、のだめの不思議なキャラクター性も表れていた。対して、千秋の衣装は主に真っ白なシャツと黒いパンツという実にシンプルなもので、のだめとの対照的な部分もうかがえる。

最後に、この舞台を観劇して、ドラマやアニメなどの「のだめカンタービレ」も鑑賞したいと思った。舞台上でも表現されていた部分、されなかった部分、舞台上だけで表現された部分を探し出して比較する楽しみもあり、ひとつの舞台作品としてだけでなく「のだめカンタービレ」という大きなコンテンツとして楽しめるだろう。

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