2025年度 西原ゼミ合宿レポート(2025.10.30)

マンガや現代テキスト表現を研究している西原麻里ゼミでは、2025年9月7日・8日の二日間に京都市で合宿をおこないました。参加者は3・4年生合わせて11名で、学生たち自身でスケジュールを立て、京都でのゼミの時間を満喫しました。
合宿のメインイベントが、日本を代表するマンガアーカイブ施設であり、学術研究やマンガ文化の盛り上がりの中心地である「京都国際マンガミュージアム」を訪問したこと。同館研究員の伊藤遊(イトウユウ)氏に、メインホールやたくさんのコーナー、地下の書庫、開催中の企画展「マンガと戦争展2」など、館内のすみずみまでご解説いただきました。
マンガというポピュラー文化をミュージアムという場でどのように見せる(伝える)か、日本文化としてのマンガの意義とは何かを深く考えることのできる、充実かつ貴重な機会となりました!
合宿に参加した学生たちのレポートを掲載します。ぜひ読んでくださいね。

M.O.(4年生)
9月7日、8日に行われたゼミ合宿では、「草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」「青の祓魔師展」「京都国際マンガミュージアム」を訪問した。特に、京都国際マンガミュージアムでは、館内を伊藤遊さんに案内していただき、本来は入ることのできない、古いマンガ雑誌などが保管されている書庫も見学することができた。京都国際マンガミュージアムは、約30万冊のマンガを閲覧可能であり、その数と展示の分かりやすさに驚いた。
今回の訪問は、時代を経てマンガが日本の文化に大きな影響を与える存在になったのだと改めて感じられる、貴重な機会であった。
M.R.(4年生)
京都国際マンガミュージアムでは、地下に配架されているさまざまなジャンルの雑誌の創刊号や「コミックマーケット」の冊子など、貴重な資料が特に印象に残りました。マンガや小説、雑誌を保管している団体は多いと思いますが、コミケの冊子や年齢制限がかかりそうな雑誌まで保存している場所はおそらく限られており、大変興味深かったです。また、実際に学生が雑誌を用いて研究した事例についてお話を伺うことができ、特に雑誌の表紙研究に強い関心を持ちました。
さらに、同館の資料のほとんどが寄贈によって成り立ち、基本的には新刊を購入していないというお話を聞き、京都国際マンガミュージアムは多くの人々の協力で築かれた空間であり、利用者や職員のモラルによって守られているのだと改めて感じました。
また、「わかりにくいことをわかりやすく伝えるのが学習マンガ」という言葉が印象に残りました。私自身、卒業研究で学習マンガを扱う予定があるため、大変勉強になり、今後の研究に活かしたいと思います。
N.K.(4年生)
初めて、マンガを主としたミュージアムに行くことができて感動しました。マンガを研究、分析対象とし、しっかり保管されていることが改めて衝撃でした。戦後80年という節目に開催された「マンガと戦争展2」を見学することで、マンガで表現されるさまざまな戦争を知ることができました。
また、案内してくださった研究員のイトウユウさんが地下室の書庫でお話されていた「社会的に「悪書」とされるマンガでも、子どもが背伸びして届くところに設置することは、むしろ教育的」ということをおっしゃっていました。確かに、京都国際マンガミュージアムはさまざまなマンガが収蔵され、18禁スペースなども設置されていなかったため、この考え方はミュージアムの作りを考えても、理にかなっていると思いました。規制でがんじがらめにするのではなく、誰でも自由にマンガを手にとることができる空間を作ったことで大人も子どもも楽しいミュージアムになっているのだと思いました。
余談ですが、1人でミュージアム内を探検していたのですが、どうしても「マンガと戦争展2」の会場にたどり着くことができず、本当に建物全体が迷路になっていて怖かったです。ですが、元の建物は小学校ということもあり、温かみがあるとても居心地が良いミュージアムでした。おばけがいるらしい? のは怖いですが、京都に行くことがあれば、1日はここで過ごしたいと思います。
イトウユウさん、一緒にミュージアムを案内してくださったスタッフさん。とても楽しく、マンガの在り方について改めて考えることができた貴重な時間でした。ありがとうございました。
M.E.(4年生)
「ミュージアム」の印象に堅いイメージがあったのですが、京都国際マンガミュージアムに滞在している時は、まるで公園にいるかのような感覚になりました。入ってすぐに、子どもたちが館内マップで飛行機を作り、中庭で飛ばして遊んでいるのを見て、この子たちにとっては学校や公園と何も変わらないのだと感じました。それだけではなく、マンガを読み疲れたのか大人の人たちも色々なところで寝ており、ゆったりとした時間が流れていました。私自身もマンガを読み、疲れたら仮眠をする、を繰り返して、自分時間を楽しみました。
「マンガと戦争展2」の見学の際、この展示の中には、日本のことを悪く書いているマンガもあると解説していただいた時、自分自身が『はだしのゲン』など日本人が日本人の立場として、戦争の悲惨さなどを描いた作品しか読んだことがないことを思い出しました。一方の意見しか見てこなかったことを京都国際マンガミュージアムで痛感するとは考えていませんでした。そして、成人してから戦争をテーマにしたマンガ作品を読んでいないということも思い出したので、今改めて戦争を題材にした作品を読み直してみたいと感じました。ちなみに私が『はだしのゲン』に触れたのは小学生の頃で、図書館にないが是非読んで欲しいと担任の先生が自腹で買ったマンガ全巻を置いておいてくれたからだったと思います。
R.O.(4年生)
今回ゼミで旅行に行き、普段自分一人では中々行く機会のない展示を見ることが出来ました。特に、京都国際マンガミュージアムは、一般の方が入ることの出来ない資料室まで見学させて頂き、改めてマンガ資料の大切さを実感できました。想像するミュージアムと違った、自由に寛げる空間には驚きました。子どもを連れて訪問し、親はマンガを読み子どもは敷地内で遊んでいる、ということもあるようで、年代問わず楽しめるミュージアムになっていました。研究者のための居場所が、国を超えて多くの方に親しまれるミュージアムになっていることが、マンガ研究のゼミにいる一人として深く感動を覚えました。
M.K.(3年生)
今回の合宿で特に印象に残ったことは、京都国際マンガミュージアムを訪問したことです。 これまで西原先生の講義で学んできたことをミュージアムの形(展示や収集・保管しているマンガを手に取って読むこと)で学ぶことができるところが印象に残りました。また、ミュージアムとして老若男女、国内外を問わず多くの人が訪れ、マンガを読んだり、展示を鑑賞したり、紙飛行機を飛ばしたりと各々好きな形で楽しんでいることと、その反面、研究機関として専門家や研究者が利用することもできる施設であることが、非常に興味深くておもしろいなと思いました。
Y.H.(3年生)
ゼミ合宿では多くの学びがありました。特に京都国際マンガミュージアムで開催されていた「マンガと戦争展2」では、マンガに描かれる戦争表現の多様さに強い関心を抱きました。私は長崎県出身であるため、これまで原爆を中心とした平和学習に触れることが多かったのですが、この展示をきっかけに『ペリリュー 楽園のゲルニカ』(武田一義、原案協力・平塚柾緒)に出会い、戦場で起きた出来事についてもより深く知りたいと考えるようになりました。戦争の悲惨さと平和の尊さを忘れさせないために今後も自ら学び続け、その記憶を後世に伝えていきたいです。
A.M.(3年生)
京都国際マンガミュージアムに行って、普段の自分であれば手を伸ばすことのなかったマンガに沢山触れることが出来て楽しかったです。また、戦争についての企画展や研究員の方のご案内を通じて、マンガが単なる娯楽ではなく時代や社会の背景を反映している文化的な存在だと改めて思いました。普段は好みのジャンルの作品ばかり読んでしまいがちですが、ミュージアムでは沢山展示してあるので、幅広いジャンルを手に取ることで新しい視点を得られたのが良かったです。
H.S.(3年生)
京都国際マンガミュージアムを訪問し、日本のみならず海外のマンガ文化の深さと多様性について学ぶことができた。貴重なマンガ資料が所蔵され、時代ごとの背景や価値観の変化がマンガを通して反映されていると感じた。また、外国人観光客の姿も多く、日本のマンガが世界的に影響力を持っていることも印象に残った。
「マンガと戦争展2」では、戦争にまつわる体験が各作品で異なり、リアル重視の描写だったりキャッチーな描写だったりと、様々な戦争の記憶から表現されていた。戦争との向き合い方を考え続けるためには、体験されたことを忘れず継承していくことが大切だと感じた。

サイトマップ
Copyright: ATOMI UNIVERSITY All rights reserved. Never reproduce or republish without written permission.