平成24年度総合科目「スマート・エコビジネス」(ハタノシステム寄付講座)
生活環境マネジメント学科 教授
宮崎 正浩
本年4月からこれまでの間、13人のゲスト講師の皆さまから様々な視点からスマート・エコビジネスの現状と課題を語っていただきました。講師の皆さま、大変ありがとうございました。
また、302名の受講生の皆さん、毎回の授業を熱心に聴いていただき、授業の後に感想や意見・質問を書いて提出することは大変だったと思います。皆さんの質問や意見は、ゲスト講師の方々にとっても参考になったと思います。私にとっても大変参考になりました。ありがとうございました。
最後になりましが、本授業の実現のためにご寄付をいただいた株式会社ハタノシステム様に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
本授業の目的や全体の日程は、こちらへ
NTTファシリティーズの辻本さんから「スマートコミュニティの普及」をテーマに講演していただきました。
第14回授業 2012年7月19日(木)
ICTでエネルギーをコントロールする範囲が需要家側で広がり、新たな付加価値やサービスが生まれます。これを実現するスマートコミュニティ・プロジェクトが、世界の35カ国で約400のが立ち上がっています。この背景としては、エネルギー価格が上昇する一方で、ICT機器の価格が急速に低下しているため、エネルギーをICTでコントロールすることが経済的に可能となったことがあります。 最近、省エネを行うことで使わなかったエネルギーを「ネガワット」と呼び、これをエネルギーの一形態として取引することが注目を浴びています。これは、電力会社にとっては、ピーク時に発電コストの高い発電所を稼働させるよりも、省エネを行う需要家に対し料金を払って「ネガワット」を購入したほうが経済的であるためです。NTTファシリティーズでは、電力の供給側と需要側の間に入り、ICTを活用して、ネガワットを生むビジネス(アグリゲーションビジネス)の実証実験を行っています。 |
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東芝の篠原さんから「スマートグリッド:東芝の考えるスマートコミュニティとそれを支えるエネルギーソリューション」と題してご講演いただきました。
第13回授業 2012年7月12日(木)
世界では、エネルギー需要の増大と地球温暖化、開発途上国における人口増加や都市集中、先進国の高齢化に伴う介護問題など様々な課題に直面しています。スマートコミュニティはこれらの課題に対する有力な解決策として期待されています。今回は、都市のエネルギー、水、交通、店舗(ショッピング)の各システムにICTを活用することで、個人と街をつなぐスマート・コミュニティの実現を提案している東芝の取り組みを紹介していただきました。 | |||
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(講演概要) 世界では新興国の人口増加と都市集中に連動し、エネルギー需要の増加による資源不足や高騰、二酸化炭素排出の拡大、水資源の需要増大による局地的水不足や先進国の高齢化に伴う介護問題など様々な課題に直面しています。これらの課題を解決していくにはコミュニティをスマート化(知能化)する必要があります。 東芝は古くからエネルギー、水、交通、店舗など様々なソリューションを提供してきましたが、スマートコミュニティではこれらを統合し、ICT技術、特にクラウドサービスを活用して各々の過不足を制御・調整することで、”個”の快適と持続可能な”街”の両立を目指します。 電力エネルギーの分野では、日本でも東日本大震災以降は再生可能エネルギー利用の拡大と省エネが求められています。これを実現するためには、太陽光・風力発電が変動しても電力系統を安定して運用できる制御技術(蓄電池を活用)と、発電能力とバランスして需要家側の消費電力を調整する技術(CEMS、BEMS、HEMS等の連携)が必要です。リアルタイム情報を取り込んで、この制御・調整を行う技術がスマートグリッドという技術です。 東芝はスマートグリッドを始めとするコミュニティのスマート化のプロジェクトを全世界27ヶ所で手がけています。各地でコミュニティに求められることは非常に多様ですが、地元のパートナと一緒にテーラーメイドで個々のニーズに応えて行きたいと考えています。 |
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今回は、レーモンド設計株式会社代表取締役の三浦敏伸さんから、設計の視点から建物のデザインと環境への配慮について、具体的な事例に即してわかりやすく話していただきました。
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積水ハウスの石田建一さんから「スマートハウス」についてご講演していただきました。
第11回授業(6月28日)
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講演概要: ・積水ハウスを含めて住宅メーカー各社は最近「スマートハウス」と呼んで販売していますが、スマートグリッドとつながっていないので、正確にはスマートハウスとは言えません。 ・家庭でのエネルギー消費は全体の15%くらいです。家庭からのCO2排出量の主なもの(%)は、給湯(33%)、暖房(29%)、照明・家電(26%)で、冷房は2%に過ぎません。バランスのとれた省エネが大事だということです。 ・省エネ対策として効果が高いのは照明をLEDとすることですが、その寿命は4万時間(ほぼ10年)で、白熱灯の20倍、蛍光灯の4倍です。また、大規模火力発電所で発電した電気は発送電で大きなロスが生じてしまい、エネルギー効率は40%に過ぎませんが、家庭で自家発電(ガスを用いる燃料電池)を設置すればそれが78%となり、とても効率的です。 ・太陽光発電は、日本海側の積雪地域では、東京に比較すると発電量が1割くらい少なくなる程度ですので、雪の影響はあまりないと言えます。 ・積水ハウスでは、快適で面倒がなく、お金もかからない地球温暖化対策を追求しています。 ・同社では、瓦型の太陽光発電を使っていて、外見が普通の住宅と変わりがなく、しかも、太陽光パネルを屋根の上に設置する普通の方法と比べると屋根の重量が軽くなるので、耐震性能も上がります。 ・家の省エネと太陽光発電を組み合せるとCO2ゼロの家(ゼロエミッションハウス)ができます。 ・太陽光発電や燃料電池を使うエコハウスは急速に普及しており、積水ハウスが立てる住宅(年間14万棟)のうち7割の住宅に太陽光発電が搭載されています(2011年)。 今回の石田さんのご講演は、クイズ形式でしたので、わかりやすく、楽しい授業であったという学生の声が多くありました。私の授業でもこのようなクイズ形式を取り入れていきたいと思います(文責:宮崎) |
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ヤンマー株式会社の野田さんから、バイオマスエネルギーについてご講演していただきました。
第10回授業(2012年6月21日)
ヤンマー株式会社では、農機具の発動機技術を基にバイオマス発電に事業を展開しています。バイオマスエネルギーは、元々は大気中のCO2を取り込んだ植物を原料としているので、これを燃焼しても大気中のCO2は増加しません。このため、「カーボンニュートラル」な資源と呼ばれています。 | |||
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今年7月から再生可能エネルギーの「固定価格買取制」が導入されたために、バイオマス発電は今後益々普及することが期待されます。しかし、電力の発送電が分離されないと、バイオマス発電の本格的な普及にはいたらないでしょう。 | |||
東京ガスの生田目さんから、「天然ガス」についてご講演していただきました。
天然ガスは、石油や石炭に比べて温室効果ガスなどの汚染物質の排出が少ないことから環境に優しい化石燃料です。また、世界の可採年数は約60年と長く、かつ供給地が世界的に分散していることから安定的なエネルギー資源であると言えます。 最近では、天然ガス自動車やガス冷房が普及しつつあり、また、住宅では、天然ガスを用いた燃料電池で電気と温水を供給する「エネファーム」が注目されています。 東京ガスでは、コジェネレーションによって高い効率で電気と熱を供給し、分散型のエネルギー源として熱と電気の地産地消を実現する「スマートエネルギーネットワーク」の構築に取り組んでいます。 |
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第8回授業(2012年6月7日)
電気自動車は、走行時のCO2や大気汚染物質の排出はなくて環境に良く、また、エネルギー効率が高く、ガソリン車と比べて燃料費はかなり安くなります(3分の1から8分の1)。また、災害時には、蓄電池として利用すれば、電気が止まっても非常用電源として利用できます。1回での充電での走行距離が100kmなため、長距離の旅行では途中での充電が必要となりますが、充電インフラは各地で設置数が増えています。 | |||
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会場からは、充電機器について日本の規格(チャデモ)と海外の規格が異なることについて、どのように対応するのか、との質問が出されました。大道さんからは、日本の規格を国際標準とするのは大変なことであるが、海外の国と協力関係を作って解決するよう努力することになるだとう、とのことでした。 |
日立製作所の河野さんから「スマートシティ」についてご講演していただきました。
第7回授業 2012年5月31日(木)
情報通信技術(ICT)の進展によって、都市における通信、エネルギー、水、交通などのインフラの知能化が世界各地で急速に進んでいます。 これらはスマートシティ、サステイナブルシティ、エコシティなどを呼ばれ、今後巨大な市場となることが予想されています。 このようなスマートシティの建設は、一企業では対応できず、多くの企業の協働が不可欠です。 世界各地でのスマートシティの建設に日本企業が参加していくためには、日本技術が国際標準にどれだけ取り入れられるかが大きなカギ握っています。 |
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京セラソーラーコーポレーションの中野信也さんから「太陽光発電」についてご講演していただきました。
第6回授業 2012年5月24日(木)
地球温暖化などの環境問題と化石燃料の枯渇や原発依存の危険性から、太陽光発電が大変注目され、その導入のために様々な助成策が講じられています。 住宅用ソーラー発電を屋根に設置すると、昼間の余剰電力を電力会社に42円/kWhで販売することができ(固定価格買取制)、夜間は電力会社から電気を24円/kWhで購入できるため、毎月の電力代はプラスの利益がでます。 この講演では、このような太陽光発電の経済的メリットや国内外の市場動向、日本政府の導入目標と普及促進策についてわかりやすく解説していただきました。 |
3kWのソーラー発電システムと設置すると、年間1トン(サッカーボール10万個分)のCO2を削減することができるとのことです。 | |||
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日本政府が2030年までに計画している公共産業用の8.300万kWの太陽電池は、淡路島の面積と同じくらいの面積を埋め尽くすだけの面積となります。 | |||
(講義の概要)
・環境問題、エネルギー問題など、地球規模で起こっている様々な現象を、
・国内の太陽光発電システム市場の2002年からの実績と2030年までの
・国の太陽光発電システム導入目標と促進策(補助金や制度)を紹介し、
・国や自治体、民間企業が、環境貢献、電力削減などの取り組みとして、
農林水産省 食料産業局 バイオマス循環資源課 バイオマス推進室 課長補佐の 原郁男さんに、「バイオマスタウン~バイオマス活用の取り組み」についてご講演していただきました。バイオマスは、国内の資源であり、CO2を発生しないものであることから温暖化対策としても注目されていて、その利用のための政府の計画作りは進展していますが、実績はまだ十分ではありません。そのような中で、バイオマス資源が豊かな地方では地域を主体としてバイオマスタウン作りが活発化しているとのことです。 |
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5月10日の授業では国土交通省都市局都市政策課都市環境政策室課長補佐の山口亜希子さんに講演していただきました。 地球の温暖化が懸念される中で、日本の都市からの温室効果ガスの排出は全体の約半分を占めています。また、都市はヒートアイランド現象によって住みにくくなっています。これらに対処するため国土交通省で取組んでいる「環境に配慮したまちづくり」についてわかりやすく説明していただきました。 具体的には、徒歩や自転車で移動できる範囲内に集中して住むこと、電力のピークが異なる家庭と事務所等を近くに配置して一体的にエネルギー供給を行うこと、ICTを利用したデマンド交通などで自動車利用の減らすことなど様々な取組みがされていることがわかりました。また、そのようなまちづくりには市民、事業者、行政の協力が不可欠であり、特に市民の声が大事であることも話していただきました。 |
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4月26日の第3回の授業では、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新産業・社会システム推進室の小宮山康二室長に「スマートコミュニティ」についてご講演をいただきました。エネルギー問題はその安定供給、地球温暖化と経済との関連が重要であるとのお話から始まり、スマートコミュニティの概念や実例を紹介していただき、また、経済産業省が進めているスマートコミュニティ施策の具体例を説明していただきました。家庭用蓄電池、V2H、燃料電池自動車、ダイナミック・プライシングなど専門的なことも大変わかりやすく説明していただきました。また、実証プロジェクトの具体的な説明は大変興味深いものでした。 |
第2回授業 2012年4月19日(木)
4月19日の第2回の授業では、東京工業大学大学院教授の柏木孝夫先生に講義していただきました。石油が枯渇化や原発事故によって、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが注目されていますが、天候に左右されるという弱点があります。この点を改善し、家庭での電力消費を情報通信技術(ICT)でコントロールすることで再生可能エネルギーの供給を改善するために提唱されているので、スマートハウス・スマートグリッドです。この授業では、スマートハウス・グリッドを非常にわかりやすく説明していただき、大変興味深い授業となりました。 |
講演されている柏木先生 | 講義終了後に学生の質問に回答する柏木先生 | |
第1回授業 2012年4月11日(木)
4月12日の第1回の授業では、担当教員の宮崎正浩教授(生活環境マネジメント学科)から授業の概要説明があった後、本講座の運営のために寄付していただいた株式会社ハタノシステムの波多野裕一専務からご挨拶と会社のご紹介をいただきました。また、本授業に関する記事を報道していただいたフジサンケイ・ビジネスアイ社の松岡建夫本部長からもご挨拶をいただきました。 |
授業開始前
4月12日から株式会社ハタノシステムの寄付講座「スマート・エコビジネス」が開講すすのに先立ち、4月6日付けの「フジサンケイ・ビジネスアイ」でこの授業のことが報道されました。 |