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科目名創作ライティング演習C(短歌)
担当者佐佐木 頼綱
開講期2026年度春学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数1単位
授業の方法演習
授業形態対面(全回対面)
オンライン60単位制限対象科目
全回対面
授業の到達目標

本授業は以下の力を身につけることを目標とします。

教養としての短歌
    ?    万葉集の短歌から現代短歌までをたどり、表現や我々の心がどのように変化してきたのかを学びます。
    ?    恋愛、追悼、食べ物、旅行などが時代ごとにどの様に詠まれたか、名歌を読み時代背景や作者の思いを読み解きます。

作品を作る
    ?    短歌の型やリズム、技工を学び、文学作品としての短歌を詠める力をつけます。
    ?    言葉の推敲の中で、自分の感情や経験、自分らしさを表現できることを目指します。

作品を鑑賞、批評する力をつける
    ?    学生同士の作品を読み合い、良い点や改良点を見つける力をつけます。
    ?    学生同士の作品を通じて、新しい視点や発想を学ぶ機会を得られます。

短歌を通じたコミュニケーションを体験する
    ?    短歌という価値観を共有すると、短歌作品を通じて他の人と思いを共感したり、会話や発見を楽しむことができます。
    ?    歌会形式での活動を通じて、短歌が人と人をつなぐ力を体感します。

1400年の歴史を持つ短歌は日本の文化や感情に深く関わっています。
短歌の鑑賞と実作を楽しみながら、豊かな感性や創造力を養い、また現代人の感覚や気持ちの起源を辿ってみましょう。

今年度の授業内容

この授業では、短歌を楽しみながらその歴史や表現技法を学び、学生自身の感性を表現する力を養います。
授業は以下のような流れで進めます

前半:短歌の鑑賞
授業の前半では、テーマに基づいて古典から現代までの短歌を鑑賞します。
たとえば、「恋」「追悼」「旅」「食」などのテーマごとに、時代や作者によってどのように表現が変化してきたのかを読み解きます。
また、句切れや韻といった短歌の技法に触れ、その魅力を楽しみながら学びます。

後半:創作・歌会
授業の後半では、学生に短歌を創作してもらいます。6月以降はグループワークも取り入れます。互いに推敲をしてみましょう。
また、無記名で作品を読み合う歌会も行います。他の学生の作品を鑑賞し、良いと感じた点や気になる部分を具体的に言語化することで、短歌への理解を深めます。
他者の発言を通じて、自分の作品に新しい発見を加えたり、表現の幅を広げたりする機会を持つこともできます。
グループワークや歌会を通じて、短歌が持つコミュニケーションの力を体感することも大切なポイントです。

準備学修(予習・復習等)の具体的な内容及びそれに必要な時間についてほぼ毎回、課題の短歌を提出してもらいます。
締切は授業を行った日の深夜23時59分とします。googleフォームから提出してください。
また授業の前週にはレジュメを公開しますので、自分の意見や疑問点があればまとめておきましょう。
歌会後は、講師や他学生の批評を参考にして自分の作品を推敲してください。
1回平均約45分
自習に関する一般的な指示事項現代短歌は日常の中に詩を見つけ出す芸術です。
気になった言葉や景色はメモし、それを作品に活かしてください。

また、新しいアイデアを取り入れるきっかけを作りましょう。
ニュースや映画、音楽、漫画など他ジャンルの表現に積極的に触れ、自身の感情を刺激する体験を増やしてください。

授業の特徴(アクティブラーニング)リアクションペーパー/討議(ディスカッション・ディベート)/グループワーク
第1回第1回 短歌入門
初めて短歌に触れる方を対象に、その魅力や表現の技法を楽しく学びます。
短歌は「心の詩」と呼ばれていて、気持ちや感情を表現します。時代や個人を超えて響き合う力を持つており、作品を読むことで平安時代の小野小町とも、明治時代の与謝野晶子とも心を通じ合わせることができます。
そんな短歌の魅力を学びながら、自ら短歌を作る楽しさを体験してみましょう。
授業の主な内容
    ?    はじめての歌会
和歌短歌を十首ほど読み、表現の面白さや魅力を探します。優れていると思う一首を選んでみましょう。
    ?    短歌創作(課題)
短歌は気持ちを表現する「抒情詩」です。「状況×気持ち」という構造を理解し、作品を作ってみましょう。
第2回第2回 句切れ
短歌の魅力を語る上で欠かせない要素のひとつが「句切れ」です。
句切れは、作品におけるリズムや間を生み出すと同時に、感情や情景を強調し、読者にドラマチックな印象を与える事ができます。
句切れを学び、自分の短歌のリズム感や奥行きを深めていきましょう。
第3回第3回 食べ物の歌を詠む
食は単なる食事を超え、文化や心のあり方と深く結びついています。
和歌短歌の中でも、食にまつわる歌は数多く詠まれ、そこには自然への感謝、命をいただくことへの畏敬、そして人々のつながりが描かれています。短歌における「御食(おんじき)」の表現を紐解き、食文化の変遷や、日常に潜む豊かさを再発見しましょう。
第4回4 オノマトペ・頭韻脚韻
短歌の起源は「神様に捧げる歌」であったと言われています。それ故に音と言葉の調和を重視します。
 オノマトペは音や感覚を言葉として表現することで、生動感や臨場感を描くことができます。
 頭韻や脚韻といった音の繰り返しは、リズムや響きの美しさを表現することができます。
 これらの技法を意識的に使い、表現力を高めましょう。
授業の主な内容
    ?    オノマトペ・頭韻脚韻の歌の鑑賞
    ?    オノマトペ・頭韻脚韻の歌の制作
    ?    グループワークによる推敲
第5回第5回 写生の技工を学ぶ
・写生、丁寧な描写の歌を鑑賞
・対象をじっくり観察し、細かい物を詠う

第6回第6回 前衛表現を学ぶ
短歌の魅力のひとつに、上の句と下の句の関係性があります。この関係性が生み出す「詩的飛躍」は、読者の想像力をかき立て、作品に奥行きと新鮮さを与えます。上の句と下の句がどのように結びつき、あるいは意図的に離れて、新たな意味や感動を生み出しているかを分析し、自身の表現の幅を広げましょう。
第7回第7回 相聞歌①
最古の歌集である『万葉集』には約4500首の歌が収録されていますが、その7割が相聞歌(男女の愛情や心の交流を詠んだ歌)を占めます。秘められた想いや時に成就しない愛の苦悩など、現代人の感覚とは異なる恋の作品を読み、個人的な感情が普遍性を持つ瞬間、言葉が人々を繋ぐ力となる瞬間に触れていきましょう。
第8回第9回 相聞歌②
現代短歌の中にはジェンダーや同性愛など性の多様性を描き、時代を反映した相聞歌が多く登場し、人間関係の複雑さや社会的背景を映し出す鏡となっています。相聞歌が描き出す多様な愛の形に触れ、その中から自らの価値観や感情を再考してみましょう。
第9回第9回 挽歌
挽歌の由来は棺を引く時の歌。亡くなった人を悼み、追憶する詩歌です。
古代から多くの作品があり、その表現は喪失や悲嘆に留まらず、生と死、過去と現在を繋ぐ文化的行為に至ります。
日本人がどのように「死」という普遍的なテーマに向き合ってきたか、その変遷を知り、死生観や感情表現の独自性を学びましょう。
第10回第10回 社会詠
・社会と個人、時代を描いた作品の鑑賞
・社会や文化の変化を反映する鏡としての作品の制作
第11回第11回 連作の構造を学ぶ+吟行で詠まれた作品の鑑賞
・斎藤茂吉、与謝野晶子、佐佐木幸綱の連作鑑賞
・連作の構造を理解しての課題作成
・近現代短歌の吟行作品の鑑賞
第12回第12回 吟行会
・吟行会の名歌の鑑賞
・同じ空間を歩き作品制作する
・視点の違い、表現の違いを楽しむ
第13回13回 贈答歌・折句
贈答歌は、他者に向けて心を伝えるための言葉の工夫が凝らされた短歌の重要な形式の一つです。相手との関係性や状況に応じた微妙なニュアンスが求められ、自己表現とは少し異なる、他者とつながるための重要な技術が込められています。
自身の内面を表現する短歌とは異なる、「誰かに贈るための歌」に焦点を当て、言葉の選び方や表現の工夫を学んでみましょう。
「折句(折り句)」は、短歌の中に特定の言葉を入れる遊び心ある表現技法です。短歌にユーモアや遊び心を加えたりすることができます。

第14回第14回 成果物作成
・未来の自分、過去の自分へのメッセージの作品を作る
・短冊の制作
・課題連作の提出
授業の運営方法30時間の授業と15時間の自習をもって1単位とする。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法学生が発表した作品や発言に対して、教員が具体的な講評と添削案の提示を行います。
また、歌会で得た批評を参考に、自分の作品をさらに磨いていくことで、表現力を高めることができます。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
授業参加 30% ポータルによる出欠
その他 35% 課題作品の内容と完成度
その他 35% 授業中の歌評内容
テキスト 独自に作成したレジメを使用。
参考文献 『知識ゼロからの短歌入門』
「心の花」編集部編・佐佐木 幸綱監修
幻冬舎 2020/8/5
ISBN-10 ? : ? 4344903463
ISBN-13 ? : ? 978-4344903463

『現代女性秀歌』
栗木京子著
NHK出版 2014/8/22
ISBN-10 ? : ? 4140162287
ISBN-13 ? : ? 978-4140162286
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【文学部 人文学科】
実務経験の概要

短歌創作者として活動し、歌壇賞受賞。歌書刊行、テレビ出演、文学賞選考、雑誌編集等に携わる。短歌結社の運営および編集人を担当し、現代短歌の創作と批評の両面に継続的に関わっている。

大学・高校・少年院・福祉施設等での創作指導経験を有し、幅広い年齢層に対する表現教育を実践。現役創作者としての視点を活かし、実作・推敲・批評の具体的プロセスを授業に還元している。

実務経験と授業科目との関連性

本授業は「読む・創る・批評する」の三つを柱としている。

創作者として培った技法理解と推敲経験は、作品分析および実作指導に具体性を与える。編集・選考業務を通じた批評経験は、歌会形式での講評や対話的な鑑賞指導に活かされる。

更に、教育機関や福祉現場での指導経験を踏まえ、多様な学生が自己理解を深めながら表現できる授業を設計している。

これらの実務経験を基盤に、言語表現力と批評的思考力の育成を目指す。