| 科目名 | テキスト分析論 | |
| 担当者 | 宮村 真紀 | |
| 開講期 | 2026年度春学期 | |
| 科目区分 | 週間授業 | |
| 履修開始年次 | 3年 | |
| 単位数 | 2単位 | |
| 授業の方法 | 講義 | |
| 授業形態 | 対面(全回対面) | |
| オンライン60単位制限対象科目 | ― | |
| 全回対面 | ||
| 授業の到達目標 | 文学は展開や一つ一つの言葉が緻密な構成のもとに成り立っている言葉の織物である。作品の背景・時代状況への理解を深めつつ、文学テクストの構造や作品の内容を理解し読み取るレッスンを行っていく。 本授業では、永井荷風「?東綺譚」太宰治「斜陽」を取り上げ、作者の生涯・作品のモデルを学習することで、作品内容への理解、そして作品がどのように生成されていったかに関する理解を深めていく。 永井荷風「?東綺譚」は、小説家の主人公かつ語り手の大江が、「失踪」という小説を構想・執筆中に、玉の井という町でお雪という女性との出会いと別離という体験をする。お雪との出会いを経て、執筆している作品が変化していく。大江が実際に体験することと、作中作、末尾に掲載される「作後贅言」といった異なる語りのテクストが組み合わせられ、一つの作品となっている意味をたどっていく。 太宰治「斜陽」は、戦後まもなくの華族の没落の問題、復員の問題などの作品の背景となる時代状況への理解を深め、物語の構造・展開の意味を分析していく。華族ではないが特権階級に生れた太宰治が、「斜陽」というテクストをいかに構成していったかをたどり、家族の物語として「斜陽」を考察していく。 また、時折間テクスト性・物語論・受容理論等の話を行いながら、文学テクストを分析していくとはどのようなことかについて学習し、テクスト分析・テクスト精読のレッスンを行う。 長編小説の「?東綺譚」「斜陽」を取り上げる前に、「瓶詰の地獄」「少女病」「葉桜と魔笛」「おもかげ」「高野聖」5作品の短編小説を取り上げ、それぞれ〝物語の中から情報を見つけ出して考察する〟〝時代背景と照らし合わせる〟〝物語の中で明かされていく出来事を読みとる〟〝過去と現在の未来が入り組んだテクストを読み込む〟〝描写の意味を分析し、明記されていないことを読み取る〟というレッスンを行っていく。物語の構造や内容を精読して理解していくレッスンを行う。 |
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| 今年度の授業内容 | 本授業では以下の4点を到達目標とする。
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| 準備学修(予習・復習等)の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 永井荷風「?東綺譚」と太宰治「斜陽」は、授業前に通読をお願いします。 | 1回平均約190分 |
| 自習に関する一般的な指示事項 | 授業の進行に従い、作品を繰り返し読んでみて下さい。何度も読むことによって、前には気づかなかった作品の新たな側面が見えてきます。 |
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| 授業の特徴(アクティブラーニング) | リアクションペーパー/レポート | |
| 第1回 | オリエンテーション-授業の流れについての説明、文学テクストを読むとはどのようなことか、テクスト論・作品論・作家論の違い、文学を読むことの意義について、江戸川乱歩「押絵と旅する男」芥川龍之介「舞踏会」を取り上げながら講義 | |
| 第2回 | 短編購読(1)-夢野久作「瓶詰の地獄」 手紙から構成されるテクストを通して、テクスト内の情報をもとに、〝手紙が書かれた順番〟や登場人物の背景を考察する | |
| 第3回 | 短編購読(2)-田山花袋「少女病」 作品が書かれた時代背景への理解を深めることで、〝不適切〟な言動を行う主人公の描写と時代との関わりを考察する | |
| 第4回 | 短編購読(3)-太宰治「葉桜と魔笛」 亡き妹を回想する老婦人の語りから次第に明らかになっていく情報を読み取っていく | |
| 第5回 | 短編購読(4)-堀辰雄「おもかげ」 亡き人に対する哀悼の空気を揺るがす少女の存在の効果を読み取り、主人公の心理にどのような変化をもたらすかを分析する | |
| 第6回 | 短編購読(5)-泉鏡花「高野聖」 僧侶が若き日に山奥の家である女性と出会う体験は、非現実的な要素を帯びながらも、近代化することのない前近代の世界が描かれている。回想の中で回想が語られる「入れ子型構造」の語り、近代と前近代の対比を考察する | |
| 第7回 | 永井荷風「?東綺譚」(1) 永井荷風の生涯と作品のモデル・時代背景・先行研究について理解を深める。主人公の大江が実際に体験することと、主人公が執筆する作中作「失踪」、続編の「作後贅言」が組み合わさった「?東綺譚」というテクストの構造について概観する | |
| 第8回 | 永井荷風「?東綺譚」(2) テクストの購読を行いながら、物語の舞台のモデルとなった玉の井という町の歴史について理解を深める。 | |
| 第9回 | 永井荷風「?東綺譚」(3) テクストの購読を行いながら、大江が体験することについての語り・作中作・後日談とも作品のあとがきとも解釈可能な「作後贅言」から構成された「?東綺譚」というテクストの構成の意味を考える。また「?東綺譚」が「東京朝日新聞」に連載されていた時の木村荘八の挿絵をいくつか取り上げながら、挿絵がもたらした効果についても考察する | |
| 第10回 | 永井荷風「?東綺譚」(4)購読を行いながら、テクスト内に描かれる〝お雪との出会いと別離〟の描写の根底にはどのようなテーマがあるかを考察しつつ、間テクスト性の問題について取り上げながら、「作後贅言」の中で語られる時代の変化、作品の語りの位相について分析していく | |
| 第11回 | 太宰治「斜陽」(1)太宰治の生涯と「斜陽」の時代背景について、作品の舞台のモデルとなった大雄山荘について、先行研究について理解を深める | |
| 第12回 | 太宰治「斜陽」(2)テクストの購読を行いながら、華族の歴史、戦後の華族の環境の変化、復員者について理解を深める。戦中戦後の華族を取り扱った武田泰淳「貴族の階段」、久生十蘭「だいこん」についても言及を行う | |
| 第13回 | 太宰治「斜陽」(3)テクストの購読を行いながら、家族・家の物語として「斜陽」をとらえる。家が滅んでいく時に主人公が目指し始めた「革命」とは何か、作中で言及されるチェーホフ「桜の園」(「斜陽」と同じく没落貴族の物語)との共通点と相違点について考察する | |
| 第14回 | 太宰治「斜陽」(4)テクストの購読を行いながら、テクストの中で描かれる母子関係、姉弟関係、恋愛関係がそれぞれどのように関連し合い、テクストを構成しているかということについて考察する | |
| 授業の運営方法 | 授業では教員が文学作品を購読するポイント・理論・時代や作家の背景について講義を行いつつ、毎回作品購読の中で考察したこと・考えたことを、教員の出すテーマにそってリアクションペーパーに記入し、提出していただきます。 |
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| 課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 毎回提出していただくリアクションペーパーを、次回の授業時にコメントを記入して返却をいたします。 次回の授業の冒頭で、いくつかの解答を紹介し、それに伴い、補足の講義を行います。 毎回のリアクションペーパー提出。提出率、積極的な受動態度によって参加度を評価します。 |
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| 評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
| 小論文・レポート | 30% | 学期末のレポート |
| その他 | 50% | 毎回のリアクションペーパー提出、小レポートの提出。提出率やどれだけ意欲的に取り組んだか |
| 授業参加 | 20% | 授業への意欲的な態度、積極的な受講態度 |
| 定期試験 | 0% | 実施しない |
| 評価内容(評価方法、評価基準4) | 実施しない |
| テキスト | 永井荷風「?東綺譚」(新潮文庫) 太宰治「斜陽」(角川文庫) 他、題材とする短編小説のテキスト・時代背景や物語の舞台等について、毎回プリントを配布します。 |
| 参考文献 | 十川信介「近代日本文学案内」(岩波文庫別冊19) 他、授業でご案内をします。 |
| その他、履修生への注意事項 | 受講に際してはマナーを守り、積極的な態度で臨むよう心がけて下さい。 |
| 卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 人文学科】 |