| 科目名 | 情報文化史 | |
| 担当者 | 吉澤 京子 | |
| 開講期 | 2026年度春学期 | |
| 科目区分 | 週間授業 | |
| 履修開始年次 | 3年 | |
| 単位数 | 2単位 | |
| 授業の方法 | 講義 | |
| 授業形態 | 対面(一部オンライン) | |
| オンライン60単位制限対象科目 | ― | |
| 第2回/第3回 | ||
| 授業の到達目標 | 古代から近世にかけて使われていた文字の形(書体)をおおまかに識別することができるようになる。 中世の修道院文化と書物の成り立ちについて、概略を説明することができる。 写本に使われている材料や技法について、概略を説明することができる。 印刷技術と出版物・印刷物が同時代の文化、社会に与えた影響について、概略を説明することができる。 写本や印刷本の挿絵表現について、具体的事例の特徴を説明することができる。 近現代の読書文化について基礎知識をもち、自らの読書体験を語ることができる。 |
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| 今年度の授業内容 | はじめに文字および書体の歴史を古代~ルネサンス時代について概観し、西欧中世の写本および写本画について、その形態的特性と造形的特徴について解説する。 次に、印刷技術の発明と普及、それに伴う書物および挿絵の変化を扱う。宗教改革、対抗宗教改革期の図入りの印刷物に注目し、それぞれの立場にもとづいた表現を理解をうながすとともに、プロパガンダとカリカチュアの問題についても触れる。 挿絵版画の事例として今年度は「ヨハネ黙示録」に注目し、15世紀末のデューラーによる作例の原寸大複製を詳細に観察するとともに、11世紀の写本画「ベアトゥス黙示録註解」の表現などにも目を向けることによって、終末思想について中世の人々が抱いていたイメージについて理解を深める。 さらに、19世紀後半の「ファッション・プレート」などにも目を向けて、印刷と当時の生活文化との関連も考察したい。 |
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| 準備学修(予習・復習等)の具体的な内容及びそれに必要な時間について | (予習)授業中に配布する資料の全体を読み、未知の用語や歴史事項について調べる。歴史事項については、最低限、高校「世界史」の教科書程度のレベルで把握しておくと、講義をスムーズに理解できると思われる。 (復習)授業資料やノートを見直し、その回の概要をまとめ、理解を深めるよう努めてほしい。 |
1回平均約190分 |
| 自習に関する一般的な指示事項 | 基本的に歴史の流れに沿って講義を進めていくが、世界史や地理の基礎的事項について初歩的な解説をする時間的ゆとりは授業時間内にないので、自習をすることで知識獲得につとめてほしい。もちろん、特殊な地名や事項についてはその都度、説明を行う。 | |
| 授業の特徴(アクティブラーニング) | リアクションペーパー/ミニテスト/レポート/反転授業(知識習得の要素を教室外に済ませ、知識確認等の要素を教室で行う授業形態)/体験学習・調査学習 | |
| 第1回 | 導入。この授業のねらいを提示するとともに、授業で取り上げる範囲や課題、そのフィードバックの方法などを説明する。第3回までの授業資料(プリント)を配布するとともに、オンライン授業回(第2,3回)の授業の受け方や、出席のとり方の説明を行う。 古代の文字と使用事例(1)古代メソポタミア文明、古代エジプト文明をスライドやDVDで概観した後、碑文などの事例を紹介する。エジプトのパピルスの製造工程を解説し、古代の製法を用いて現代で作成された実物を手にとって見る体験学習を行う。 |
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| 第2回 | (オンライン回)古代の文字と使用事例(2)古代ギリシア、古代ローマの文化全般を概観した後、歴史的モニュメントに刻まれた碑文などの事例を紹介する。書体については、後世にわたりアルファベット大文字のフォントのデザインに影響を及ぼした、高い完成度を示す古代ローマの碑文などをとりあげる。 | |
| 第3回 | (オンライン回)初期キリスト教時代から初期中世への時代の流れを概観する。続いて、キリスト教の広域への布教とともに需要が増し、聖書や典礼書などが修道院において制作された経緯を説明する。事例として「ケルズの書」や「リンディスファーンの書」や、ヨーロッパ大陸への布教の中で生まれた作例をとりあげる予定である。 | |
| 第4回 | 中世(1)初期中世からゴシック時代までの写本と文字、写本画についてとりあげる。 また、写本制作の現場であった修道院とはどのような場所で、修道士たちはどのような活動をしていたかについて、解説する。 |
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| 第5回 | 中世(2)写本の制作工程をあつかう。羊皮紙の製造、写字生の仕事(ルーリング、書写)、挿絵彩色画家の仕事(箔押し、彩色)、製本に至る工程を解説する。羊皮紙については、15世紀イタリアで制作された「聖歌集」の断片(実物)を手にとって見る体験学習を行う予定である。 | |
| 第6回 | 中世末期から初期ルネサンスの字体と写本画をあつかう。華麗な挿絵で知られる中世末期の写本をDVDで紹介した後、ルネサンス文化の概要を解説する。 | |
| 第7回 | イタリア・ルネサンス期に発達した書体をとりあげるとともに、ルネサンス絵画の様式が挿絵にも描かれた事例などを紹介する。 印刷と手彩色挿絵の混在などについても触れる。 紙の製造工程についてもこの回で扱う。紙の製法がいつ、どのようにしてアジアからヨーロッパに伝わっていったか、その後、ヨーロッパにおいて製紙技術がどのように発展していくかについても解説する。 15世紀末~17世紀にヨーロッパで出版された紙への印刷の実物を手にとって見る体験学習を行う予定である。 |
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| 第8回 | 活版印刷の発明と普及、挿絵技法をあつかう。 ドイツで15世紀に確立した活版印刷術の急速な普及について述べ、それにともなって挿絵はどのように変化したかを解説する。 活版印刷で用いられる活字の印字体験や、昭和時代に活版で印刷・出版された書物の見学も予定している。 印刷について幅広い展示を行っている、印刷博物館について紹介する予定である。 |
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| 第9回 | 印刷の黎明期の挿絵版画の事例として15世紀末のドイツの画家デューラーの「ヨハネ黙示録」に注目し、その原寸大複製を詳細に観察する体験学習を行う。さらに、11世紀の写本画「ベアトゥス黙示録註解」の挿絵表現などにも目を向けることによって、終末思想について中世の人々が抱いていたイメージについて理解を深める。 | |
| 第10回 | 宗教改革期・対抗宗教改革期の時代背景について概観した後、具体的な事例をとりあげる。 宗教改革に新メディアである印刷がどのような役割を果たしたかを、プロテスタント側の事例(ルターの考え方を図示した宣伝用のビラやカリカチュアなど)から読み解く。 この時代以降、カトリックの側でもさかんに新メディアを使った宣伝活動が行われた。印刷による宣伝のみならず、16世紀~17世紀に制作された、カトリックの教えに基づいた絵画や彫刻の有名作例についても触れる。 |
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| 第11回 | 近世文化と印刷物(1)啓蒙主義の時代の出版物や、パリやベルリンで見られたサロン文化と読書のありようについて解説する。さらにフランス革命に至る時代の言論や、諸外国ではフランス革命をどのように見ていたかなどの複数の視点を紹介する予定である。 | |
| 第12回 | 近世文化と印刷物(2)19世紀の状況を扱う。アルフォンス・ミュシャやロートレックらが手がけたポスター等の商業印刷物や、パリ発の流行をいち早く宣伝する「ファッション・プレート」などのメディアについて、具体的事例を紹介する。また、19世紀後半にヨーロッパで流行した「ジャポニスム」についても触れる。 | |
| 第13回 | 近世文化と印刷物(3)19世紀末~20世紀初頭について扱う。それまでの授業で積み残した事項についても、補足説明を行う。 | |
| 第14回 | 情報文化の今後 AIが普及する現代社会は情報革命のまっただ中にある。それらが我々にもたらす恩恵と危険の両面について考察する。 | |
| 授業の運営方法 | 講義形式で行う。毎回、スライドやDVDで具体的な事例を示しながら解説する。写本画について扱う回においては、使用されていた技法の理解をうながすために、複製画や画材の原料等を、実際に手にとって見る体験学習を取り入れる予定である。とくに写本の支持体であるパピルスや羊皮紙、紙については実物に触れて質感を実体験するアクティブラーニングを行う予定である。 また、8回以降の授業内容に関連して、文京キャンパスの近くに立地する「印刷博物館」の展示を見学したうえでの課題作成も予定している(授業時間外に実施、参加は任意。費用は自己負担)。 |
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| 課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 授業中に行う課題については、必要に応じて優れたケースを紹介し、また誤解理解不足が見られる典型的なケースに対しては、正しい理解をうながすべく詳しい説明を適宜行う。 |
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| 評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
| 定期試験 | 0% | 定期試験は実施しない |
| 小論文・レポート | 50% | 期末レポート |
| 授業参加 | 50% | 授業中に行うリアクションペーパー、ワークシート、小テスト |
| テキスト | テキストは使用しない。授業の進行に合わせて資料を配布する。 |
| 参考文献 | 『世界でいちばん素敵なルネサンスの教室』監修:祝田秀全、三才ブックス、2022年、1500円+税、ISBN978-4-86673-298-5 『本の歴史』 ブラセル著、木村恵一訳、創元社、知の再発見双書80、1998年、1400円+税、ISBN 4-422-21140-4 『読めない文字に挑んだ人々 ヒエログリフ解読1600年史』宮川創著、山川出版社、2024年、2000円+税、ISBN 978-4-634-15246-5 『西洋書体の歴史 古典時代からルネサンスへ』スタン・ナイト著、高宮利行訳、慶応大学出版会、2001年、6500円+税、ISBN 4-7664-0834-9 『西洋美術館』 小学館、1999年 、15000円+税、ISBN4-09-699705-6 『ヨーロッパのサロン 消滅した女性文化の頂点』ヴェレーナ・フォン・デア・ハイデン=リンシュ著、石丸昭二訳、法政大学出版局、1998年、3000円+税、ISBN 978-4-588-02191-6 『ポスター芸術の歴史』デイヴィッド・ライマー著、井上廣美訳、原書房、2020年、5800円+税、ISBN 978-4-562-05729-0 『羊皮紙の世界』八木健治著、岩波書店、2022年、ISBN 978-4-00-025475-5 , 2900円+税 『絵画術の書』チェンニーニ著、辻茂ほか訳、岩波文庫 青(33)588-1、2025年 ISBN そのほか、講義の進行にあわせて、参考書を紹介する。 |
| その他、履修生への注意事項 | オンライン回の授業は、Teams利用のライブ授業で行う。オンライン回の出席については、授業内で指示した課題提出によって確認を行う。 Teamsへ入る「チームコード」については、初回授業で周知する。 対面授業では、出席者に手渡しで配る課題用紙または出席票によって、出欠確認を行う。 |
| 卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 人文学科】 カリキュラムマップ【文学部 現代文化表現学科】 カリキュラムマップ【文学部 コミュニケーション文化学科】 |