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科目名言語学概論
担当者阿部 一哉
開講期2026年度春学期
科目区分週間授業
履修開始年次1年
単位数2単位
授業の方法講義
授業形態対面(一部オンライン)
オンライン60単位制限対象科目
第5回
授業の到達目標ことばについての基本的な知識・考え方を「言語学」という学問的枠組みを通して身につけます。
今年度の授業内容「言語学」と聞いても今ひとつピンとこない、という方がほとんどだと思います。そこで、まず「言語学」とはいったいどのような学問で、言語をどのようなものと位置づけているのかについて見ていきます。

次に、時間をかけて、私たちにとって非常に身近な存在である言語の様々な姿を、じっくり見ていきます。その際、豊富な事例を挙げながら、日本語や英語、そして世界の言語を紹介していきます。具体的な進め方としては、音声学・音韻論、形態論、統語論、意味論、語用論という、言語学の下位分野で扱う諸問題について、事例を見ながら考えていくことになります。

言語学の基本的な知識や考え方を整理した後は、日本の方言や、コンピューターと言語学の関係などについて見ていきます。
準備学修(予習・復習等)の具体的な内容及びそれに必要な時間について<予習・復習>
毎回授業の最後に、次回の授業までに読んでおいてもらいたいテキストを指定します。
1回平均約190分
自習に関する一般的な指示事項参考文献をどんどん読んでいってください。
授業の特徴(アクティブラーニング)リアクションペーパー/レポート/討議(ディスカッション・ディベート)/グループワーク/課題解決型学習(PBL)
第1回

第1回:言語学とは何か

  • 言語の本質と学問としての言語学の目的を整理します。

  • その際、何が言語学の対象で、何が言語学の対象ではないかについての切り分けを行います。
第2回

第2回:言語は記号の体系

  • 言語学では、言語とは記号の体系である、と規定しています。

  • なんのこっちゃ?という感じだと思いますが、まずは記号とは何か、とりわけ記号としての言語の特性について考えてみましょう。
  • 言語の記号的特性の中で、最も重要なのが言語の二重分節性です。これが一体どのような性質なのかを押さえるのが、第二回目の授業で一番大事な部分です。

  • 最後に体系とはなにか、という話を整理しましょう。
第3回

第3回:言語音について1:音声学(Phonetics)

  • 言語学に関連する学問分野として「音声学」があります。

  • 音声学の中で最も基本的な問題として、我々は言語の音をどのようにして区別して発しているのか、というものがあります。

  • この問題を扱うのが調音音声学と呼ばれる、音声学の会分野です。
  • 第3回の授業では、この調音音声学の基礎について見ます。
  • それとともに、世界中の言語の音を分類して表記しようという試みであるIPA、すなわち国際音声記号についてみていきましょう。
  • その際、南アフリカなどで話されているコサ語や、中央アジアの言語であるジョージア語などの、私たち日本語母語話者から見たらとてもめずらしく思える発音についてもみていきましょう。
第4回

第4回:言語音について2:音韻論

  • 言語音は、音という物理現象であるとともに、言語表現を形作る部品でもあります。

  • 第4回は、言語という体系における言語音の位置づけについて見ていきます。

  • 英語の発音は大人になってから身につけるのは難しい、とか言われたりしますが、それは一体どういうことなのか、などの問題についても見ていきます。
  • 世界の言語という観点から見たとき、日本語の発音の体系はどのような特徴を持っているのでしょうか?拍とか、小さい「つ(っ)」とか「ん」という文字が表す発音の特徴についても見ていきます。
第5回

第5回:形態論1:語の形を扱う言語学の分野

  • 第5回と第6回は、語の形を扱う形態論について見ていきます。

  • 旅館の歓迎看板とかで、「跡見学園女子大学御一行様」のような団体名を目にすることがあります。ところで「跡見学園女子大学御一行様」って一語ですか?それとも複数の語が集まってできた語ですか?
  • 言語学では、語を形作る基本的な単位のことを形態素(morpheme)と呼びます。まずはこの「形態素」という考え方について押さえましょう。

  • 「オジロワシ」と「モンシロチョウ」、いずれも生物を表す名前ですが、どちらもその名前の中に「白」という色を表す言葉がはいっています。でも片方は「じ」という濁音を使い、片方は「し」という清音のまま、という違いが見られますが、この違いはどうして生じているのでしょうか?単なる偶然ではありません。形態論の考え方を使うと、きちんとその違いを説明することが可能です。

第6回

第6回:形態論 2:屈折と派生

  • 前回に引き続き、語の形の話を続けていきます。

  • 英語の名詞は、単数形dogに対して複数形dogsというように名詞の数に応じて形が変わります。このように文法規則に応じて単語の形が変わるという現象は「屈折」とか「語形変化」と呼ばれ、形態論で扱う現象です。

  • 一方、前回扱った「跡見学園女子大学御一行様」も餡を詰めたパンである「あんぱん」も、既存の語を組み合わせて、別の語として形成されています。このような現象は語構成と呼ばれ、派生形態論で扱われる現象です。

  • 第6回目は、日本語と世界の言語の事例を紹介しながら、形態論で扱われる具体的な現象を見ていきます。

  • 飲む、飲みます、飲まない、飲めば、飲もう、のように日本語の動詞には「活用」という変化が認められます。この活用って、言語学的に見たら、どのような仕組みになっているのでしょうか?ローマ字で転写したりしながら考えてみましょう。


第7回
  • 第7回:統語論:語の配列を扱う言語学の下位分野

    • 文は、適切なしかたで配列された語からなります。

    • ただし、語と文の間には、名詞句や前置詞句といった、「句」と呼ばれる意味的・機能的な語のまとまりからなる単位が認められます。
    • 第7回の授業では、この文から句、句から語への段階的な階層構造について、じっくり見ていきます。
    • 「カズヤはコンビニでおにぎりを買う」は「おにぎりをカズヤはコンビニで買う」と語の配列を変えても、日本語の文としてはOKですが、「は買うをコンビニでをカズヤ」は日本語の文としてアウトです。このOKな文とそうではない文の違いはなぜ生じるのでしょうか。実際にみんなで語を並べ替えたりしながらかんがえていってみましょう。
第8回
  • 第8回:文法について

    • 言語学は私達が国語や語学の授業で学んできた文法とどのような関係にあるのでしょうか?
    • 第8回の授業では、主語や述語、他動詞や自動詞といった文法の考え方や、多様な世界の言語の文法について見ていきます。
第9回
  • 第9回:言語における意味1:意味論

    • 第9回と第10回の授業では、言語における意味の問題を扱います。

    • 一般に、言語における語彙的な意味について扱う言語学の下位分野は意味論と呼ばれます。

    • 第9回の授業ではこの意味論の守備範囲である、言語における語彙的な意味について見ていきます。

    • ヒトは赤ん坊にお乳を与えて子育てをします。猫も子猫にお乳を与えて子育てをします。このような生物学的特徴から、ヒトと猫は哺乳類に分類され、同じ脊椎動物に属する鳥類や爬虫類、魚類から区別されています。

    • この分類は、生物学的な問題であると同時に言語の問題でもあります。意味論では、このような語と語の意味的な関係を様々な観点から整理しています。

第10回
  • 第10回:言語における意味2:語用論

    • 言語における意味のうち、語彙的な意味を扱う意味論に対して、語用論は文脈的な意味を扱います。

    • 偉い政治家が、暑い部屋の中で締め切った窓やエアコンのスイッチを見ながら「この部屋は暑いね」と言ったら、一緒に部屋にいる秘書が気を効かせて「窓開けますね」とか「エアコンのスイッチ入れますね」と提案してくれるのは、ごく普通の言葉のやりとりです。
    • が、なぜ「部屋が暑い」という事実の指摘が、「窓を開けてほしい」とか「エアコンのスイッチを入れてほしい」という意味を持ち得るのでしょうか?
    • このような問題に取り組むために、語用論における発話行為論や協調の原理と言った考え方を紹介していきます。

第11回
  • 第11回:世界の言語と類型論

    • 世界にはいったいどれくらいの数の言語が存在しているのでしょうか?

    • 第12回の授業では、世界の言語の分け方について見ていくとともに、多様な言語の姿を紹介していきます。
第12回
  • 第12回:言語史と比較文法

    • 古文の授業を思い出して下さい。古文の日本語と現代の日本語は似ている点もありますが、異なっている点が多いのは言語が変化するからです。

    • 第11回目の授業では、この言語の歴史的な変化と、それを扱う方法論である比較文法について見ていきます。

    • 日本語の起源はどこにあるのでしょうか?実はこの問いに対する答えはまだ出ていないのですが、現代の日本語の祖先にあたる言語と、現代の琉球弧(沖縄を中心とする九州西南部の弧のように並んで点在する島々)の言語は、かなり早い段階で共通の祖先から分化して別々に変化してきたという仮説があります。この日琉語族についての仮説も紹介していきます。
第13回
  • 第13回:方言と言語接触

    • そもそも言語はなぜ変化するのでしょうか?言語は、日々のコミュニケーションの中で使用されることを通して、省略されたり、面倒な発音を言いやすくされたり、そもそも単なる誤用が定着するなど、ほったらかしにしておいても内在的な理由によって変化していきます。

    • しかし、それだけでなく、別の言語を使う人々と関わることを通して、他の言語から影響を受けて変化することもあります。

    • 第13回目の授業では、このように言語と言語が接触すると何が起こるのか、について見ていきます。

    • 特にその変化が、親と子と世代をまたいで生じた結果、まったく新たな言語が出現したり、反対にもともとあった言語が消滅したりすることもあります。

    • この回の授業では、こうした言語の興亡について見ていきましょう。

    • また、地理的・社会的に見て、ある言語が局所的な変化を被った結果、方言と呼ばれる当該言語の亜種が生まれることがあります。この回では日本語の方言についても見ていきましょう。

第14回

第14回:計算言語学と現代の言語学

  • パーソナル・コンピューターの登場によって、言語研究のあり方に劇的な変化がもたらされました。

  • ここではコーパス言語学や自然言語処理(NLP)の基礎について見ていきましょう。
  • また、近年顕著な変化としてと、AIの登場も見逃すことができません。現代のAIの実現に寄与した大規模言語モデルについて見るとともに、Alを援用した言語研究の可能性についても見ていきましょう。

授業の運営方法最初の30分ぐらいは、前回授業のリアクションや、課題の解説を行います。
次の60分ぐらいで、5~10分の休憩をはさみながら、その日のテーマに即してパワーポイントのスライドを中心的に利用しながら講義します。
最後の10分でリアクションをポータルの課題提出機能を使用して作成し、提出してもらいます。
授業目標の達成度は、期末レポートで考査します。成績の割合については、下欄を見てください。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法ウォーミングアップは、ポータルの自動採点を用います、また、授業前に入力されていた自由回答を授業中に紹介します。
授業内レポートはなるべく次週までに目を通して、コメントをつけてお返しします。
期末レポートもコメントをつけてお返しします。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0% なし
小論文・レポート 0% ただし「その他」の欄を必ず参照してください。
授業参加 50%
その他 50%
テキスト プリントやPDFで配布します。
参考文献 『はじめての言語学』講談社現代新書.黒田龍之介著.ISBN-10: 4061497014 税込864円
『はじめての構造主義』講談社現代新書.橋爪大三郎著.ISBN-10 ? : ? 4061488988 税込946円
『はじめての言語ゲーム』講談社現代新書.橋爪大三郎著.ISBN-10 ? : ? 4062880040 税込946円
『言語の興亡』新潮新書.R.M.W. ディクソン  (著), 大角 翠 (翻訳).ISBN-10 ? : ? 4004307376 絶版みたいです。Amazonで古本をお買い求めください。
『新日本言語地図: 分布図で見渡す方言の世界』大西 拓一郎 (編集).ISBN-10 ? : ? 425451051 6600円
関連ページ このページ、世界の文字が紹介してあって面白いですよ。こんなトピックも授業で取り上げられたらなと思います。
http://www.chikyukotobamura.org/muse/writing_systems.html
その他、履修生への注意事項
  • よく分からない学問分野なのでとっつきにくいと思われそうですが、入門授業ですから、お試し感覚で気楽に受講してみてください。
  • 第5回はオンライン回です。この回の授業は以下の要領で実施します。
    • リアルタイム/オンデマンドのいずれかの方法で参加して下さい。
      • リアルタイム授業はMicrosoft Teamsを使って配信します。
      • オンデマンド授業は、YouTubeやその他配信サービスを使って動画を視聴して、その感想文を提出、という形で行います。
    • 資料は、リアルタイム/オンデマンドともにポータルの授業ページで用意します。
    • 出席は、ポータルのアンケートを利用して確認します。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【文学部 人文学科】
カリキュラムマップ【文学部 現代文化表現学科】
カリキュラムマップ【文学部 コミュニケーション文化学科】