科目名 | 司法・犯罪心理学/犯罪心理学 | |
担当者 | 岡本 潤子 | |
開講期 | 2024年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 司法・犯罪心理学/犯罪心理学 | |
授業の達成目標 | ① 犯罪・少年非行についての制度や機関について,仕組みや活動倫理を説明できる。 ② 犯罪・少年非行の生じる要因の理論について理解し,説明できる。 ③ 犯罪・少年非行からの立直り支援の仕組みについて理解し,説明できる。 ④ 犯罪被害者への支援の制度や理念について理解し,説明できる。 ⑤ 家事事件の制度や,家事事件における子どもの福祉について理解し,説明できる。 |
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今年度の授業内容 | この授業では,犯罪・非行について,また,家事事件について,基本的な制度や概念,現代までの歴史的状況,臨床的・社会的解決などについて,心理学が果たしている役割を視野に入れながら学びます。 犯罪・非行については,法律の決まりがあり,警察,裁判所,刑務所などの専門機関で,粛々と手続きが流れていくかのように思えます。しかし,法律だけでは,人間の行動である犯罪や非行を,十分に理解することも,必要な支援をすることもできません。心理学の叡智は,法律が人を扱うときにできる隙間を埋め,犯罪者と被害者,また,その双方を含む社会の立直りを実現するために役に立っています。民事事件の分野では,特に家庭の問題を扱う家事事件において,心理学は大きな役割を果たします。 公認心理師試験受験資格取得のための科目になりますので,授業では広範囲の事項を扱います。講義授業ですが,単に知識を深めてもらうだけでなく,社会人であり,有権者であり,成人である皆さんが,授業の中で考える時間を大切にしたいと思います。公認心理師資格とは関係しない学生の履修も歓迎です。興味に流れやすいトピックですが,真剣に取り組んで学んでみましょう。 |
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準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 配布する授業のレジュメは,テストに持ち込む大切な資料になるので,授業ごとに確認・整理し,授業時持参するようにしてください。 | 合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 授業で紹介する実際に生じた刑事事件・少年事件や家庭をめぐる紛争,授業で扱う社会的なトピックなどは,新聞,専門誌,インターネットのサイトなどで探索的に学ぶことができます。興味を持って読み,関心を広げてください。 | |
第1回 | イントロダクション(授業での学び方など)。犯罪・少年非行の定義。 | |
第2回 | 日本における犯罪・非行の現状。犯罪・非行事件の手続きの流れ。各法律および関係機関の役割 | |
第3回 | 少年事件に関わる各機関の働きと心理職。犯罪理論の発展の始まり。 | |
第4回 | 犯罪・非行の要因 ① (生物学的な要因論) | |
第5回 | 犯罪・非行の要因 ② (心理学的な要因論) | |
第6回 | 犯罪・非行の要因 ③ (社会心理学的な要因論) | |
第7回 | 犯罪・非行の要因 ④ (アセスメントからの視点。犯罪と環境) 非行の要因論を事例で理解する。(模擬事例を使って) |
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第8回 | 犯罪・非行からの立直り,修復的司法 | |
第9回 | 家事事件の扱うことがら。手続きの流れ | |
第10回 | 離婚を取り巻く状況 | |
第11回 | 離婚と子どもの福祉 ①(親の離婚と子どもに関わる制度) | |
第12回 | 離婚と子どもの福祉 ②(子どもの受ける心理的影響と支援) | |
第13回 | 家事事件にあらわれる児童虐待 | |
第14回 | 確認テストとまとめ | |
授業の運営方法 | 講義形式。配布するレジュメは概要です。講義により空欄を埋めながら,内容を理解するようにしてください。 | |
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 授業内で不定期に提出してもらうリアクションペーパーについては,その後の授業で,講評をします。 第14回授業での確認テストについては,授業終了後,ポータルで,講評を配信します。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
授業参加 | 25% | 不定期に提出してもらうリアクションペーパーの数で参加を評価します。 |
その他 | 75% | 第14回授業で確認テストを行います。 |
テキスト | テキストは指定せず,毎回,授業のレジュメを配布します。 |
参考文献 | 『犯罪心理学』 バートル&バートル 北大路書房 『犯罪心理学事典』 日本犯罪心理学会 丸善出版 『子どもと家族の法と臨床』 廣井亮一,中川利彦 金剛出版 『司法・犯罪心理学』 門本泉(編著) ミネルヴァ書房 『コンパクト司法・犯罪心理学』 河野荘子・岡本英生(編著) 北大路書房 『関係行政論』伊藤直文(編著) ミネルヴァ書房 |
関連ページ | {犯罪白書,001410095.pdf (moj.go.jp) } {最高裁判所HP 少年事件,少年事件 | 裁判所 (courts.go.jp) } {最高裁判所HP 家事事件,家事事件 | 裁判所 (courts.go.jp) } |
その他、履修生への注意事項 | ① 講義形式の授業です。授業中は,私語や,他の学生の迷惑になる行為は慎んでください。 ② 心理学の研究調査への協力を呼び掛けることがあります。研究への参加体験としてご協力ください。 ③ 知識を得るだけでなく,犯罪や非行,また,家庭の紛争や子どもの福祉に対する自分の立ち位置を振り返る姿勢を持って授業に臨んでください。 ④ 授業内容についての発展的質問や,リクエストなどを歓迎します。授業後にうかがいきれない場合は,ポータルで質問してくれてもかまいません。 ⑤ 出席はスマホにより登録してください。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【心理学部 臨床心理学科】 |
実務経験の概要 | 家庭裁判所調査官として,32年間,少年事件,家事事件に関わってきました。 大学の教員になってからは,行刑施設に入所しているひとの引受人になっている家族をサポートするグループ活動に参加していました。 現在は,薬物関係の罪で服役したのち,社会復帰を頑張っている保護観察中の人のサポートグループを保護観察所の受託者として運営しています。 行刑施設の透明な運営のための活動もさせてもらっています。 また,刑事事件の情状鑑定も不定期に担当しています。 |
実務経験と授業科目との関連性 | 授業では,プライバシーの保護に配慮した上で,実際に担当した事件からの体験を紹介し,事例にあらわれている社会の諸相を勉強する機会としたいと思います。 |