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科目名司法・犯罪心理学/犯罪心理学
担当者市村 彰英
開講期2023年度春学期
科目区分集中講義
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目講義。
 非行(犯罪)心理学の理論と非行臨床の実際を学ぶ 。犯罪をめぐる行動の原理について、生物学的、心理学的、社会学的な側面から整理し、その知見を応用した領域として、犯罪捜査、裁判、矯正・処遇、防犯に関する心理学的研究について概観する。また家族内の紛争やその悪循環に関して理解し、その解決に関して考察する。
授業の達成目標少年非行を中心に犯罪心理について学習する。非行を犯した少年の非行にいたるプロセスとメカニズムを理解した上で、それらの処遇に焦点を合わせ,非行臨床の実際について学習する。家庭内の問題解決,紛争解決に関する理解をした上で、それらを解決していく家庭裁判所のシステムや関わりの実際を理解する。
 非行、犯罪においても、家庭内の紛争においても単純な原因結果で理解できる直線的因果論で把握できるものではなく、複雑な生物学的、心理学的、社会学的な要因が重層的に絡み合って生じている円環的因果論で考察していく必要がある。これらの認識論が理解できるようになることがこの講義の達成目標である。
今年度の授業内容司法・犯罪心理学として、①犯罪・非行、犯罪被害及び家事事件についての基本的知識、②司法・犯罪分野における問題に対して必要な心理に関する支援を学ぶ。
 具体的には基本的な非行(犯罪)心理学の理論を紹介し,戦後の少年犯罪を振り返る。非行の処遇を実際に行っている保護観察所,少年院,児童自立支援施設,少年刑務所,その関係機関として家庭裁判所,少年鑑別所の非行臨床の実際について理解を深め,非行を犯した少年の更生について考える。
 家庭裁判所の家事事件に関する知識も用い,司法福祉的な観点を学ぶ。
準備学修 予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について受講の前に配布資料を閲覧し、自分自身の興味関心を持っておくこと。 合計60時間
自習に関する一般的な指示事項少年非行に関する新聞記事に積極的に関心を持ち,自分自身の理解が持てる様にしてみる。
 第1回非行(犯罪)心理学とは何か
 第2回非行(犯罪)に関する基本的な理論
 第3回戦後の少年犯罪について
 第4回「人はなぜ犯罪を犯さないのか?」T・ハーシーの「社会的絆理論」
 第5回重大少年事件の実証的研究
 第6回非行各論
 第7回非行臨床とは何か
 第8回わが国の司法システム(家庭裁判所)ついて(特に少年非行を中心に)
 第9回少年鑑別所における非行臨床について
 第10回保護観察所における非行臨床について
 第11回少年院,少年刑務所における非行臨床について
 第12回児童自立支援施設における非行臨床について
 第13回家事事件の種類(調停と審判)
 第14回夫婦や親子の事件の視点
 第15回裁判員制度,修復的司法,被害者支援と加害者支援について
授業の運営方法十分な感染防止対策を取った上で対面授業を施行する。
課題 試験やレポート等に対するフィードバックの方法フィードバックは行いませんので、ご了承ください。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
授業参加 75% リアクションペーパーによる
小論文・レポート 25% レポート提出による
テキスト 担当教員が作成したパワーポイントの配布資料を用いる
参考文献 非行臨床の実践/生島浩・村松励編著/金剛出版/1998/3,360円 非行臨床の理論と実際(現代のエスプリ461)/村尾泰弘編/至文堂/2005/1,450円 重大少年事件の実証的研究/家庭裁判所調査官研修所/司法協会/2001/999円
関連ページ 特記事項なし
その他、履修生への注意事項 犯罪・非行への単なる好奇心からではなく,犯罪心理学,非行臨床に関心のある学生を望む。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【心理学部 臨床心理学科】
実務経験の概要 家庭裁判所調査官として20年間勤務(1983年~2003年)。
実務経験と授業科目との関連性 家庭裁判所調査官として、少年事件では非行臨床を、家事事件では家族臨床をベースとした臨床実践を行っている。また大学教員となった後も19年間に亘って児童虐待をした父親のグループワークのファシリテーターを続けている。