[戻る]
科目名関係行政論/臨床行政論
担当者小林 正幸
開講期2024年度秋学期
科目区分集中講義
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目臨床行政を考えるー援助サービスの担い手としてのアイデンティティー
授業の達成目標臨床援助サービスを管理・運営し、援助サービスのシステムから見る視点を学ぶことができる。専門的な臨床援助サービスは、主要5領域「医療・教育・産業・福祉・司法」が挙げられるが、各領域のそれぞれの職務をささえる法体系、倫理を理解できる。
それを踏まえ、自身がその領域での職務を遂行することを想像し、臨床援助サービスを担う心理師や心理士のみならず、職務の性質上、心理師に近接する職種(たとえば、教師などの教育関係者や支援者、福祉関連の職員、産業の領域での産業カウンセラーやキャリアコンサルタント、さらに、司法領域に含まれる家庭裁判所調査官や生活安全課の警察官)の職務をも視野に入れて考えることができる。
以上を通して、臨床援助サービスを担うにあたり、どのようなコンピテンシー(能力)の開発が共通に求められのかを理解し、各領域で求められる専門性まで発展させて理解できる。以上を通して、自身の臨床サービスの担いとして手としてのアイデンティテーを確立する道筋を考えることができる。
今年度の授業内容講義を通して、臨床行政について、援助サービスの管理・運営、システムの視点から学習する。心理師や心理士は、臨床心理学の知見を生かして心理的な課題のアセスメントや援助サービスを行うが、その活躍の場として「医療・教育・産業・福祉・司法」の5領域が挙げられている。具体的な職場としては、学校・教育分野、警察、家庭裁判所、少年鑑別所、保護観察所、少年センター、児童相談所、福祉事務所、保健所、企業などがあり、これらの職場が属する5つの職域に関わる臨床行政の現状・実態と課題について、具体的な事例を踏まえながら学習する。その際、各領域がどのような法の体系の中で成り立っているのかを理解し、どのような仕事を、どのような組織の中で働くのかを分かり、その職業を支える倫理についての理解を深める。
また、これらの各関係機関は、互いに協力・連携が謳われるようになっており、援助サービスにおいて、異領域間の効果的な協働のあり方を探り、今後の臨床行政の方向性について学習する。以上を通して、援助サービスの担い手としての職業的アイデンティテーの確立について考えを深める。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間についてテキストに目を通しておくこと。 合計60時間
自習に関する一般的な指示事項被援助者が抱えている問題に対して、どのような援助サービスの展開が有効なのかを捉える。関係資料の収集・まとめ。        
第1回

【2025年2月4日(火)2限目】臨床援助サービスの主要5領域「医療・教育・産業・福祉・司法」の現状

第2回【2月4日(火)3限目】  臨床援助サービスの主要5領域「医療・教育・産業・福祉・司法」の現状と援助者に求められるコンピテンシー
第3回

【2月4日(火)4限目】 保健・医療機関に関する援助サービス 医療全般

※2月4日の3つの講義を受講し、印象に残ることを取り上げ、小レポート提出
第4回【2月6日(木)2限目】保健・医療機関に関する援助サービス 地域保健・医療
第5回【2月6日(木)3限目】福祉関係機関に関する援助サービス 市役所を中心とした援助サービス 1
第6回

【2月6日(木)4限目】福祉関係機関に関する援助サービス 市役所を中心とした援助サービス 2 
※2月6日の3つの講義を受講し、印象に残ることを取り上げ、小レポート提出

第7回

【2月10日(月)2限目】教育関係機関における援助サービス −特別支援教育 不登校

第8回

【2月10日(月)3限目】教育関係機関と保健医療関係機関における援助サービス −発達障害 いじめ

第9回【2月10日(月)4限目】産業産業・労働分野における援助サービス 安全衛生対策の基本 
※2月10日の3つの講義を受講し、印象に残ることを取り上げ、小レポート提出

第10回

【2月13日(木)2限目】産業・労働分野における援助サービス 心の健康の増進・過重労働対策


第11回【2月13日(木)3限目】司法・矯正関係機関における援助サービス 事例編 −性非行・問題行動− 
第12回【2月13日(木)4限目】保健・医療機関と福祉関係機関における援助サービス −高齢者虐待・高齢者うつへの支援と連携− 
※2月13日の3つの講義を受講し、印象に残ることを取り上げ、小レポート提出
第13回

【2月14日(金)2限目】教育関係機関と福祉関係機関の援助サービス −児童虐待・家庭内暴力(DV)への支援と連携−

第14回【2月14日(金)3限目】関係機関の連携の課題  (異業種での事例検討会疑似体験) 
※小論文ー自身の学びの自己評価(講義時間内に実施)
授業の運営方法テキストを使っての講義形式であるが、グループによる話合いを適宜取り入れる予定である。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法Teamsの課題機能を使用してフィードバックする。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0%
小論文・レポート 90% 4回の小レポート(各10%)と最終回の小論文(50%)を講義時間内に課す。
授業参加 10%
テキスト ★学校での子どもの危機への介入/山口豊一・小沼豊・高橋知己編著/ナカニシヤ出版/2015出版/2015
参考文献 初回の授業で参考文献一覧を配布する。
関連ページ *研修教材「児童虐待防止と学校」 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1280054.htm
*生徒指導提要(改訂版)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1404008_00001.htm
*いじめの問題に対する施策(文部科学省;いじめ防止対策推進法改定、指針など) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302904.htm
*義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布について (文部科学省通知)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380952.htm
*少年法の一部を改正する法律(法務省解説)「少年法が変わります!」(2022) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380952.htm
その他、履修生への注意事項 ◆講義の中で配布する資料が中心になる。テキストは、2015年の発刊なので、その後に法改正が行われたことなどで変化の著しい領域もある。事前に関連ページなどは、分量が多いが、目を通していただきたい。
◆授業で用いる事例は、テキストのものを用いたいと考えているが、事例を資料で配布する場合もある。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【心理学部 臨床心理学科】
実務経験の概要 東京都区立相談室非常勤相談員を1年勤務。
東京都立教育研究所と東京都立多摩教育研究所でそれぞれ5年ずつ、合計10年間研究主事を務め、都民向けの教育相談業務を担当する傍ら、教育相談に関わる教員の研修の企画・運営および教育相談上の現代的課題に関わる研究業務を担当した。
東京学芸大学に奉職後では、当初2年間所属した心理学科から、大学附属の教育実践に関わるセンターの教育臨床部門に移籍し、その後25年間定年まで子どもの学校不適応の予防と不登校の解決に関わる実践に従事した。その間、学校単位、県や区市町行政単位の不登校対策の企画・立案と実践を行ってきた。1年間で不登校者数を半減させた市もあった。なお、東京都内の相談研究機関および大学附属の実践センターでの職歴の間に担当した事例は2万事例に及ぶ。
また、東京学芸大学附属センター所属時には、東京都保護観察所の特別観察係の事例検討会のスーパーバイザーを務めたほか、最高裁判所の裁判所職員総合研修所で家庭裁判所調査官の現任研修で面接技法のスキルアップの研修を毎年勤めている。