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科目名道徳心理学
担当者岡本 潤子
開講期2024年度秋学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目道徳を心理学の視点で学ぶ
授業の達成目標① 道徳性について,心理学ではどのようにその発達過程を述べてきたかを説明できる。
② 道徳教育の歴史と現状について説明できる。
③ 道徳概念とコミュニティの在り方について知り,自分の立ち位置を検討することができる。
④ 自身の中にある固定観念と道徳との関連を検討することができる。
今年度の授業内容
 授業では,まず,心理学の学問領域で大きな足跡を残した研究者らが,「道徳性」の発達についてどのように理論を構築してきたかを学びます。
 一方で,本邦における道徳教育がどのように行われ,「道徳」がどのように社会の中で,教育の中で扱われてきたかを学びます。
 そして,道徳の概念には,目標のために意図的に用いられる手段としての面と,国境・人種・宗教を超えてグローバルに共有することができる普遍的な面があることを,認識していきたいと思います。
 それらを踏まえ,現代の社会に在る人間行動の様々な側面を,履修者の皆さんと,吟味していきたいと思います。その中で,ひとりひとりが自分の中にある固定観念を検討していけることができたらと思っています。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について授業では,レジュメを配布します。授業後は,レジュメやメモを見直し,自分なりに発展的に学びを広げ,疑問点があれば,整理して次の授業に臨んでください。 合計60時間
自習に関する一般的な指示事項授業では,発展的に学べるよう,授業内容に関連する書籍や論文だけでなく,小説,映画,動画などを紹介しますが,履修者の皆さんからも,関連する資料などを教えていただけたらと思っています。
また,現代の社会に在る様々な人間行動の問題について,資料を提供します。それぞれが,関心を持って,意欲的に授業に参加するよう期待します。

第1回オリエンテーション。授業の進め方と,履修者の期待について
第2回心理学における道徳性の発達について ① 精神分析的理論(フロイト他)における道徳性の発達について学ぶ
第3回心理学における道徳性の発達について ② 社会的学習理論(バンデューラ他)における道徳性の発達について学ぶ
第4回心理学における道徳性の発達について ③ 認知的発達理論(ピアジェ他)における道徳性の発達について学ぶ
第5回心理学における道徳性の発達について ④ コールバーグの3水準6段階説とギリガンのケアの視点について学ぶ
第6回モラル・ジレンマ課題について体験的に検討する。社会心理学における知見(利他行動,社会的手抜き,傍観者効果等)について学ぶ。
第7回日本における道徳教育の歴史と,道徳教育の現状について
第8回宗教,民俗と道徳について
第9回道徳性が問題とされる,現代社会における問題について。特に,いじめ問題について
第10回社会のルールとその遵守について。SNSにおけるバッシング,炎上について
第11回犯罪の抑止と道徳について。犯罪理論から
第12回再犯の抑止と道徳について。犯罪者に対する処遇から
第13回犯罪被害と道徳について。
第14回まとめ。道徳について学んで,自分自身に新たに湧いている疑問を整理する。
授業の運営方法

 授業は,講義形式で行います。質問や意見は,随時,リアクションペーパーやポータルで提出できるようにしますが,授業のあとにぜひ直接教員に聞きに来てください。
 授業では不定期に,リアクションペーパーを提出してもらう機会を設けます。
 期末レポートは,授業での学び(道徳性の発達についての諸理論,道徳教育について,など)を生かしたものとなることを期待します。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 授業で提出してもらったリアクションペーパーに対しては,次の授業回で全体的な振り返りをします。
 期末レポートについては,授業終了後,ポータルで講評を行います。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0% 行いません
授業参加 50% 授業で不定期に実施するリアクションペーパーの提出回数と,内容とで評価します。
小論文・レポート 50% 期末レポートの形式と内容を評価します。
テキスト 毎回,レジュメを配布します。
参考文献 日本道徳性心理学研究会編「道徳性心理学」北大路書房(2015)
山﨑準二・高野和子 「道徳教育」 学文社(2023)
その他、履修生への注意事項
出席は,スマートフォンで登録してください。
 講義授業ですが,積極的な参加を期待します。他の受講生に迷惑になるような行為は慎みましょう。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【心理学部 臨床心理学科】
実務経験の概要 教員は,家庭裁判所調査官として,少年非行や家庭の問題の調査や調整に長くかかわってきました。現在も,服役後社会に復帰する努力を行っている元・受刑者たちをグループ活動で支えています。また,刑事裁判の中で,被告人の生活歴,性格や発達の特性,家族の状況がどのように影響しているかということを調べる情状鑑定の活動をしています。
実務経験と授業科目との関連性 家庭裁判所での体験,また,現在の支援活動の中で,教員自身が実感してきた「自分とは異なるひと」のナラティブを受け取り続けるときにこそ,心理臨床の叡智が生きるという体験を,エビデンスとして伝えていきたいと思います。