科目名 | 発達心理学 | |
担当者 | 岩熊 麻由美 | |
開講期 | 2024年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 1年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 生涯にわたる育ちの心理学 | |
授業の達成目標 | ひとはどんな道筋をたどって発達していくのだろうか。 胎内発生から死に到るまでの心身の機能、認知機能、感情や社会性、自己と他者の関係のあり方などを生涯発達の視点から考えていく。 発達のありかたは人それぞれであり、定型的な発達もあれば、非定型的な発達障害と呼ばれる凹凸を示す場合もある。それぞれの特徴を理解していく。 また特に高齢者の特性を理解することは、若者世代の時間展望、アイデンティティの問題につながる。少子高齢化が進んだ現代社会では、自分が子育てをすること、自分のキャリアを設計していくこと、親の介護をすることなど、将来への漠然とした不安を抱える大学生が少なくない。根拠のある知識を蓄えて、不安を解消していく。 この講義では、生涯にわたる発達のさまざまな様相を理解した上で、自分や他者の発達を理解し、発達心理学の基本的な知識を解説できること、個人の発達を支える家族や社会の影響などに関し、心理面にとどまらず生態学的な理解をすることで発達の多様性を自らの言葉で記述し、各発達段階で起こりやすい問題への対応を具体的に創出できることが目標となる。 |
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今年度の授業内容 | 発達段階にそって、各段階の発達の様子、起こりやすい問題などについて概説していく。母親の胎内に生命が誕生したときから人の発達は始まるが、単に「世話をされる」存在ではなく、人との関係を結ぶための能力を備えた乳幼児の存在を、認知機能や感情、社会性の発達という側面から理解していく。私たちがこの世界でよりよく生きていくために必要な「他者の心を推論する能力」は、どのように発達するのだろうか。もし、その発達が遅れたり、順序が乱れたらどんなことが起こるのだろうか。定型発達・非定型発達という考え方の基礎を解説する。超高齢化社会を迎えた今,高齢者について、ステレオタイプを持っていないだろうか。エイジズム(年齢差別)について知り、検証された高齢者の認知的・心理的な特性を理解する。老化のネガティブな面のみでなく、サクセスフル・エイジングという概念を知ることで、自分自身の人生も豊かなものにしてほしい。一方で、誰もが考えなければならない「認知症」についての知識を習得する。 | |
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 各回の授業で扱うテーマについて、あらかじめ示す参考文献から予習し、ノートを作成する。授業後は、講義内で提出した小テストおよび小レポートを吟味し、授業内容の理解に努めること。 | 合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 講義が中心となるので、配布する資料に予習復習により書き込みをして自分のノートを作成すること。専門的な語句などは、参考文献などで復習し、理解を深める。自分や周囲に起こる発達にまつわる現象について、講義での内容を踏まえて予習・復習を行い、実感していく。 | |
第1回 | 生涯発達の視点 | |
第2回 | 生命の芽生えから誕生 | |
第3回 | 周産期 | |
第4回 | 認知機能の発達:ピアジェの理論 | |
第5回 | 有能な乳幼児の発見 | |
第6回 | 言葉と遊びの発達 | |
第7回 | 周りとの関係を築く | |
第8回 | 初期の経験は人生を決定するのか① | |
第9回 | 初期の経験は人生を決定するのか② | |
第10回 | 仲間の中での育ち | |
第11回 | 感情と社会性の発達 | |
第12回 | 老年期の発達 | |
第13回 | 認知症とは何か | |
第14回 | 発達経路の多様性 | |
授業の運営方法 | 基本的には講義形式の授業だが、そのテーマに合ったワークを行い、授業の最後に適宜レポートを提出する。 遠隔授業の実施に際しては、オンデマンドによる映像配信とする。具体的内容は「その他、履修生への注意事項を参照のこと。 |
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課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 小テスト実施後、次回の講義にて解説と講評を行う。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 70% | 講義内容に基づいた定期試験を実施する |
小論文・レポート | 20% | 小レポートや課題から理解度を評価する |
授業参加 | 10% | リアクションペーパーや講義参加の姿勢で評価する |
テキスト | 特に使用しない。授業資料を適宜配布する。 |
参考文献 | エピソードでつかむ生涯発達心理学/岡本祐子・深瀬裕子(編著)/ミネルヴァ書房/2013 問いからはじめる発達心理学/坂上裕子他著/有斐閣ストゥディア/2014 ヒトの子育ての進化と文化 アロマザリングの役割を考える/根ヶ山光一・柏木恵子(編著)/有斐閣/2010 最新老年心理学/松田 修著/(株)ワールドプランニング/2018 認知症の心理アセスメント はじめの一歩 /黒川 由紀子・ 扇澤 史子 (編集)/医学書院/2018 |
その他、履修生への注意事項 | 毎回講義の最後にポータルのテストや課題提出機能を用いたレポート提出を行う。 出席はスマートフォンからコード番号を入力することで確認する。 スマートフォン、またはパソコンを講義に持参すること。 第1回目の講義、進め方についての詳しい説明を行うので、かならず資料を見た上で出席すること。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【心理学部 臨床心理学科】 |
実務経験の概要 | 公認心理師 日本老年精神医学会認定専門心理士 |
実務経験と授業科目との関連性 | 病院精神科の公認心理師として,発達障害の心理的アセスメントや心理的支援を行ってきた経験から,事例をあげて発達障害の諸相について解説をしていく。また、日本老年精神医学会認定専門心理士として、認知症の神経心理検査によるアセスメント、患者や家族への心理的支援を行ってきた経験から、心理職として老年期にひとたちへの介入の実際を示し、公認心理師の資格取得を目指す。 |