科目名 | 観光とリスク | |
担当者 | 弓野 克彦 | |
開講期 | 2024年度秋学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 観光とリスクマネジメント ~「事例研究から学ぶ観光とリスク」~ |
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授業の達成目標 | リスクは、人・組織が達成したい目的を持った瞬間に生まれる。観光事業でもリスクを予見し手を打っておくことが大切である。 本講義では、観光を取り巻く各種リスクをいかに回避・軽減・制御するかについて、国内・海外の事例を通してその基礎を学び、 現代の観光が直面する様々なリスクの本質をSDGs(持続可能な開発)の視点から考察し、観光リスク全般の対処方法について 説明できるようになる。 |
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今年度の授業内容 | 「持続可能性 Sustainability]は、今日の世界の観光の最重要キーワードである。それは、何といってもグローバル化が進 み観光の社会・経済的インパクトの増加によるところが大きい。観光は、世界、経済、社会、そして自然環境に大きな影響 をもたらしながら近年成長を続けている。だからこそ、その社会的使命も大きい。国の観光政策による近年の訪日旅行客の 急増、地方における観光開発、旅行行動の多様化、自然災害の増加など、観光を取り巻く環境の変化に伴い観光ビジネスに おけるリスクや対応も年々複雑化している、本講義では、観光客、観光産業が直面する各種リスクをいかに回避・軽減・ 制御するかというリスクマネジメントの基本的考え方を理解した上で、観光や地域に与える影響を国内外の事例を含めて 考察し、SDGsの観光実現に向けたリデザインのあり方を分かり易く考察する。 また、本講義ではリスクマネジメントを実践してきた経験豊富な外部講師をお招きし、実社会で起こっている様々な リスクに対しどのように対処し、解決してきたのかを実体験に基づき詳しく学ぶ。 |
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準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | ・事前に配付テキスト(PPT資料)を読み、理解しておく。授業後は内容を振り返り、自分なりにまとめ 直して理解を深めておくこと。 ・日頃からSDGsの取り組みと観光業界の動向に関心を持ち、インターネット、新聞、専門誌、書籍など から情報を収集すること。 ・リスクマネジメントの観点から観光以外の産業、企業にもアンテナをたて情報収集に努めること。 |
合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 準備学習と同様 | |
第1回 | オリエンテーション ①講座計画と事業の進め方 講義概要(目的、到達目標)の説明、及び講座構成要素の相互確認を行う。 ②観光の潮流とそれに伴うリスクの全体像を理解する。 観光業界には、多種多様なリスクが存在するが、ここでは観光業界の現状と動向をデータで探りながらそのリスクの全体像を考える。 ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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第2回 | コロナ禍の観光へのインパクト 2019年に中国で発生したコロナ感染症は観光業界に多大なる被害をもたらし今日に至っている。本講義では、観光産業・観光地・航空産業・旅行者の状況とその変化について認識を深め、合わせて国内外の感染症対策の違いについて理解を深める。 ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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第3回 | 一般的なリスクに関する基礎知識 リスクとは、将来いずれかの時に起こる不確定な事象とその影響をさすが、ここでは一般論としてのリスクの基本的概念を事例を交えて取り上げ、詳しく解説する。そのうえで、なぜ、今リスクマネジメントが必要なのかを考察する。 ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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第4回 | 「観光危機管理」とは (Ⅰ) 2020年以降コロナ感染症の影響で世界の旅行・観光産業は大きな打撃を被った。本講義では、過去から現在に至る観光に大きな影響を与えた事象(歴史)を事例として取り上げ、観光産業における危機管理手法の重要性やその対策について理解を深める。 ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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第5回 | 「観光危機管理」とは (Ⅱ) 危機管理は、危機が発生した場合に、その負の影響を最小限にするとともに、いち早く危機状態から脱出を図ることが基本である。 ここでは、観光危機管理の必要性/重要性をケーススタデイーから学び、合わせて観光危機管理の4R( 「Reduction」「Readiness」「Response」「Recovery」)の基本とその手法について学び、理解を深める。 ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直 |
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第6回 | 「観光危機管理」とは (Ⅲ) ~事例研究をとおして学ぶ~ 観光産業に多大なる影響をもたらす大規模災害等の事例(東北大震災など)をもとに危機管理の重要性について理解を深める。 ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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第7回 | 事例研究 Ⅰ 「沖縄での危機管理の取り組み」 観光危機管理の先進地としての沖縄県の取り組み事例を紹介し、観光地におけるリスク管理のイロハについて詳しく理解する。 ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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第8回 | 事例研究 Ⅱ 「エアラインの安全と危機管理」 航空業界にとって「安全」は経営の基盤であり社会への責務である。本講義では、航空業界が安全運航を支えるために取り組んでいる様々な活動や組織の運営手法について学習し、日々のビジネス活動における危機管理の重要性について理解を深める。 ※事前に配付資料を読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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第9回 | 事例研究 Ⅲ 「海外旅行とリスクマネジメント」 外部講師による特別講義 (海外生活カウンセラー 福永佳津子先生を予定) 海外旅行中に起こり得る様々な危険リスクに対し、どのような心構えで準備し、それを実践するのか。特に9.11NY同時多発テロを現地で支援した福永先生から 当時の状況を紹介いただき、海外における実践的な危機管理対処方法について学ぶ。 ※事前に9.11ニューヨーク同時多発テロの情報を取って内容を理解しておく。授業後は講義内容を見なおして自分なりにまとめ |
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第10回 | 事例研究 Ⅳ 観光産業開発に関わるリスクとは 外部講師による特別講義 (前川崎市観光協会 産業観光プロデュサー亀山安之先生) 逆転の発想で観光不毛の地、川崎市を変えた「川崎市工場夜景」の仕掛け人亀山先生より、 その全貌と裏に潜んでいたリスクについて語ってもらいます。 |
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第11回 | オーバーツーリズム Ⅰ ~世界遺産とそのリスク~ 外部講師による特別講義 (世界遺産マイスター片岡英夫先生を予定) 2022年の世界遺産登録件数は,合計で「1154件」と増加しているが、そこには「光と影」が存在している。本講義では、世界遺産の 「影=リスク」の部分に焦点をあて、世界各国が世界遺産保護のためにどの様な活動や計画を実践しているのかについて詳しく学 ぶ。 ※事前に配付資料を読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにま |
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第12回 | オーバーツーリズム Ⅱ オーバーツーリズムとは、何か? 国内の事例とその対応策について詳しく学ぶ。 (事例紹介) ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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第13回 | 観光開発における地域のリスク 地域の観光開発、日本版DMOの現状、観光周辺領域の取り組み状況などを中心に事例研究を通してリスク管理の重要性に ついて理解を深める。 ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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第14回 | 「全体のまとめ」 本講義で第1回から13回までに学んだ「観光とリスク」のレビューを中心に解説する。 ※事前に配付テキストを読み、内容を理解しておく。授業後は、講義テキストを見なおして自分なりにまとめ直し理解を深めておくこと。 |
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授業の運営方法 | 対面授業を基本とする。 毎回,事前に教材資料をポータルで配布、授業はその講義資料(PPT資料)を用いて実施する。できる限り多面的にかつ、 具体的事例などを写真や画像を基に紹介し、分かり易く解説する。尚、テーマによってはその専門領域のスペシャリストを 外部講師としてお招きし特別講義を実施する。 また、学習効果を高めるため、都度復習テストと講義前に前週のり返りを行う。 ※遠隔授業に関しては。「Microsoft Teams」によるリアルタアイム授業を基本とする。(チームコードは事前に通知) |
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課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | レポートで出された質問・意見については、理解を深めてもらうため、次回の講義で都度フィードバックし、 解説を加える。 期末レポートについては、12月末までにテーマ(課題)とその詳細を発表する。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
小論文・レポート | 50% | 12月末にテーマを提示。レポートは最終回までに提出。理解度を総合的に判断する。 |
授業参加 | 30% | コメントシートの記述、理解度、積極性などを評価する。 |
その他 | 20% | 小テスト(復習テスト) |
テキスト | テキストは使用しない。各回講師作成のPPT資料をポータルで配布する。また、観光情報や有益情報を都度、 ポータルの掲示板に添付する。 |
参考文献 | 必要がある場合、授業内で適宜指示する。 |
関連ページ | ・国連世界観光機関 https://www.unwto.org/ ・世界旅行ツーリズム協会 https:/wttc.org/ ・観光庁 https://www.mlit.go.jp/kankocho/ ・各国政府観光局HP ・海外安全ホームページ https://www.anzen.mofa.go.jp ・持続可能な開発目標(外務省) https://www.mofa.go.jp 上記以外の関連ページについては、必要がある場合は授業内で適宜指示する。 |
その他、履修生への注意事項 | 1)受講マナーの徹底 ・遅刻厳禁 ・他人に迷惑になる私語厳禁 ・飲食の禁止 (ペットボトル飲料、持参の水筒を除く) ・室内脱帽 2)外部講師の招聘 ・本テーマに関する豊富な経験を持つ外部講師の講義を通してリスクマネジメントの実践的 ノウハウを習得する。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【観光コミュニティ学部 観光デザイン学科】 |
実務経験の概要 | 航空会社に40年以上勤務した企業経営経験者。ANA総合研究所では、3つの大学講師を担当。 2019年より5年間、跡見学園女子大学で客員講師として「グローバルツーリズム」「グローバル観光デザイン」 などを担当。 |
実務経験と授業科目との関連性 | 海外勤務経験、観光関連企業(航空分野)、観光系財団(ロングステイ財団)でのビジネス経験を通して 実社会で通用する人材育成を目指す。 |