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科目名文化政策の国際比較
担当者嘉藤 笑子
開講期2024年度春学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目国際文化政策の状況
授業の達成目標グローバル社会の発展とともにアートは国際化しボーダレスな価値観を築いてきた。文化政策は、国際政治と大きくかかわり、欧米を中心に自由主義国家のなかで発展したきた理念といえるだろう。特にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツといった歴史的にも国際情勢に関わる国家の政策や政治哲学と密接に関わっている。欧米の文化政策を知ることは、わが国の芸術文化の発展および振興をめざすためにも、必要不可欠な近代的制度といえる。本授業を通して各国の文化政策の動向を洞察し、国内外の比較分析につなげていく。特に世界情勢が常に変化していくことを鑑みて、国際的な視座を含有する文化政策を探求していく。同時に、日本社会の今日的課題に目を向けていくことで、市民社会に文化活動を振興していくための社会構造を考察していく。

今年度の授業内容国際社会における民主主義国家を中心に文化政策を探求していく。20世紀のアメリカ、ヨーロッパ(イギリス・フランス・ドイツ)、日本を取り上げ、それぞれの国家のの歴史的背景と文化的状況を比較していく。さらに第二次世界大戦や、冷戦構造、そして東西分断をしていたベルリン壁の崩壊を経て、情報テクノロジーの発展によるグローバリゼーションの発展といった世界の国家体制が大きな変化し、その体制は政治・経済とともに文化政策にも大きな影響を与えている。そのなかでも文化支援を行う公的機関やNPO,民間組織の存在は、各国ともその構造や規模、運営方法が異なる。さらに各国の経済・文化振興を図るために取り入れられた文化施設の設立、万国博覧会やオリンピックといった大型イベント、その流れで登場してきた地域プロジェクトや国内芸術祭などによる文化交流事業を検証する。日々刻々と変化していく世界情勢をグローバルな視点で見つめていき国際社会の一員として文化支援の在り方を、各国の具体的な事例から考察していく。授業の内容や順序等に変更がある場合は予めご了解いただきたい。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について各国それぞれの文化政策を学ぶことになるため、国ごと(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・日本)の政治・経済の特徴や歴史、地理、観光、産業などの基本情報を学ぶこと。参考にする国々を好きになること、行ってみたいと積極的に思うことで情報が身につくと考える。各国の基本情報を事前に学んでおくと良い。各回のレジュメや参考書類はファイルにしておき、自分で調べた資料などを追加していけるようにするしよう。学習時間は、予習・復習ともに各自で考えて進めてください。 合計60時間
自習に関する一般的な指示事項日頃から新聞・ニュースなどを通じて国際政治や動向について目を触れておくこと。文化芸術に関する専門知識や
世界史を通して歴史的考察を身に着けていくことも必要となります。文化全般の専門誌や文献、関連する書籍を通じて世界の文化動向の概観を掴むこと。また、日ごろから文化芸術に触れる機会や興味を増やしておくことがいいでしょう。
第1回第1回文化政策と国際比較(ガイダンス)
第2回第 2回20世紀のアメリカ①近代国家への道
第3回第 3回20世紀のアメリカ②資本主義の発展
第4回第 4回20世紀のアメリカ③第二次世界大戦以後の文化戦略
第5回第 5回20世紀のアメリカ④冷戦時代の文化政策(マッカーシズム、宇宙開発ほか)
第6回第 6回20世紀のヨーロッパ:イギリス① ミュージアム大国(博物館や万国博覧会の始まり)
第7回第 7回20世紀のヨーロッパ:イギリス② アーツカウンシル、コミュニティプロジェクト
第8回第 8回20世紀のヨーロッパ:ドイツ①ナチズムの影響(オリンピック、戦争という負の遺産)
第9回第 9回20世紀のヨーロッパ:ドイツ② 戦後復興(ドクメンタ・ミュンスター彫刻プロジェクト)
第10回第10回20世紀のヨーロッパ:フランス①国家主導型文化支援「文化財保護」ユネスコ・世界遺産など
第11回第11回20世紀のヨーロッパ:フランス②地方行政へのシフト「文化の家」
第12回第12回日本の文化政策①近代国家への道、世界と日本をつなぐ文化政策
第13回第13回日本の文化政策③地域社会と文化振興
第14回第14回世界情勢の変化:エコロジー、ソーシャル・インク―ジョン、文化支援のための思想や哲学、その影響を考える
授業の運営方法講義形式で行う。テキストは用いず毎回配布資料を用意する。参考文献については授業内で提示する。オンラインで授業を行う場合がありますので、パワーポイントが閲覧できる状態であること。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法各回ごとに授業後のコメントシートを回収します。授業内にレポート課題がでますが、内容や提出方法は授業内で詳しく説明する。基本は授業内に担当教員に直接に提出し、ポータルによる提出は受け付けない。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 40% 学内評価基準
小論文・レポート 20% 学内評価基準
授業参加 20% 学内評価基準
その他 20% リアクションペーパー提出
テキスト 教科書は使用しない
参考文献 「文化政策入門」丸善ライブラリー
「文化政策学」後藤和子 有斐閣コンパクト
「地域主権の国 ドイツの文化政策」藤野一夫・秋野有紀 美学出版

関連ページ 授業に関する関連ページは、授業内で示す。
その他、履修生への注意事項 授業中の私語を慎み、携帯電話の利用を禁止します。遅刻や途中退席はしないようにしてください。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【マネジメント学部 マネジメント学科】
実務経験の概要 wanakio実行委員会キュレーター(2000-2008)沖縄県那覇市を中心に全島で開催していたアートプロジェクト
徳島県神山町のアーティスト・イン・レジデンス評価委員(2005-2018)
Art Autonomy Network(2005-2019)
向島学会副理事長(2005-現職)
すみだ向島EXPO(2020ー現在、毎年10月に開催のアートフェスティバル)
KAB Library and Residencyの運営(2019-)ディレクター現職
「ととのう温泉美術館」愛知県蒲郡市(2023)ゲスト・キュレーター
など。
コミュニティスペース「分館」(2023-)メンバー。墨田区京島にある地域に開かれたキッチン付きスペースを協働運営
墨田x台湾高雄市との共同事業を発足(2024-)


実務経験と授業科目との関連性 地域社会と文化振興について実質的問題や方策を協議していくときに具体例として話題にしていく。