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科目名文化の法制度
担当者川瀬 真
開講期2024年度春学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目デジタル・ネットワーク社会における新しいコンテンツの流通方法やそれに対応する法制度等の問題について、コンテンツ流通の実例や法制度の変遷等を踏まえ、受講生とともに考えていきます。
授業の達成目標本授業では、学生には、コンテンツ流通の基盤法である著作権法とその周辺の制度を理解し、デジタル・ネットワーク社会におけるコンテンツ流通の特徴を学ぶとともに、音楽、映像作品、漫画、ゲーム等の分野ごとのコンテンツ流通の現状と課題を把握させます。
また、コンテンツ流通は国際的なものであるため、コンテンツ流通に関する外国の状況や外国との比較におけるわが国の課題等を理解し、グローバルな視点での課題整理の方法を学びます。
以上の学びを通じ、学生は、次々と開発普及する情報処理や情報通信技術を活用したコンテンツ流通の実態について説明できるようになるとともに、次世代のコンテンツ流通のあり方を提案できる能力を身につけることを目標とします。
今年度の授業内容ネット社会になって、誰でも自由にコンテンツ等を流通できるようになりましたが、その流通の方法にも法制度によるルールがあることを知らなければ、ネット社会という新しい文化を理解することができません。そのため、分野ごとのネット流通の進捗状況について説明したうえで、まず現状を正しく把握してもらうと同時に、そこに内在する課題を理解し、それを克服し健全なコンテンツ流通を実現するための解決策を受講生に考えてもらいます。また、コンテンツ流通に限らず、ネット社会はよい面と悪い面が混在している社会です。ネット社会の悪い面を放置しておくと多くの問題が生じネット社会の健全な発展は望めないので、様々な法制度によるルールが整備されており、その内容を知ってもらいます。さらに、コンテンツ流通はグローバルな流通であるので、それぞれの事項について外国の状況等についても学んでもらいます。
毎回の授業の後に私が提示するテーマでごく簡単なレポートを提出してもらいますが、その際には実現可能かどうかは別にして提案型の内容を求めます。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について〇コンテンツ流通の実態やそれに関連する法制度については、私が作成する授業用資料にできるだけ詳しく載せるようにする。当該資料は遅くとも2日前にはポータルに掲示するので、授業までによく読み内容を理解しておくこと。講義後は、よく資料を読み返すとともに、関連条文については、条文の内容を改めて確認し理解するよう努めること。
〇また法制度については、文化庁HPから著作権法の内容をわかりやすく解説した「著作権テキスト」が無料でダウンロードできるので、著作権制度の概要を教える第2回目と第3回目の授業の前によく読んで理解しておくこと。
〇授業後は、原則として簡単なレポートを提出してもらうので、授業の内容をもう一度頭の中で整理し、自分であればこうしたいという提案型の内容にまとめること。
〇著作権法の理解度については、小テストを行うことにしているが、テスト前には私が作成した授業用資料及び著作権テキストを熟読しておくこと、またテスト後は速やかに採点をし結果を知らせるので、採点の内容を確認するなどして、理解度を深めるようにすること
合計60時間
自習に関する一般的な指示事項〇ネットによるコンテンツ流通に関する新聞記事等は頻繁に提供されているので、新聞やネットニュースをできるだけ読み、必要に応じ切り抜くなどし、情報収集すること。
〇受講生は著作権制度に関する知識なしとして、上記の「著作権テキスト」を読むことを進めるが、学生の知識レベル、著作権に関する関心度等に応じ、初級から上級まで推薦できる専門書があるので、そうしたものを読みたいと思う学生は相談すること。
第1回「オリエンテーション」です。
授業の内容、進め方、評価の方法等について説明します。また、文化にかかわる法制度について、ごく簡単な概要について説明します。
第2回「著作権制度の基礎知識1」です。
知的財産権の制度上の位置付け、著作権法の体系、著作物及び著作者までの解説をします。


第3回「著作権制度の基礎知識2」です。
著作者の権利、著作物の利用、著作権の制限及び権利侵害までの解説をします。
なお、授業終了後、これまでの知識の習得状況を見るため、簡単な確認テストを行い、ポータルを通じて期限までに提出してもらいます。
第4回「ネット社会におけるコンテンツ流通の変化(パッケージ流通からネット流通へ)」です。
グーテンベルクが院作術を発明して以来500年以上がたちました。その間コンテンツの流通はパッケージが中心でしたが、ネット社会の到来によって、コンテンツ流通に革命的な変化が起こりました。そこではどのような変化が起こったのか、その原因と結果について大きな視点から解説します。

第5回「事例の紹介と課題1 音楽のネット流通」です。
音楽は映像と比べて情報量が少ないのでネット革命の影響を最初に受けました。この授業では音楽の流通の変化の歴史をたどったうえで現状について解説します。
第6回「事例の紹介と課題2 映像作品(映画、アニメ、放送番組等)のネット流通」です。
現在ネット流通の主流になっている映像作品について解説します。



第7回「事例の紹介と課題3 漫画、小説等のネット流通」です。
出版物については、他のコンテンツに比べて、異なる展開をしているのでそれについても解説します。
第8回「事例の紹介と課題4 ゲームソフト等のネット流通」です。
国際的に最も競争力があるのがゲームであり、その特徴等も解説します。
第9回「事例の紹介と課題5 私的領域におけるコンテンツの利用」です。
ネット社会の到来により、私たちのコンテンツの楽しみ方に大きな変化が生じました。それを実態及び法制の側面から解説します。
第10回「著作権又は著作隣接権の集中管理制度とコンテンツの流通促進」です。
 最近の政策課題です。法制度と実務について学びます。
第11回「IT時代における新たな課題1 検索サービス、情報解析(AI生成物の法的課題を含む)、通信過程等新たな著作物の利用とその対応策」です。
ネットを活用した情報入手の方法と提供等は革命的な進化を遂げました、そのことと法制度の関係について解説します。
第12回「IT時代における新たな課題2 IT時代を踏まえた契約のありかたについて」です。
 失敗事例を説明した上でIT時代にふさわしい契約のあり方を解説します。
第13回「ネット流通の進展と関連法制度等の整備1 コンテンツの違法流通対策」です。
ネットの特徴を生かした新たな権利侵害とその対策について解説します。
第14回「ネット流通の進展と関連法制度等の整備2 不正アクセスの防御、営業秘密の漏えい防止など電子データの保護制度」です。
ネット流通を適正化するための関連制度について解説をします。
授業の運営方法講義を中心に行います。パワポの資料を投影して説明します。当該パワポ資料及び補足資料は授業の2日前までに授業システムを通じて事前に提供します。必要に応じ遠隔授業(Microsoft Teams、リアルタイム方式)と併用して行います。教科書は使いません。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法〇毎回授業後に提出される小レポートについては、個々の受講生に対し授業システムを通じて講評を行います。
ただし、受講生が多い場合は、3段階評価を行い、その評価を示すとともに、必要に応じコメントをするという方式で行います。
〇確認テストについては、テスト終了後回答を示すと同時に個々の受講者に授業システムを通じて講評を行います。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 60% 論述式
小論文・レポート 0% 実施しない
授業参加 30% 課題に対する小レポートの提出、授業態度
その他 10% 確認テスト(3回目に実施)
テキスト 特になし
参考文献 著作権法入門 文化庁編 著作権情報センター
文化庁編 著作権テキスト
関連ページ 文化庁 公益社団法人著作権情報センター
その他、履修生への注意事項 〇授業の方法ですが、授業の2日前までにパワポの資料と必要に応じその他の資料を授業システムを通じ提供します。その日の課題についてはパワポ資料の最後に記載しておきますので、授業終了後、小レポートを授業システムを通じて提出してください。小レポートの提出により出欠の有無を記録しますので注意してください
〇遠隔地授業を行う場合はMicrosoft Teams により同時送信により行います。
〇定期試験を実施しますが、遠隔地授業になった場合は、授業システムを通じ試験時間の直前に問題用紙を配布しますので、決められた時間内に答案を書いて授業システムを通じ提出してください。
〇質問については、授業の際に行うか、授業システムのQ&A機能を通じて行ってください。

卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【マネジメント学部 マネジメント学科】
実務経験の概要 文化庁で著作権関係の行政実務に従事(著作権課著作物流通推進室長8年)。主にコンテンツの流通促進、著作権等の集中管理に関する事業者の指導監督、著作権法改正に関する企画立案を担当。
実務経験と授業科目との関連性 ネット時代におけるコンテンツ流通と法制度との現状や今後の課題は、私の実務における経験を生かし、現状に至った経緯や課題の本質等について率直に話ができます。