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科目名日本経済入門
担当者橋本 武敏
開講期2024年度秋学期
科目区分週間授業
履修開始年次1年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目日本経済を理解するための基礎知識、金融・経済のよりよい理解
授業の達成目標日本経済を理解するための基礎知識を習得し、経済に関する様々なトピックに関して、その背景にある理論、仕組みや考え方を理解し、自分なりの意見が持てるようになることを到達目標とします。
今年度の授業内容本講義では、様々なトピックを通じて日本経済を理解するための基礎知識を学びます。具体的には、「GDP」、「景気変動」、「貨幣」、「財政政策」、「金融政策」、「物価」、「失業」、「経済成長」、「国際経済と為替レート」、「日本の金融機関」、「日本の財政」、「地域経済」などのテーマを取上げ、各々についての基礎になる理論、知識や考え方、それらからみた日本経済について学びます。第二次世界大戦後、日本経済は高度経済成長の結果、「世界第二位の経済大国」などといわれるまでになっていましたが、いわゆる「バブル崩壊」後は巷間「失われた30年」などといわれる低迷を続け、一頃の輝きを失っています。経済規模も、2010年頃中国に抜かれ、2023年にはドイツにも抜かれ、インドなどと比較しても大きいとは言えなくなってきました。更に2022年以降は、円安、物価の上昇など、皆さんの日常生活にも影響を及ぼすような変化が起きました。本講義では、経済理論や統計等の基本的な枠組みを学び、それらに基づいて、こうした日本経済の現状を皆さんに理解していただくと共に、なぜ日本経済が一頃の輝きを失ってしまったのかについても考えていきたいと思います。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間についてテキスト、参考図書を参照しつつ講義を進めます。毎回、次回講義で取上げる部分を連絡しますので、該当箇所を予習として読み、疑問に感じたこと、よく理解できなかったところなどを明確にして講義に臨んでください。講義前日には、講義資料もポータルに掲示しますので、それにも目を通してきてください。
この講義は、知識の積上げが重要になります。テキスト、参考図書の該当箇所や講義資料を毎回読み返して復習してください。講義で取上げた用語、理論等の考え方を理解して次回の講義に臨んで下さい。次回の講義では、それまでに学んだ知識を活用する形で説明を進めますので、毎回の講義で学んだ知識の確実な理解が重要になります。
合計60時間
自習に関する一般的な指示事項日頃から、ニュース等で報じられる政治、経済、社会の動向と、講義で学んだ事項を関連付けて考えるようにしてください。
印象に残ったことなどを「感想」等の形で課題と共に提出することを推奨します。
第1回ガイダンス および 「近年の日本経済」

講義の進め方、必要となる予習・復習の方法・範囲、出席の取り方や成績評価の方法等のガイダンスを行います。
次に、主として第2次世界大戦終結後から今日に至る日本経済の歩みを概観するとともに、いわゆる「バブル崩壊」後の低迷の実態について説明します。
第2回国内総生産(GDP)とは何か

一国の経済規模を語る際の基本的な統計量の1つであるGDP統計について説明します。併せて、経済を眺める上で重要となるいくつかの用語・概念についても解説します。
第3回景気循環

巷間「景気が良い・悪い」などといいますが、この講義では「景気」とは何かについて説明した後、「景気変動」「景気循環」の概念と、経済統計でそれらをどのように捉えるかについて説明します。引続き、経済を眺める上で重要となるいくつかの用語・概念についても解説します。
第4回有効需要と乗数効果

経済を理解するために重要になる「需要」の概念を説明します。併せて、経済における「消費」「政府支出」「投資」等、各需要項目の意味や、これら需要項目の増加が国民所得等に与える効果についても説明します。
なぜ、消費や投資の増加が経済を活性化させるのか、政府が財政支出を増やす政策をとる経済的な意味は何かなどを理解します。
第5回貨幣とは何か(1/2)

経済を支える「お金」「貨幣」の意味・役割について考えます。歴史的に「貨幣」として使われてきた財や、「貨幣」として使われ得る財が備えるべき条件、近年話題に上ることが多い「暗号資産」等について説明します。なぜ「お金」はお金として信用され、広く流通するのかについて考えます。近年は、企業による電子マネーや地域貨幣の発行が盛んにおこなわれていますが、「貨幣」を発行することの経済的な意味、貨幣発行主体にとってのメリットとしての「通貨発行益」についても解説します。
第6回貨幣とは何か(2/2)

経済の中で貨幣の量を統計的にどのように捉えるか、貨幣需要がどのように決まるかについて説明します。具体的には「マネーストック」「マネタリーベース・ハイパワードマネー」「貨幣需要関数」等の概念について解説します。「金利」と「貨幣需要」それぞれの意味を理解するとともに、それらの間にある関係について考えます。
第7回日本の金融機関、金融商品の利用上の留意点

日本に存在する金融機関の種類、機能の相違点、取扱う主な金融商品とそれらを利用する際の留意点等を説明します。金融資産運用に際しての金融商品選択の考え方、借入を行う際の留意点など、金融リテラシー向上に役立つ講義になっています。
第8回財政政策と金融政策(1/2)

政府が行う経済政策には、大きく分けると財政政策と金融政策がありますが、この講義ではそれらの機能と役割について学びます。具体的には、マクロ経済学でも取扱うISーLM分析を説明する講義になります。更にこの講義では、最近まで日本を含む主要先進国で行われてきた「金融緩和」の意味について、背後にある理論上の諸論点、問題点についても説明します。
第9回財政政策と金融政策(2/2) および 失業

前半は、前回の講義を発展させ、政府による財政政策、金融政策が経済のマクロの需要をどのように動かすか、それが物価にどのように影響するかについて説明します。「需要」と共に重要となる「供給」が、経済理論でどのように取扱われるかについても簡単に触れようと思います。
後半は、こうした政府による財政政策、金融政策の一つの目途となる「完全雇用」の概念を考えます。更に日本における雇用・労働に関する諸論点を、失業に焦点を当てつつ説明します。
第10回物価と失業 および インフレとデフレ

近年、物価上昇が世間の関心を集めていますが、この講義では経済統計で「物価」をどのように捉えるかについて説明します。併せて、インフレ・デフレの意味や主な論点についても説明します。更に、物価と失業の間の関係を表す「フィリップス曲線」を紹介し、関係する論点について日本経済の現状に関連付けて説明します。
第11回国際経済からみた日本 外為レート、国際収支、貿易

最近円安が話題になっていますが、講義の前半では、そもそも円高・円安とは何かについて説明します。外国為替市場の役割、外国為替レートがどのように決まるのかについても学びます。併せて、円高・円安それぞれのメリット・デメリットなどの諸論点を、経済学の観点から説明します。
講義の後半では国際収支統計について説明し、日本経済の現状を国際経済の観点から説明します。併せて、国際収支の背後にある貿易、資本取引や「自由貿易」の意味についても考えます。
更に、政府の財政政策、金融政策が国内需要や物価に与える効果を、海外との貿易や外国為替レートの変動を踏まえて検討しようと思います。マクロ経済理論では「マンデルフレミングモデル」と呼ばれる理論に基づく説明になります。同時に。国際金融を眺める上で重要となる重要な概念(トリレンマなど)についても説明します。
第12回日本銀行の金融政策

政府の経済政策のうち、「金融政策」を担っているのは日本の中央銀行である日本銀行です。この講義では、日本銀行のような中央銀行が一国の経済の中で果たしている役割について学びます。まず日本銀行の組織や業務を、海外の中央銀行(米国のFRBなど)と対比させながら説明します。その後、いわゆる「大規模金融緩和」が行われる以前の「伝統的な金融政策」において、金融市場への貨幣供給、金利操作等が具体的にどのような手法、仕組みで行われてきたのかについて説明します。その後、近年行われている「非伝統的金融政策」について、なぜ伝統的な金融政策から非伝統的金融政策に変えなければならなかったのか、具体的にどのような政策手法が取り入れられたのか等について解説します。最後に、こうした非伝統的金融政策の効果を考えた後、仮に日本銀行が金融緩和政策を変更することになった場合に予想される事象等についても説明します。
第13回日本の財政赤字

政府の経済政策のうちの「財政政策」を、近年問題となっている財政赤字に焦点を充てつつ説明します。まず日本の財政赤字の現状を説明するとともに、なぜ財政赤字が拡大・累積するのようになったのか、なぜ財政赤字は問題となるのか等についての経済学的な議論を紹介します。更に、こうした現状を打開するための、近年の日本における財政再建の取組みとその意味についても説明します。
第14回日本の地方経済の現状、経済成長のために必要なことは何か

最終回の講義は、前半で日本の地方経済といわゆる地方創生の取組みの現状について説明します。具体的には、人口の東京等への集中に伴う過疎化の問題と、それに起因して起きている東京等の大都市圏とそれ以外の地域との間の経済格差の問題の現状を眺め、なぜそのようなことが起きたのか、問題点は何か、われわれはどのようにこの問題に向き合うべきなのか等を考えます。
講義の後半では、日本経済が低迷するそもそもの原因である低成長の問題を取り上げます。この講義で取上げてきた論点の多くは、経済の「需要」面に係るものでしたが、ここでは「供給」面を取上げて、生産力・GDPを増やすために何が必要なのか、なぜ日本経済は低迷しているのか等を考えます。最後に、日本経済を盛り上げるために若い皆さんに期待されることについても申し上げて講義を締めくくりたいと思います。
授業の運営方法教室での講義形式で実施します。習熟度を確認するために、毎回課題提出を求めます。
出席は、講義中に配付する出席票提出方式か、教室で連絡する認証コードを使ったスマホ登録形式で取ります。具体的な出席確認方法は、講義の中でご案内いたします。



課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法毎回の課題は、ポータルの「課題管理」上で採点することにより行います。
なお、課題提出締め切りまでに提出できなかった場合でも、次回講義資料で課題の解答を掲示するまでの間は、引続き提出を受け付けます。ただし、得点は、同程度の出来であれば、締切りに間に合った場合の方が高い得点となります。

正解・不正解の通知や部分点付与等のフィードバックは、課題管理の中のコメントの形で行います。

講義に対する感想、質問などを課題と共に提出した場合、講義への積極的な参加の現われとして、加点要素と致します。特に講義での追加的な議論等の材料になるような有意義な感想や、自発的な勉強の報告等には高い加点を行います。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0% 実施しません
小論文・レポート 70% 講義の都度、毎回小テスト形式の課題提出を求めます。
授業参加 30% 課題提出の際、感想、質問等を提出すれば加点要素とします。
テキスト 『入門 経済学(第4版)』伊藤元重(著)日本評論社 2015年 ISBN978-4-535-55817-5  定価3,000円
『最新 日本経済入門(第6版)』小峰隆夫・村田啓子(著)日本評論社 2020年 ISBN978-4-535-55902-8 定価2,500円
参考文献 『入門マクロ経済学(第6版)』中谷巌(著)日本評論社 2021年 ISBN978-4-535-55795-6 定価2,800円
その他、履修生への注意事項 テキスト、参考書だけでなく、政治・経済に関するニュースを積極的に視聴し、感じた疑問や感想を講義で積極的に発信するようにしてください。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【マネジメント学部 マネジメント学科】