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科目名エコビジネス論
担当者宮崎 智子
開講期2023年度秋学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目持続可能な地球環境の実現に向けた取り組みと課題
授業の達成目標将来、社会や企業で活躍する人材の礎を形成するために、以下を目標に掲げます。
①地球環境問題の状況を理解し、説明できるようになる。
②SDGs(持続可能な開発目標)、パリ協定(脱炭素)、ESG投資など、持続可能な地球環境の実現に向けた国際的な動向を理解し、説明できるようになる。
③地球環境問題解決に向けたアクションについて、自らの意見を述べられるようになる。

今年度の授業内容今、私たちが暮らす地球は、地球温暖化や海洋プラスチックごみ問題など、さまざまな課題に直面しています。
豊かで美しい地球を継承していくためには、こうした問題を一つずつ解決しなければなりません。
地球環境問題の解決は、企業が持続的に発展するためにも重要な課題です。課題解決のために、自ら何が問題なのかを捉え、解決策を考えていく人材が求められています。
本授業では、持続可能な地球環境を巡る国際的な動向を体系的に学び、企業が地球環境問題に対し、どのように取り組んでいるのかを確認した上で、ワークショップなどを
通じて、地球環境問題に対する自身の考えを整理することを目指します。
授業を通じて、学生の皆さんが地球環境問題に対する国際動向や企業の取り組みを正しく理解する能力を涵養し、将来の職業選択やキャリア形成に役立つ知識やスキルを提供したいと考えています。
準備学修 予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について事前にポータル提出の資料を読み、疑問点を整理しておいて下さい。授業終了後は、復習をして理解度を深めて下さい。予習・復習各1時間程度。 合計60時間
自習に関する一般的な指示事項毎回授業の冒頭で前回の振り返りを行います。復習をした際に感じた疑問やコメントなどをポータルに入力頂ければ、回答致します。
 第1回ガイダンス
講義の内容・進め方と、企業が持続的に発展するために求められるサステナビリティ人材像について説明をします。
 第2回サステナビリティを巡る国際的な動き
地球環境問題はいつから論じられているのか、問題を解決するために国際社会はどのような取り組みを行ってきたのかなど、サステナビリティを巡る国際的な動きについて1990年代から遡って説明します。
 第3回SDGsとパリ協定
SDGs(持続可能な開発目標)やパリ協定が解決を目指す地球環境問題は、どのようなものなのか。SDGsのゴールと照らし合わせながら、さまざまな地球環境問題の現状を説明します。また、国連などの機関が解決のためにどのような取り組みが必要と考えているのかについても説明します。
 第4回企業のサステナビリティ経営
サステナビリティ経営とは、どのような経営を指すのか。なぜ、企業がサステナビリティ経営に取り組む必要があるのか、サステナビリティを推進するために取り組まねばならない課題は何か、企業はどのようにサステナビリティ経営を進めているのかについて説明します。
 第5回ESG投資と企業評価
E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)に係るESG投資とは何か、ESG投資を行うにあたり、企業の環境や社会問題への取り組みをどのように捉え、評価しているのかについて説明します。
 第6回小括
ここまでの内容について、用語や定義の整理と重要項目の再確認を行い、理解度の深化を図ります。また、これまでの授業の内容と次回以降の各講義の内容との関係を明らかにします。後半で理解度確認のためのテストを行います(資料持ち込み可)
 第7回ケーススタディ①気候変動(脱炭素)
多くの企業が掲げる「カーボンニュートラル」について説明します。その上で、企業の脱炭素への取り組み(再生エネルギー、排出権ビジネスなど)と脱炭素化の状況を確認し、脱炭素社会の実現に向けて企業や個人が出来ることは何かを考えていきます。
 第8回ケーススタディ②海洋プラスチック問題
海洋プラスチックごみは、海を汚染するだけでなく、そこに住む生き物にも影響を与えています。海洋プラスチックごみは、どのような問題を引き起こしているのか、問題解決に向けて企業の取り組みについてスターバックスの事例などで確認した上で、海洋プラスチック問題の解決に向けて、企業や個人が出来ることは何かを考えていきます。
 第9回ケーススタディ③サーキュラーエコノミー(循環型経済)
サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは何か、3R(Reduce、Reuse、Recycle)との違いは何かなど、サーキュラーエコノミーの定義を説明した上で、企業の取り組み(セブンイレブンジャパンのリサイクルPET事業など)を確認し、循環型経済を実現するために企業や個人が出来ることは何かを考えていきます。
 第10回ケーススタディ④生物多様性
生物多様性の保全のための重要な考えである「ネイチャーポジティブ」について説明した上で、生物多様性保全に向けた企業の取り組み(グッチやバレンシアガを傘下にもつケリンググループやキリンホールディングスなど)を確認し、企業や個人が出来ることは何かを考えていきます。
 第11回ケーススタディ⑤エシカルビジネス
自然破壊や貧困、人権問題といった世界の課題、そして地域の活性化などに配慮した商品やサービスを「消費」する「エシカル消費」を推進するための企業の環境認証(FSC、RSPO、ASC/MSCなど)への取り組みなどを確認した上で、エシカルビジネスが発展するために企業や個人が出来ることは何かを考えていきます。
 第12回サプライチェーンマネジメント
地球環境問題に対応するために、企業単独ではなく原材料の調達から販売まで対象を広げたサプライチェーン全体での取り組みが求められています。なぜサプライチェーン全体での取り組みが必要なのかについて説明した上で、企業のサプライチェーンマネジメントの取り組み(花王など)を確認し、サプライチェーンマネジメントに対する理解を深めていきます。
 第13回サステナビリティ経営におけるNPO/NGOの役割
SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」を推進するために大きな役割を担うことが期待されているのが、非営利団体であるNPO/NGOです。NPO/NGOとは、どのような団体なのかを学んだ上で、NPO/NGOと企業の協働による地球環境問題への取り組み事例(スターバックスや三井物産など)を紹介します。
 第14回ワークショップ
企業のサステナビリティレポートを読んで、配布するチェックシートを用いて企業の環境問題への取り組みについて評価を実施し、グループごとに結果を発表してもらい、質疑応答や意見交換などを行います。
 第15回統括~地球環境問題にどう向き合うか~
さまざまな地球環境問題に対して、国や国際機関、そして企業がどのように向き合っているのかを振り返ります。その上で、多様な主体による地球環境問題のアプローチの可能性について考えていきます。
授業の運営方法・毎回の授業資料は、ポータルに事前に提示します。
・授業は上記の資料を使用して講義します。
・6回目の授業で理解度確認のためのミニテストを実施します(資料持ち込み可)。
・期末にレポートを出しますので、受講生はポータルの課題提出からレポートを提出して下さい。
・授業形態は対面を基本としますが、感染症などの状況によってはオンライン(Teams)への切り替えを検討します。
課題 試験やレポート等に対するフィードバックの方法理解度確認のミニテストについて授業内で解説します。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
小論文・レポート 60% レポートの内容
授業参加 40% 理解度確認テスト
テキスト なし
授業では資料を使用します。資料は、ポータルに掲載します。
参考文献 夫馬賢治『ESG思考』講談社+α新書,2020年
その他、履修生への注意事項 講義内容についての質問や意見を歓迎します。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【マネジメント学部 マネジメント学科】
カリキュラムマップ【マネジメント学部生活環境マネジメント学科】
実務経験の概要 総合商社で鉄鋼の国内物流やトヨタ完成車の海外輸出業務などに従事した後、サステナビリティ経営推進部にて、ESG評価機関対応、サステナビリティレポートの作成、NGOとの協働プロジェクト(国際NGOのコンサベーションインターナショナルとの協働でカンボジアREDD+プロジェクトのセーフガードプログラム(地域住民向け代替生計手段の提供)を構築)の推進、ステークホルダーエンゲージメント、社員の意識浸透、在日ブラジル人のキャリア支援(社会貢献活動)など、サステナビリティ経営推進に従事しました。

実務経験と授業科目との関連性 事業を通じて地球環境問題の解決に取り組んできました。
社会(地球)と企業が持続可能であるために、何をすべきかについて、研究と実業の両面から検討を続けています。自身の取り組みを通じて学んださまざまな事例を紹介することで、分かりやすい授業を目指したいと考えています。