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科目名コミュニケーション文化学演習IB
担当者宮津 多美子
開講期2024年度秋学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数1単位
授業の方法演習
授業題目人種・ジェンダーからよむ異文化コミュニケーション II―アメリカの民話としてのディズニー映画
授業の達成目標この授業では、ディズニー映画に書き込まれた人種・ジェンダーイデオロギーに注目し、これらの作品がいかにアメリカ的価値観の創造・拡散・強化に貢献してきたか探る。ディズニー作品の多くは17〜19世紀のヨーロッパの童話や民話、伝承を原作とするが、ウォルト・デイズニーやその後継クリエイターは映画の制作過程でそれらの物語のテーマや人物、プロットをアメリカ人の志向にあわせて巧妙に書き換えてきた。その書き換えにはアメリカ人が無意識のうちに共有している人種・ジェンダーイデオロギーが読み取れる。授業では、制作過程における前近代的ヨーロッパと現代アメリカの異文化の鬩ぎ合いに注目してクリエーターによって加えられた修正とその意味を分析し、ディズニー映画を再定義するとともに、これらの作品におけるアメリカ的価値観とその含蓄への理解を深める。
【授業の達成目標】
1. ディズニー映画とその原作のテーマや人物、プロットの違いとその理由を説明できる。
2. ディズニー映画に書き込まれた人種・ジェンダーイデオロギーについて説明できる。
3. ディズニー映画によるアメリカ的価値観の創造・拡散・強化について説明できる。
4. ディズニー映画によるアメリカ的価値観の創造・拡散・強化について自分の意見を述べることができる。論文作成などの学術活動に際して必要な研究倫理を身につける。
今年度の授業内容授業では、ディズニー映画に書き込まれた白人至上主義的・人種主義的なイデオロギーについて考察・批判する。それぞれのペア/グループがディズニー作品を選び、その作品と原作のテーマや人物、プロットの違いとその意味について論じるとともに、クラスディスカッションを通してそれぞれの学びを共有する。最終的には、個別のテーマを設定し、ペア/グループエッセイを完成させることを目的とする。卒業研究の第二ステージという位置づけのこの授業では議論の組み立て方、草稿計画なども学ぶ。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について〇 事前に教科書の関連箇所を読み、理解を深める(0.5時間/週)。
〇 教科書の担当章については発表準備をする(1時間)。
〇 メンバーと協力しながら、ペア/グループ課題に取り組む(0.5時間/週)。
合計15時間
自習に関する一般的な指示事項〇 ペア/グループ課題(エッセイ)は協力して取り組むこと。
〇 ペア/グループ課題(エッセイ)は主題を決め、関連する文献を収集し、計画的に執筆すること。
〇 文献はデジタルメディアだけでなくプリントメディア(定期刊行物・書籍等)も参照すること。
〇 自分の意見と他人の意見とを区別すること(剽窃に注意)。
〇 エッセイ執筆時に参照した文献の書誌情報を記録しておくこと(引用文献リスト作成のため)。
第1回ガイダンス:演習のスケジュール&内容、担当決め
第2回論文作成法 (1):テーマ設定、本文の組み立て方
第3回論文作成法 (2):注、引用、文献表
第4回序章:ディズニー・マジックを知るには
第5回第1章:白雪姫と七人のこびと:ゾンビと死体愛好者のロマンスはいかにして消毒されたのか
第6回第2章:ピノキオ:ピノッキオを食べたのは体長1キロ、喘息持ちのサメだった!
第7回第3章 シンデレラ:原作には登場しないガラスの靴と太った世話好きの妖精
第8回第4章 眠れる森の美女:116歳の老婆を愛する白馬の王子とは……
第9回第5章 リトル・マーメイド:自由恋愛を楽しむヤンキー娘に作り変えられた人魚姫
第10回第6章 美女と野獣:消えた意地悪な姉と、突如登場したマッチョな男
第11回終章 魔法が生んだアメリカの民話
第12回ディズニー先行研究(英語論文・日本語論文読解)
第13回卒論進捗状況プレゼンテーション(Q&A、講評)
第14回ペア/グループ課題プレゼンテーション(Q&A、講評、総括)
授業の運営方法〇 授業ではレポーター発表の他、ペア/グループワーク、クラスディスカッションも行う。
〇 協力してペア/グループ課題を完成させること。
〇 ゼミ活動には積極的に参加し、主体的に学ぶこと。
〇 ゼミは教場による対面授業を基本とする。
〇 出席確認は出席カード、リフレクションコメントによって行う。
〇 遅刻・早退は30分まで。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法〇 レポーター課題のフィードバックは授業で行う。
〇 ペア/グループ課題のフィードバックは授業で行う。
〇 個人課題の個別フィードバックはポータルを通じて行う。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0% 実施しない
小論文・レポート 40% ペア/グループ課題(エッセイとそのプレゼンテーション)
授業参加 40% リフレクションコメント、授業内課題
その他 20% レポーター発表
テキスト

有馬哲夫、『ディズニーの魔法』(新潮社・新潮新書)、2020年、ISBN:  978-4106100444.

河野哲也、『レポート・論文の書き方入門』第3版(慶応義塾大学出版会)、2008年.ISBN: 978-4766409697.
参考文献 適宜、授業で紹介する。
その他、履修生への注意事項 〇 文献は可能な限り一次資料(原典)を参照すること。
〇 意見を述べるときには必ず引証を示すこと。
〇 メディアで発信されている情報は自主的かつ批判的に扱うこと(要メディアリテラシー)。
〇 課題や授業に関する連絡はポータルで配信するため、ポータルには毎日アクセスすること。
〇 授業に関する質問や疑問があればポータルのQ&Aで担当教員に連絡すること。
〇 ペア/グループ課題(エッセイ)の評価基準(計24点)は以下の通り。
  1. 内容・展開:文章には明確な主題がある。批判的思考が実践されている。オリジナリティがある。
  2. 構成:序論・本論・結論の3部構成である。文章には学術的背景が提示され、先行研究への言及がある。
  3. リサーチ(研究):情報や意見にはその証拠となる文献が引用されている。文献の解釈も提示されている。
  4. 表現・文体:文章は首尾一貫していて、論旨も明確である。豊かな語彙や技巧的表現が使用されている。
  5. 技巧:語用・語法、文の構造(主述の一致)、表記、句読点等には間違いがなく、誤字や脱字もない。
  6. タイムライン:期日内に提出した。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【文学部 コミュニケーション文化学科】