科目名 | アナウンス | |
担当者 | 渡部 英美 | |
開講期 | 2024年度秋学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 1単位 | |
授業の方法 | 実習 | |
授業題目 | 日本語アナウンス実習 | |
授業の達成目標 | 学生はこの授業で、職業ごとに必要とされるアナウンスを実践できるようになるとともに、職業の種類を越えた共通の伝える力を身に着けることを目標とする。 近年「コミュニケーション能力」のひとつとして「アナウンス能力」が注目されている。とりわけコロナ禍を経て、直接顔と顔を合わせなくても伝わる、コミニュケーション力を生かした伝え方が問われている。ここで問われる能力とは「伝えるべき情報」を「適格に、正確に、好印象で、誰にもあまねく、瞬時に、明確に」伝えるということである。この科目には「アナウンス」という名称がついているが、特に放送局のアナウンサーを養成するための専門的訓練を行う授業ではない。ビジネスの世界で、他者と多く接する職種の人が求められる中で、基礎的な音声表現能力を磨く実習授業である。アナウンスに関わる職業といえば、アナウンサー、リポーター、俳優、声優、気象予報士、ナレーター、朗読者、司会者、DJ、イベントMC、客室乗務員、グランドスタッフ、広報担当者、コンシェルジェ、ホテル・旅館業、観光業、百貨店などの販売部門、金融機関、接客業、保育士・幼稚園教諭など数え上げればきりがない。これらの職業では、業務上の実践的なアナウンス能力(アナウンス適性)が強く求められている。では、どのようにすれば聞き手にうまく伝わるのだろうか。魅力ある話し方はどうしたら生まれるのだろうか。洗練されたコミュニケーション能力はどのようにしたら獲得できるのだろうか。この授業では、それらの疑問に答えながら、個々のパフォーマンスチェックを重ねて実践的に授業を進める。一人ひとりの個性と指向を踏まえたアドバイスで能力を伸ばしていく。将来、音声表現に関わる仕事に就きたいという学生に必須の授業である。 |
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今年度の授業内容 | 各テーマごとに担当講師が概論説明を行い、テキストや自ら作制したコメントに沿って、学生個々人に実習を行ってもらう形式で授業を展開する。自分が志向する仕事のみを目指すスキル講座ではなく、幅広くアナウンスする能力を意識する講座。「なにを」「どう伝えるか」を核にして「伝える」価値と責任について体得することを目指す。発声・発音や原稿の明確な伝え方、一度聴くだけで意味内容がしっかり正確に伝達できる伝え方、聴き取りやすい声、個性的な表現、態度など、さまざまなアナウンスの方法について、基礎的な事項を学び、そのうえで職種別を意識した実践練習を行う。この授業を通して将来の就職のイメージを獲得してもらう。 | |
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 毎回のテーマに即して、職種とシーンを予測してアナウンスコメントを作成し、自然なトーンとイントネーションで発表できるように予習してきてほしい。準備に1時間。授業の終了後は他の学生の発表も参考にして、当日獲得したアナウンスを復習し、次週につなげてほしい。復習に1時間。 | 合計7.5時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 実習についてこられる意欲と気力のある学生の参加を望む。将来の就職活動に生かしたいという前向きな姿勢を持ってほしい。普段から「音声表現」に興味があり、目指す職業をできるだけ具体的に意識できることが大切である。学業以外にも、テレビ、ラジオ、舞台、演劇、音楽、広報、接客活動などに関心を持って活動的に生活し、人間的魅力を広げていく姿勢を望む。コロナ禍の影響などで、求められる人材が絞られているだけに、よりホスピタリティあふれるスキルの高い人材が求められる。そこに力強くコミットする意欲が欲しい。 | |
第1回 | この講座では全14回の各回ごとにテーマを設定し、概論説明と実習の反復で「アナウンス能力」の基礎を身に着けていく。また現場で「アナウンス能力」を求められる代表的な職種を紹介しながら、コミュニケーション能力の一つとして「アナウンス能力」がいかに大切かを実践的に指導する。 ①アナウンス概論 ・アナウンスとは広く伝えること。どんな仕事にも伝えること無くしてリアクションも成果もない。どうしたら適格に伝わるのか、業種にとらわれることなく「アナウンス」するとはどういうことで、何を目指すのかに焦点をあてて全体像を説明する。 |
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第2回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ②気象予報士 〜専門知識と分かりやすさ〜 |
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第3回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ③広報 〜適格に伝える基本と様々な広報活動〜 |
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第4回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ④アナウンサー 〜緊急時に何をどう伝えるか〜 |
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第5回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ⑤ナレーター 〜コンセプトに合わせてシーンに寄り添う〜 |
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第6回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ⑥俳優・朗読者 〜文学作品を演出する〜 |
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第7回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ⑦司会者 〜合わせて、仕切って、盛り上げる〜 |
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第8回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ⑧保育士・幼稚園教諭 〜発達年齢に合わせたコミュニケーションと読み聞かせ〜 教員 〜心をつなぐ対面型授業〜 |
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第9回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ⑨接客業・デパートの販売員 〜やり取りを瞬時に判断する〜 |
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第10回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ⑩グランドスタッフ 〜「声」を届けることの難しさと大切さ〜 ※授業内発表課題出題(発表は12回・13回を予定) |
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第11回 | 【毎回の共通練習】 ・音声表現の基礎 ・発音発声 ・アクセント ・イントネーション ・鼻濁音 ・無声化 ・活舌 ・早口言葉 他 【授業ごとの実践テーマ】 ⑪客室乗務員 〜気働きと気品のアナウンスを学ぶ〜 ☆授業内期末発表① 今期のテーマ・シーンから自分にあったものを選択し、シーンの説明とともに聞き手(他の学生)に向けて発表する。到達度、オリジナル性、研鑽度などを審査し、期末実技試験の一環とする。 |
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第12回 | ☆授業内期末発表① 今期のテーマ・シーンから自分にあったものを選択し、シーンの説明とともに聞き手(他の学生)に向けて発表する。到達度、オリジナル性、研鑽度などを審査し、期末実技試験の一環とする。 |
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第13回 | ☆授業内期末発表② 今期のテーマ・シーンから自分にあったものを選択し、シーンの説明とともに聞き手(他の学生)に向けて発表する。到達度、オリジナル性、研鑽度などを審査し、期末実技試験の一環とする。 |
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第14回 | ☆授業内期末発表③ レポート |
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授業の運営方法 | 事前準備と教室での課題解説を聞いて、さまざまな業種について各々が事前にレポートにまとめる。毎回できるだけ多くの発表者を指名して、具体例として発表する。業種の特徴を捉えると同時に、どの職種についても共通の「伝えるコンセプト」を自らつかんでいく。その積み重ねが、人前でプレゼンテーションするという能動的な発表力を涵養するので、積極的に参加してほしい。発表を意識した予習に力を入れてほしい。 | |
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 期末発表と期末レポートはQAを使ってS・A・B・Cなどの評価を個々にフィードバックする。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
その他 | 40% | 期末発表で到達成果を判定する |
授業参加 | 50% | 授業中の発表、前向きな提案を評価 |
小論文・レポート | 10% | 第14回の期末レポートの内容で判定 |
定期試験 | 0% | 定期試験は行わない |
テキスト | 課題に合わせてアナウンス例文・オリジナルコメントなどを使用。 |
参考文献 | NHKアナウンス・セミナー 放送の現場から NHKアナウンス・セミナー編集委員会編 NHK出版 2005年 NHK発音アクセント辞典 |
その他、履修生への注意事項 | 就職試験への心構えを早めに確立してほしい。自分にとっての「就職」の位置づけを確かなものにしよう。大きなジャンルでは少なくとも二つの指向性は欲しい。ひとつの業界しか目指すものがないと、複眼的な見方や思考に広がらないからだ。その上で、さまざまな職業を体験してみようというのが本講座である。体験し、体感することで、発見を広げてほしい。今のうちだからできる人生探しの講座に積極的に望んでほしい。 <出欠の確認> 毎回、授業の冒頭に出席をとるので、送れないように教室に入ること。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 コミュニケーション文化学科】 |
実務経験の概要 | NHKアナウンサー・ディレクター兼務。番組取材、制作(NHKスペシャルなど)。キャスター(なるほど経済など)。リポーター(おーいニッポンなど)。ナレーター(NHKスペシャルなど)。NHKアナウンス室長。NHK放送研修センター「話し方・伝え方・コミュニケーション」講師。「ナレーション専科」など講師。現在はEテレネットコンテンツ「NHK for School」内容紹介ナレーター。 |
実務経験と授業科目との関連性 | アナウンサーとしての多様な経験を授業に反映させる。心のこもったアナウンスを具体的に実習に生かす。アクセント、イントネーションなどのアナウンススキルを体得してもらうことができる。 |