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科目名聴覚コミュニケーション論
担当者渡部 英美
開講期2024年度春学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目放送用語史 〜「耳で聴くことば」をめざして〜
授業の達成目標放送のことばは「耳で聴くことば」(「目で見ることば」ではない)が目標とされているが、「耳で」と「目で」との類似点と相違点を指摘できること。
語の選択や同音・類音語(とくに漢語表現)への気配り、また、複雑な構文は理解しにくいので文章構成を単純化する、などの工夫について、「耳で聴くことば」を使った発話が実践できるようになること。
「耳のことば」の、“聴き直しができない”という課題を補い、“情報発信者の感情や力強さを表現できる”という長所を生かす方法を説明できること。
今年度の授業内容ラジオ放送開始から99年。放送で使われる「耳で聴くことば/音のことば」は、「目で見ることば/字のことば」よりも、情報発信者の感情や力強さまで表現できるのが長所である。しかし、短所もある。
NHKの「放送用語委員会」は、放送開始(1925年)の10年後に設置、現在でも活動が活発に継続され、「耳で聴くことば」の理念の浸透をはかっている。
活動の歴史の中から、 語の選択、同音・類音語への配慮、文章構成の単純化などの、耳のことばの課題を学び、現代生活に生かせる長所を再認識する。
また、現在の放送用語委員会における放送文章改善の検討のようすも見る。
さらに、「やさしい日本語」が、日本語理解力が不十分な外国人や、日本人の高齢者・こども・障害者などの“情報弱者”にとって、災害時でも有効であることを、耳で聴くことばの視点から学ぶ。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について次回の講座の内容をシラバスを読んで準備すること。準備に1時間。復習は30分。その日のうちに理解を深めてほしい。 合計60時間
自習に関する一般的な指示事項“耳で”聴いたときは理解しにくかったが、漢字を“目で”見たら理解できた例を書きとめること。
同じニュースが、放送や新聞によって違う表現になっている場合を比較すること。
自分が発表する時に、プリント資料を配ったうえで説明する時と配らないで説明する時との、語の選択(和語か漢語か、など)、文章構成の単純化(単文構成か複文構成か、など)、などについて考えること。
第1回ガイダンス / 古い録音を聴く
第2回耳で聴くことばと、目で見ることばとの違い
第3回戦前の放送用語の方針<1>語彙全般・漢語
第4回戦前の放送用語の方針<2>同音語・専門用語
第5回戦前の放送用語の方針<3>固有名詞(人名・地名)
第6回戦前の放送用語の方針<4>発音・アクセント・語法
第7回耳で聴くことばを用いてラジオ原稿を書き発表する−1−/受講生が書いたラジオ原稿のうちから、具体的に「耳で聴いてわかりやすいかどうか」を2週にわたって指摘してゆく
第8回耳で聴くことばを用いてラジオ原稿を書き発表する−2−/受講生が書いたラジオ原稿のうちから、具体的に「耳で聴いてわかりやすいかどうか」を2週にわたって指摘してゆく
第9回放送用語の調査研究の変遷<1>放送開始から終戦まで
第10回放送用語の調査研究の変遷<2>ことばの民主化と耳のことばの確立
第11回放送用語の調査研究の変遷<3>テレビ放送開始と調査研究の進展
第12回テレビジャーナリズムのことば〜「書く」と「話す」の間〜
第13回「耳のことば」をめざす検討のようす


第14回「やさしい日本語」を用いる、災害時の情報伝達(この内容は13回までの間に行う)



授業の運営方法講義形式でおこなう。
授業内で教員から学生に問いかけ、耳のことばを実感・確認させることもある。
「耳のことば」を使った文章を書く課題が出される。

課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法レポートはWordで書いてQAに提出すること。確認の後、個々にQAで評価とともにフィードバックする。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0% 定期試験はおこなわない
小論文・レポート 50% レポートを提出期間にQAに添付して提出。
授業参加 50% 「耳のことば」を使った文章を提出
その他 0% 実施しない
テキスト 教員がテキストをポータルに上げるので、プリントアウトしたりPC上でモニターできるようにしたりして参照すること。
必要に応じてプリントを配付する。当日の授業で使用するプリントは持参すること。
参考文献 必要に応じて授業で指示する。
その他、履修生への注意事項


<出欠の確認> 毎回、授業の冒頭に出席をとるので、遅れないように教室に入ること。
<国語辞典は必携> 国語辞典(電子辞書・携帯電話の辞書機能なども可)を常に持つこと。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【文学部 コミュニケーション文化学科】
実務経験の概要 NHKアナウンサー・ディレクター兼務。キャスターとして総合テレビ「なるほど経済」、コメンテーターとしてEテレ「青春五輪の書」、ハイビジョンスペシャル・キャスターとして「世界体感生中継・ナイアガラ瀑布」などを担当。ディレクターとして「NHK特集・土地は誰のものか~都市農地にマイホームは建つか~」や「NHKスペシャル・新日本人の条件」などを制作。NHK放送研修センターの講座では「ナレーション専科」などの講師を担当。元NHKアナウンス室長、元NHK放送研修センター日本語センター長。現在Eテレコンテンツのナレーター。
実務経験と授業科目との関連性 放送現場で取材・制作と表現について最前線での実務経験を積んできた。放送用語の歴史を習得し理解した上で、放送番組でレポートしてきた経験を活かして講義を行う。