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科目名ライティング特殊演習(批評)B
担当者林 浩平
開講期2024年度秋学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数1単位
授業の方法演習
授業題目本演習では文芸批評(評論)の書き方を中心に、美術や音楽などさまざまな分野での批評の書き方を学習して長めの評論文に挑戦し、論理的な文章表現力を鍛錬する。
授業の達成目標批評とは、批判・非難することではない。対象となる作品の価値の評価を厳密に行なうことである。すぐれた批評とは、作品を精確に分析読解し、かつ深く鑑賞したうえで、その世界について自ら考えるところを的確な文章で論理的に叙述したものである。説得力を持つ散文表現の力が求められる。本演習では、手ごたえのあるテクストの読解を試みることで解釈力を養い、文芸評論を中心に批評文を綴ることで散文表現力を身につけることを目標とする。
今年度の授業内容まずはすぐれた文芸評論の文章を教材として、「批評文を読む」レッスンを重ねる。小林秀雄、河上徹太郎、花田清輝、丸谷才一、大岡信などの文章をお手本とする。さらには文学の世界を離れて、美術評論、音楽評論、骨董評論、食べ物評論など、他のジャンルの批評文も読んでみる。文芸批評の文章のレッスンとして短めの批評文の執筆を試み、発表して指導を受けながら、最終的にはまとまった文芸評論を一本書き上げてみる。その文芸評論の対象は、ノーベル文学賞作家で現代の日本文学を代表する小説家である大江健三郎の短編小説である。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について授業で扱った批評文の書き手の他の文章も復習の一環として読んでみる。 合計15時間
自習に関する一般的な指示事項上述したように、演習においてお手本として読んだテクストの書き手の他の文章も読んでみる。また授業のなかで推薦図書も教示する。
第1回文芸評論というジャンルの設立と歴史などを講義し、「文芸評論の神様」と称された小林秀雄の文章を読解する。「批評文を読む」(一回め)。
第2回「批評文を読む」(二回め)として、花田清輝や丸谷才一の文章を読解する。
第3回「批評文を読む」(三回め)として、加藤周一や竹西寛子らの文章を採りあげる。
第4回「批評文を読む」(四回め)として、吉田秀和の音楽批評の文章を採りあげる。
第5回「文芸評論を書く」(一回め)として、あらかじめ提示しておいた対象作品をめぐっての評論文を書いて提出、講評を受ける。
第6回「批評文を読む」(五回め)として、美術評論や音楽評論の文章を採りあげる。
第7回「批評文を読む」(六回め)として、ロック批評の文章を採りあげる。
第8回「批評文を読む」(七回め)として、大岡信の文章を採りあげる。
第9回「批評文を読む」(八回め)として、澁澤龍彦らの文章を採りあげる。
第10回「文芸評論を書く」(二回め)として、特定作品の批評の文章を書いて提出、講評を受ける。
第11回「批評文を読む」(九回め)として、安東次男の骨董批評の文章を採りあげる。
第12回「批評文を読む」(十回め)として、丸谷才一の食べ物批評(『食通知ったかぶり』)の文章を採りあげる。
第13回「文芸評論を書く」(三回め・その一)として、書き上げた文芸評論を発表し講評を受ける。
第14回「文芸評論を書く」(三回め・その二)として、書き上げた文芸評論を発表し、講評を受ける。
授業の運営方法すぐれた批評文をお手本として演習時間内でそれを熟読し、批評文の書き方を学びながら、「文芸評論を書く」ことを実践してゆく。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法発表された受講生の文芸評論を批評し書き方を指導する。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0% 実施しない
小論文・レポート 70% 文芸評論のレポートの出来映えを評価
授業参加 30% 授業参加の熱意を評価
テキスト 特になし。教材プリントを配布する。
参考文献 教室で指示する。
その他、履修生への注意事項 文芸評論の書き方を身につけると、卒業論文を書く際の予行演習ともなる。また批評的なものの見方、批評精神を鍛練するメリットも得られよう。(批評とは、ただ批判する、ということではなく、ものごとの価値を正しく判断する行為である。)
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【文学部 現代文化表現学科】