科目名 | アニメーション論 | |
担当者 | 渡邉 大輔 | |
開講期 | 2024年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 「アニメーション/アニメ」の映像メディア文化論 | |
授業の達成目標 | 近年、主に映像メディア環境の進展に伴って、これまで映画や映像の下位ジャンルであった「アニメーションAnimation」の存在感が急速に強まっています。それに伴い、映像文化論やメディア文化論とも密接に呼応するアニメーション研究・批評も活発化してきました。本講義では、戦後・現代日本固有のジャンルとみなされる「アニメAnime」の動向に着目しつつも、それにとどまらないアニメーションの多様な可能性を、主に映像文化論・メディア論の視点から明らかにすることを目的としています。また、それを通じて、学生が他の各種講義において、アニメーションに属する文化や作品の基本的理解を深め、各自の関心に応じて主体的かつ独自な分析ができるようになることを目指します。 | |
今年度の授業内容 | 本講義では、(1)エミール・レイノー以降のアニメーション、(2)ディズニー以降のアメリカンアニメーション、(3)手塚治虫以降のテレビアニメなどを指標としつつ、アニメーション/アニメの特性や歴史について、アニメーション研究、映画研究やメディア文化理論、サブカルチャー研究の視点から概説していきます。とくに、近年のアニメ研究のトレンドでもあるデジタル表現導入以降の動向や研究の枠組みについて積極的に紹介していく予定です。 | |
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 事前にポータルにアップロードする当該回の講義資料や関連動画を熟読・鑑賞し、疑問に思うことをあらかじめまとめておく。講義終了後は、当日の講義内容も踏まえ、感想・疑問をリアクション・ペーパー(コメントシート)として提出する。また、講義で扱った映像作品(写真、映画、アニメーションなど)で興味を持ったものは、なるべく全編を鑑賞して理解を深めること。 |
合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 授業内で配布するレジュメなどを参考にし、授業で扱ったり紹介する関連文献や映画作品、映像動画を適宜確認・鑑賞すること。また、それ以外に、日常的にさまざまな映画や映像に「分析的」に(!)触れておくことが望ましいでしょう。 特に、いわゆる日本のテレビアニメやジブリ映画、ディズニー/ピクサーなど、一般的に馴染み深い作品以外の作品にも積極的に触れ、「アニメーション」の多様性を理解することが必要です。 |
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第1回 | イントロダクション:「アニメーション」と「アニメ」 授業概要・形式・成績評価・スケジュールなどの説明。 |
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第2回 | アニメーションの歴史(1):エミール・レイノーから初期ディズニーまで 「アニメーション」の定義をしたのち、海外アニメーションの歴史を解説します。エミール・レイノーによる「テアトル・オプティーク」からブラックトン、コール、マッケイの初期アニメーション。そして、ウォルト・ディズニーの偉業をたどります。 |
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第3回 | アニメーションの歴史(2):アメリカンカートゥーンの多様性 フライシャー兄弟、テックス・アヴェリー、UPAなど、ウォルト・ディズニーと同時代のディズニー以外のアニメーションを見ていきます。また、1966年のウォルト死去後のディズニーの動向(ディズニールネサンスからピクサーの買収、近年のDisney+まで)を確認します。 |
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第4回 | アニメーションの歴史(3):抽象アニメーションからインディペンデント・アニメーションへ アメリカ以外のアニメーション、とりわけポール・グリモー(フランス)、レフ・アタマーノフ(ソヴィエト)、カレル・ゼマン(チェコ)、ユーリー・ノルシュテイン(ソヴィエト)など、主にユーロ・アニメーションを中心に世界の多様なアニメーションの試みを見ていきます。 |
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第5回 | 日本アニメーションの歴史(1):「漫画映画」の時代 日本アニメーションの歴史。大正時代の国産初のアニメーション、戦時中のプロパガンダ『桃太郎 海の神兵』、戦後の東映動画の創立と『白蛇伝』の製作などを見ていきます。 |
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第6回 | 日本アニメーションの歴史(2):東映動画系と虫プロ系 「フルアニメーション」(東映動画系)と「リミテッドアニメーション」(虫プロ系)という戦後日本アニメの2つの主要な流れについて説明した後、戦後の日本アニメについて見ていきます。手塚治虫による日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』の大ヒットによる「アニメ」の誕生からテレビアニメを軸にした新しい表現技法(出崎演出など)、1970年代の『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』による「アニメ」ブーム、1980年代の「スタジオジブリ」の設立、1990年代以降の押井守、庵野秀明、現代の細田守、片渕須直、湯浅政明、新海誠、山田尚子などの重要「作家」を確認し、近年の『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『ONE PIECE FILM RED』などのジャンプアニメの躍進にも触れる予定です。 |
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第7回 | デジタル以降のアニメーション(1):アニメと実写の融合 21世紀のデジタルシフト以降のアニメーションの特徴である「アニメと実写の融合」(レフ・マノヴィッチ)という考え方について見ていきます。 |
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第8回 | デジタル以降のアニメーション(2):メディアミックス文化と「オブジェクト指向性」 現代日本のアニメ文化を象徴する「メディアミックス文化」が備える特徴である「オブジェクト指向性」について解説します。 |
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第9回 | デジタル以降のアニメーション(3):「私」から「私たち」へ 土居伸彰『21世紀のアニメーションがわかる本』(フィルムアート社、2017年)を参照し、「私から私たち」へというキーワードから21世紀の世界のアニメーション表現のパラダイムシフトを見ていきます。 |
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第10回 | デジタル以降のアニメーション(4):「アニメーション・ドキュメンタリー」の台頭 2000年代以降に台頭している「アニメーション・ドキュメンタリー」というジャンルの可能性について見ていきます。 |
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第11回 | アニメーションの力学(1):「声優」の文化史 日本のアニメ文化の主要な構成要素になっている「声優」について文化史的に簡単に見ていきます。 |
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第12回 | アニメーションの力学(2):「聖地巡礼」とファンコミュニティのゆくえ 「アニメ聖地巡礼」の近年の動向について見ていきます。 |
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第13回 | アニメーションの力学(2):「メディアミックス」とアニメエコロジー トーマス・ラマール『アニメ・エコロジー』(名古屋大学出版会、2023年)を参照し、現代アニメとメディア生態系の関係について見ていきます。 |
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第14回 | まとめ | |
授業の運営方法 | 講義中心の授業。事前にポータルから講義資料のPDFを配布。毎回、ポータルを通じたリアクション・ペーパーの提出を課します。 | |
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 毎回のリアクション・ペーパーの質問や感想に対して、有意のものはポータルか次回授業の冒頭で解説・回答・講評を行う。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 0% | 実施しない |
小論文・レポート | 50% | 学期末レポート |
授業参加 | 50% | 一定以上の出席を成績評価の前提条件としたうえ、コメントシートの内容を成績の参考に用いる。 |
その他 | 0% |
テキスト | 授業時にレジュメを配布・配信。 |
参考文献 | 津堅信之『アニメーション学入門』(平凡社新書、2005年、978-4582852912)929円 土居伸彰『21世紀のアニメーションがわかる本』(フィルムアート社、2017年、978-4845916443)1944円、高瀬康司編『アニメ制作者たちの方法』(フィルムアート社、2019年、978-4845918089)1944円、須川亜紀子・米村みゆき編著『アニメーション文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房、2019年、9784623084418)2640円 |
その他、履修生への注意事項 | アニメーション/アニメそのものについての興味はもちろんですが、講義内容の関係上、つねにさまざまな文化・社会事象に対する幅広い知的好奇心を抱いていることが必要です。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 現代文化表現学科】 |